STYLING GUIDE

オーダーメイドでジャケットを作る!メリットと押さえておきたいポイントを紹介

img

監修:米山英児(神田駿河台店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.08.15 12:51:59


ドレスコードの緩和、クールビズやウォームビズの定着で、ビジネスシーンにもすっかり浸透しているジャケットスタイル。既製品のジャケットでも仕立ての良いものはもちろんありますが、体型に合わせて仕立てられた‟オーダーアイテム“は着用感も見栄えも確実に良いものに仕上がります。ここではオーダーメイドジャケットのポイントと押さえておきたいコツを解説します。

オーダーメイドでジャケットを作るメリット

普段既製品のジャケットを着用している人が、一度オーダーメイドジャケットを着用すると、「もう既製品には戻れない」と言い出すほど、その差は歴然としているといいます。では、その‟違い“を生み出す、オーダーメイドジャケットのメリットとは。


●フィット感
●動きやすさ
●長持ち 


まずは、極上のフィット感。既製品では体の一番大きな箇所に合わせてサイズを選ぶため、完全にフィットする一着に出会うことは、なかなか難しいのではないでしょうか。オーダーメイドでは、細かく採寸をしたうえで製作していくので、その人の体型に合った一着になります。サイズが合っていないが故のだらしない印象は消え、きちんとした印象になり、より素敵に見せてくれるのです。ジャストサイズのジャケットは、生地がダブついたり突っ張ったりせず、様々な動作がしやすくなります。動きやすく、着用中の動作がスムーズなので、生地に余計な負担がかかりません。そのため、生地が傷まず、長く愛用できるのです。「オーダーメイド」と聞くと、どうしても高額なイメージを持つ人も多いかと思いますが、実は既製品よりもコスパがいいともいえるのです。

オーダーの仕方には種類がある

オーダーの方法には主に”パターンオーダー”と‟フルオーダー”の二種類があります。ポイントは一人一人パターンを起こすか起こさないかですが、その違いから価格や納期、工程数なども違ってきます。オーダー方法の違いを知り、自分にあったオーダーメイドジャケットの方法を選びましょう。

パターンオーダー


試着用のサンプルジャケット(ゲージ)を着用してサイズ調整をしていく方法が「パターンオーダー」です。まずは、テーラーが用意している複数の体型パターンから好みのスタイルを選びます。自分に似合っているか、着心地が良さそうかゲージを実際に着用して確認し、体型に合わせてサイズ調整をしていきます。パターンオーダーでは全体的なジャケットのシルエットは限定されるものの、生地やパーツデザインなどのディテールを好みで選ぶことができるのがメリット。フルオーダーのビスポークよりも安い価格帯でオーダーできるので、オーダーメイドが初心者という人でも比較的安心して作ることができます。


「フルオーダー」


その人の体型に合わせて型紙から作る方法が「フルオーダー」で、「ビスポーク」ともいいます。英語のBe Spokeが語源で、その呼び名の通り、顧客と話をしながらカッター(生地を裁断する人)またはフィッターが採寸、型紙作りをし、テーラー(縫う人)が縫い、仕上げまでの工程を作り上げる方法です。フルオーダーではパターンオーダーよりも、縫いの部分で仮縫い、中縫い、本縫いと3工程の縫いが追加されるので、より顧客の要望や体型に合わせた一着が完成するのです。採寸、型紙作り、縫製、仕立てを分業で行うケースが多いのですが、なかには採寸から仕立てまでの全行程を一人の職人が行うケースもあります。手間暇がかかるためパターンオーダーより価格帯は上がりますが、究極のフィット感が欲しい、パターンオーダーでは補正しきれない体型、細部まで自分のこだわりを注ぎたいという人にはおすすめです。(DIFFERENCEではフルオーダーの取り扱いはありません)

ジャケットをオーダーするときのポイント


さまざまなメリットがあるオーダーメイドのジャケット。完成し、袖を通した時にその良さを実感するはずです。テーラーに頼めば知識がなくても、体型や好みに合わせた一着が完成するでしょう。しかし、オーダーメイドのポイントを知っておいた方が、より個性や好みが反映されたジャケットに仕上げることができます。オーダーメイドするときのポイントを解説しますので、ぜひ覚えておきましょう。


