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素材別で見るメンズのジャケットコーディネート。ポイントを押さえてしっかり着こなす

投稿日時:2021.10.14 12:38:57

日本のビジネスシーンのドレスコードは、スーツオンリーの時代が長期間続きました。男性のビジネスマンは、スーツにネクタイを締める事がマストであり、当たり前でした。


 


一昔前(1990年代)のことですが、「カジュアルフライデー」が提唱されました。金曜日はカジュアルな装いで出勤しましょう!という、アメリカで始まった流れです。


これが起点になり、その後のクールビズに繋がったと言えるでしょう。


 


「カジュアルフライデー」が始まった当時、世の大半のビジネスマン達は大いに頭を抱えました。


普段着以外の外出着としては、仕事着としてのスーツとゴルフウェアの2つしか無かったからです。


 


カジュアルフライデーと、いきなり言われても何を着て出勤すれば良いのか全然解らないのも当然ですね。


 


現在は服装の自由化が一層進み、ノーネクタイも定着しました。


それでもスーツが上下組み合わせを悩まなくても良いのに比較すれば、ジャケットの着こなしは、ちょっと苦手と感じる方も多いと思います。


テーラードジャケットは、使い方のコツを少々理解すれば、ONからOFFまで幅広く使える使い勝手の良いアイテムになります。


 


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ジャケットコーデをおしゃれに着こなすポイント

最初にお断りしておきますが、ファッションは自由だと思います。


堅苦しいルールに縛られるものではありません。


トレンドを標榜するブランドにおける上級者の為の着こなしを見れば、「既成概念は打ち破るために存在している」ということが簡単にご理解頂けると思います。


 


達人はさておき自由な中でも押さえておきたいポイントは、確かに幾つか有ります。


TPOを考えるのはもちろんですが、押さえておきたいコツ、おしゃれに着こなす「ジャケットコーデ」の基本を解説します。


自分に合ったサイズを選ぶ


大きすぎない・小さすぎないは、一番の基本です。


目安としては、袖丈・肩幅・身幅・着丈があります。


 

































袖丈 手首がしっかり隠れる。手のひらと腕を繋ぐ関節あたりに合わせる。
肩幅 ジャストフィットしていれば良いですが、多少の余裕(1cm程度)は腕の動きやすさにも繋がります。
身幅 胴回りです。ボタンを閉じてみて、若干の余裕(拳1つ分くらい)が欲しいです。冬物でインナーに厚手のセーターなどを着る前提なら、もう少し余裕を持っても良いです。
着丈 立った状態でお尻にかかるくらいの丈がベストです。

 


もちろん、デザインによっては変わる事がありますが、テーラードジャケットの基本としては上記の寸法にご留意下さい。


 


それほど神経質になる必要はありません。


 


しかし逆に言えば、サイズがピタリと合っているだけで第一関門はクリア。


 


ワングレードもツーグレードも上質なおしゃれに見えます。


 


しかも「ピッタリサイズ」なジャケットは着心地にも繋がり、ノンストレスで着用できます。


 


袖丈は仕様にもよりますが、お直しである程度修正することも可能です。


 


しかし、それ以外の寸法直しは物理的には可能ですが、バランスが崩れる上に大きなコストが掛かる為、積極的にはオススメしません。


 


そんな時には、オーダーで自分の為の一着を仕立てるのが理想です。


 


既製品では決して実現しない、ピッタリサイズな自分専用ジャケットは、愛着が沸き長く付き合える相棒になります。


 


3色以内に抑えて統一感を出す


 


次はカラーの組み合わせです。


 


ここに悩む方が多いと思います。


 


よく言われるセオリーとしては、全部で3色に抑えるということです。 ここで言う全部というのは、インナー・スラックスだけでなく、チーフや靴(バッグ)も含めてということです。


 


色数を絞る事で統一感が出て、おしゃれに見えます。 この「統一感」というのは、おしゃれのキモでセンスに直結します。


 


手始めとしては、少ない色数から初めてみましょう。たとえば、同じネイビー系の上下に黒のインナーと靴を組み合わせた例です。一見すると地味ですが、明るめのチーフが良いアクセントになります。

次に組み合わせしやすいのは、同系色です。特にオススメはグレーです。


 


グレーと一口に言っても、濃淡によってチャコールグレー・ミディアムグレー・ライトグレーなどがあります。この中で全体を組み立てることで、おしゃれな統一感が演出できます。


 


ワンポイントのアクセントとしてはチーフにいきたいトコロですが、チーフもグレーにして、靴を上品な濃い目の茶系を併せることでメリハリがつきます。冬だったら、これに黒のコートを組み合わせてもおしゃれですね。


 


休日の組み合わせだったら、濃い目のグレージャケットに明る目のスラックスを合わせて、靴には白のスニーカーなんかイイですね。下に流れる色の変化がおしゃれです。


 


知っておくと便利な、「まとまり感」の出る組み合わせ


































同一色相配色 同じ色相で明度や彩度を変化 ブルー+濃紺 など
類似色相配色 似通った色の組み合わせ オレンジ+イエロー など
同一トーン 同じトーン(濃さ)の組み合わせ ベージュ+カーキ など

 


カラーの組み合わせは無数にあります。


 


セオリーとしては、派手目・パステル系との組み合わせで破綻が無いのは白系です。


 


全体がガチャガチャしない事が、結果としてセンスの良さに繋がります。


 


色の組み合わせで迷った時には、自然界にある色の組み合わせを思い出して下さい。


 


そこにある組み合わせは、相性が良いと言えます。


 


たとえば、青空なら「ブルー」の空の中に「白い」雲が浮かんでいますよね。


 


雪景色も「ブルー」と「白」の組み合わせですが、こちらは白がメインです。


 


どちらを主体にしてもOKということです。


 


森を考えたら、「濃茶」の幹に「グリーン」の葉があります。


 

失敗しないジャケットの選び方

新しくジャケットを一着入手しようと思ったら、それに合わせるアイテムを同時に購入するのは楽しいです。でも、それでは支払う金額が嵩んでしまいます。


 


持っているワードローブを思い出しながら、組み合わせを考えるのも楽しいですよ。


 


柄物のインナーやスラックスが好きで良く着る方なら、ジャケットは無地の方が使いまわしが効きます。


無地のインナーやスラックスが多いなら、柄物のジャケットにチャレンジして下さい。「ジャケットならでは」のおしゃれ感が演出しやすいです。


 


一番大事なサイズ感もお忘れ無く。しっかり試着しましょう。


ちょっとサイズが合わないけど気に入ったからという購入は、高確率で着用しなくなる失敗に繋がります。オーダーなら、そんな心配は無用ですね。


 

ジャケットと合わせたいアイテム

せっかくのジャケット、スーツと違う着こなしを演出するアイテムを考えてみましょう。


 


シャツ


 


スーツ着用時の白いワイシャツでもOKですが、ツルッとしたフラットなタイプよりも、素材感のあるタイプがオススメです。


 


オススメは「オックスフォードシャツ」で、カジュアルな匂いがさりげなく出せる便利アイテムです。


>格安のオーダーシャツって本当にいいの?特徴とコスパから魅力を探る


 


リブニット


 


厚手のニットは避けた方が無難です。薄手の細かい網目になっているタイプがお勧めです。


 

パーカー


意外かもしれませんが、テーラードジャケットにパーカーを組み合わせるのもアリです。品の良い崩しでセンス良くドレスダウンが実現出来ます。パーカー自体のデザインが主張しますから、パーカーの色は無地・無彩色がオススメです。

ボーダー


柄自体にカジュアルさがあるボーダーも、テーラードジャケットをドレスダウンさせるお手軽アイテムです。特に夏場は活躍機会が増えそうですね。


 

チーフ


統一感を持った全体のコーディネートの中に、アクセントの役割を果たします。


テレビに出てくるコメンテーターさん・タレントさん達にも人気のアイテムです。


プロのスタイリストのコーディネートを、自分の組み合わせ参考にしてもイイですね。


 

ベスト


おしゃれ上級者向けです。アクセントをベストに求めるという考え方ですね。


スリーピーススーツのベストは、この場合に向きません。素材感のあるタイプ限定です。 


>ベストは取り入れるべき戦力アイテム!オーダーメイドで作ってみよう

季節に合わせて素材を選ぼう

ジャケットの素材感は、スーツ地と比較すれば一目瞭然の存在感があります。


秋冬物に関してはボリューム感のあるものが多くなります。


春夏物は、単純に肉厚になれば暑くなりますので、清涼感がありながらの主張は、素材や織り・色柄で表現します。

春夏におすすめのジャケット素材

春夏素材にオススメする2トップは、麻と綿です。


清涼感があり、素材自体にカジュアルな存在感があります。


 