 


「腕の良いテーラーがいる店を選ぶ」


自分に合うジャケットを作るには、テーラー選びは最も重要です。注文主の体型を的確に補正して、いかにカッコよく、立派に見せるかがテーラーとしての重要任務。服飾のプロであるテーラーは迷っている時に様々なアドバイスを与えてくれますが、腕の良いテーラーほど自分の意見を押しつけることはなく、顧客への対応が丁寧で行き渡っているものです。トレンド情報を仕入れたりすることにはあまり意味がなく、クラシックなスーツへの造詣の深さや、技術の探求心を常に意識しているテーラーが望ましいのです。


また、パターンオーダーでは、ゲージの種類が多いテーラーを選ぶことも重要です。ゲージの数が多いほど、体型に合ったデザインを見つけやすくなります。もし納得できるゲージがなければテーラーを変えるのも一つの方法です。オーダーを受けたジャケットの縫製は、一般的に契約している縫製工場に依頼されます。腕の良いテーラーは複数の縫製工場と取引をしており、ジャケットやスーツの特徴によって依頼をする工場を変えています。どのような工場で縫製するのか、オーダー前に聞いてみるのもテーラーの腕を見極めるポイントになります。


 


「イメージを具体的に伝えられるようにする」


オーダーメイドでは、どのようなジャケットを作りたいのかイメージを具体的に伝えることが重要です。理想のイメージが具体的であればあるほど、テーラーもその理想の形に近づけやすいもの。とはいえ、オーダーメイドが初めての人はイメージが固まっていない場合もあります。それならば、まずはジャケットを着用するシーンをある程度想定しておくこと。休日の外出着なのか、オフィスカジュアル用なのか決めておけば、デザインやパーツのディテールなどをテーラーがアドバイスしてくれます。普段着ているジャケットを着用していく、インに合わせたいベストやシャツを持参するのも良い比較資料になるでしょう。お気に入りのブランドがあるならその名前を伝えるのもいいし、007のジェームズ・ボンドの着こなしに憧れるならそれも是非伝えて。自分好みの仕上がりに近づけるためにも恥ずかしがらず、出し惜しみなく伝えましょう。また、スニーカーやスリッポン、ローファー、革靴などではソールの厚みが異なってしまうので、パンツの長さを調整する必要のあるスーツを作る場合は、革靴を履いていくのがベストです。


 


「春夏ものではなく秋冬ものをオーダーする」


夏用のジャケットは暑さ対策として、裏地が肩部分しかない背抜き仕様にしたり、リネンやサマーウールを使ったりなど、涼しく過ごせるよう作られています。しかし、夏は高温多湿で汗をかきやすく、注意していてもジャケットに染み込んでしまいます。丁寧にケアしても一般的に夏は汗をかきやすくなるので早く傷みやすい傾向があります。少しでも長持ちさせたいのならば、秋冬物をオーダーするのがベターです。


 


一般的に、秋冬物のジャケットには厚手のウールが使われます。秋冬は気温が低いので汗をかきにくく、空気が乾燥しているので、ウールでも着用後ジャケットに溜まった湿気もすぐに乾きます。ビスポークの場合、ウール生地のほうが美しく仕立てるために行うアイロンワークなどの職人技が生かしやすく、秋冬物はビスポーク、春夏物はパターンオーダーとオーダー方法を分けるのもおススメです。

まとめ

ブランドに頼らずとも服をかっこ良く着ることができる!これは常に既製服を着用していると気づかないけれども、パターンオーダーやビスポークで製作した一着に袖を通して初めて気づくのではないでしょうか。知らないで終わるのはもったいない、そして「おまかせで」で終わってしまうのももったいない。ぜひ自分のこだわりを注いで10年先も愛用できる一着と出会って欲しい。オーダーメイドジャケットにトライしてみてはいかがでしょうか。