リネン・ラミーと表記されることもありますが、どちらも麻の種類です。


夏のジャケットの定番で、いつものカジュアルの上に一枚羽織ることで印象が大きく変わります。ちょっとイイお店に入っても違和感がありません。


何事にも限度はありますが適度なシワが味として許される素材です。


 

綿


春先から夏まで重宝する素材です。綿で代表的なジャケット地は、シアサッカーです。


畝(うね)で立体感を作りながら清涼感を備えるタイプです。


大胆な柄で存在感を主張するタイプも有ります。写真例は大柄なギンガムチェックです。


 

秋冬におすすめのジャケット素材

秋冬のジャケット素材は、ボリューム感がポイントです。


 


ウール


秋冬物ジャケット素材の中心になるのはウールです。


自然な起毛感が出せて、暖かさと存在感を主張する王道です。


ウール100%に拘る必要は有りません。存在感の有る太番手使いのウールは、強度を保ったり装飾を加えたりするために、ポリエステルやナイロン等を組み合わせるのが一般的です。


ビジネスシーンから、休日シーンまで幅広く対応してくれます。

綿


綿は春夏の素材と捉えがちですが、秋冬にはコーデュロイがあります。


上下で揃えれば、カジュアル感のあるセットアップとしても使える他、ジャケット単体・スラックス単体でも着回しが可能です。


 

ポリエステル・新素材


従来には無かった機能や、以前のポリエステル素材とは全く別物のタイプ等、新しい素材が出てきています。


下の写真は、見た目はツイーディーな印象がありながら、実際には軽快感を持って着用できる新世代のプリントジャケットです。


 

シーンごとでジャケットを着こなそう!

実際のシーンを想定して、ジャケットの着こなしを見てみましょう。


 


ラフコーデで休日を過ごす


特に夏場は、ハーフパンツや革のサンダルでも、アースカラー系の麻ジャケットを組み合わせることで、全体が上質なおしゃれに変貌します。


ジャケットから入るコーディネートではなく、ラフな休日ファッションにジャケットを加えると言う考え方です。あれこれ考えなくてもOKです。


アースカラー系の麻ジャケットは、比較的何にでも合うので一枚有ると便利ですよ。


 

キレイめを目指して女性ウケを狙う


女性ウケを狙うなら、何はともあれ清潔感です。


きちんと仕立てられたテーラードジャケットは、それだけで「ちゃんとした大人」アピールが出来ます。


 


その中で、個性を出していけばOKです。


インナーに派手な色を着るなら、ジャケットはシンプルに。


ジャケットに柄物を着るなら、インナーはシンプルに。


その鉄則を守るだけで好感度アップすること間違いなし。


 

決め過ぎないから同窓会にも最適


久しぶりの同窓会。


それほどあることでは無いですから、せっかくの非日常は積極的に楽しみたいですよね。


 


勝手知る仲間に、必要以上に気合いを入れる必要はありません。


かといって、普段着るスーツでは「仕事帰り?」という様相にしかなりませんし、デニムパンツにポロシャツやジャンパーでは、非日常を楽しめません。


 


そんな時に、テーラードジャケットを一枚羽織ることで、簡単にバランス良くきちんとした社会人として非日常を楽しむことが出来ます。


 

Web会議もきちんとキメる


コロナ禍の中で、働き方が変わってきました。


Webによる在宅ワークを導入する企業が増えています。


 


いくら自宅だからといっても、パジャマや普段着ではWeb会議に出席するわけにはいきません。ONとOFFのスイッチを切り替える事が良い仕事に繋がります。


 


とは言っても、外出するのとは違って写るのは上半身が中心ですよね。


基本になるのは、きちんとしたシャツを着ることです。


その上にセーターやカーデガンを羽織るのもイイですが、ジャケットを身につければON・OFFのメリハリが一層付くこと間違いありません。


 


また、特に立場のあるポジションに居る方・Web会議においてホストを務める場合は、ジャケットの着用をオススメします。


 


特別に堅苦しいもので有る必要はありません。


きちんと寸法の合っているジャケットを羽織り、チーフを挿せば完璧です。


 

まとめ

ファッションの常識は、時代と共に変わりつつ有ります。


そんな時代の空気を積極的に楽しむことは、人生を豊かにします。


 


昨今言われていオフィスカジュアルの中核は、ジャケットに有ると言っても過言ではありません。


大人の礼節を感じさせながら、品良くラフさ・カジュアルさを表現するのがポイントです。


僅かなポイントだけ押さえれば、ビジネスシーンからオフタイムまで大活躍できるのがジャケットです。


 


お気に入りのジャケットは、きっと人生を豊かにします。