STYLING GUIDE

シルエットが大事!オーダーメイドでパンツを作る

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監修:杉原一臣(新宿南口店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.08.06 18:10:11

オンタイムのスーツスタイル、オフタイムの休日スタイルと、男性が毎日着用するパンツ。どんなシチュエーションでも、パンツで一番重要なのは、ずばり“シルエット”です。ジャケットは素敵なのに、体型に合わないパンツのせいで、ちぐはぐな印象になってしまいかねません。しかし、既製品では自分に合うパンツを探しても、体型に合わないケースは多いんです。そんな時は、自分の体型に合うパンツをオーダーメイドしましょう!今回は、オーダーでパンツを作る時、押さえておくべきポイントを紹介します。

知っておきたい!パンツの種類

◆スラックス
素材:ウール・ポリエステル混紡等
シルエット:ゆるめ
着用シーン:主にビジネス
生地・その他:・素材により年間着用可
・しっかりした生地感
・主にセンタープリーツ入り


◆コットンパンツ
素材:綿
シルエット:ゆるめ~タイト
着用シーン:カジュアル
生地・その他:・年間通して着用可
・カジュアルなジャケットスタイル向き


◆リネンパンツ
素材:
シルエット:ゆるめ~セミタイト
着用シーン:カジュアル
生地・その他:・夏向き
・光沢あり、薄手で丈夫
・サラリとした質感、通気性が良い


◆コーデュロイパンツ
素材:綿
シルエット:ゆるめ~セミタイト
着用シーン:主にカジュアル
生地・その他:・秋冬向き
・温かみがある優れた保温性
・綿横ビロード織物
・縦うねが特徴


◆カーゴパンツ
素材:厚手の綿
シルエット:幅太からスリム
着用シーン:カジュアル
生地・その他:・年間通して着用可
・大きなポケット付き
・厚手の綿素材


 


「スラックス」


「スラックス」の語源「slack」は「ゆるい」という意味。もともと、脚の筒にゆとりのあるパンツを指す言葉でした。現在では、スーツの下に履くパンツ、センタープリーツの入った、オンタイムに着用するビジネスパンツの総称がスラックスです。レザーのドレスシューズを合わせてシックに着こなすことができます。


 


「コットンパンツ」


綿で作られたパンツ「コットンパンツ」、いわゆるチノパンは、イギリス陸軍の軍装、アメリカ陸軍の作業着を起源とする「チノクロス」(厚手の綾織りのコットン生地使用)パンツのことです。「チノ(Chino)」は、スペイン語で「中国人」という意味。米西戦争の戦地フィリピンから、1900年代にアメリカへ帰国した兵士により広まりました。季節を問わず着用でき、レザーシューズ、スニーカーなどにも合わせやすい、カジュアルシーンにピッタリなアイテムです。


 


「リネンパンツ」


フランス語の「リンネル(liniere)」が語源の「リネン」は、亜麻繊維が原料の織物。リンネルを使用した「リネンパンツ」は、薄地でさらりとした素材のため、多くの夏服に使用されます。コットン、シルクより、吸水性、発散性に優れていて着心地が良いので、近年は夏の定番アイテムになっています。使えば使うほど柔らかさが増し、風合いがよくなるので、リラックスタイムやバカンススタイル、ナイトシーンにもピッタリです。おしゃれな男性に人気のパンツとなっています。


 


「コーデュロイパンツ」


コーデュロイは、綿横ビロード織りした織物の一種で、縦うねが特徴です。保温効果が高く、寒い時期の着用に向いています。コーデュロイパンツはうねの太さで印象が大きく変わります。初挑戦の場合は、合わせやすいうねが細いものを選ぶのがおすすめです。履いているだけで季節感が出るので、秋冬のコーディネートには取り入れたいアイテムです。スーツスタイルに取り入れると柔らかな印象になります。


 


「カーゴパンツ」


カーゴとは「貨物船」の意味です。カーゴパンツは、もともと貨物船で働く人が使っていた作業用パンツでした。厚手の綿生地で作られ、腰をかがめても物が出し入れしやすいよう、左右に大きなポケットが付いているのが特徴です。第二次大戦頃から、アメリカなど各国の軍隊で戦闘服として採用されました。現代では、作業服やカジュアルウェアとして一般的になっています。チノパンよりカジュアルなシーンに向いていて、パンツ幅は太めが主流ですが、最近ではスタイリッシュなデザインのスリムタイプも人気です。

オーダーメイドでパンツを作るときのポイント!タックとは

「タック」とは、パンツのウエスト・フロント部分にある生地をたたんだヒダ・プリーツのこと。通常、ヒダはウエスト部分から、下方向に入っています。タックが入っていると、ウエスト、腰回りにゆとりが生じやすくなり、体型をカバーし、スタイルよく見せられます。


なお、タックの折り目が内側の場合はイギリス式の「インタック」、折り目が外側の場合はアメリカ式で「アウトタック」と呼ばれます。インタックは折り目の広がりが少なく、スマートなラインを演出してくれますし、アウトタックはインタックより折り目が広がりやすく、見た目や履き心地がゆったりとしているのが特徴です。
タックはパンツの前側部分に位置するので、目立ちやすく、コーディネートに影響を与える大きな要素になります。コーディネート選びのポイントにすることで、スーツスタイルのおしゃれの幅は格段に広がります。では、タックの本数について詳しく見ていきましょう。


 


「ノータック」


「ノータック」とは、その名の通りタックが入っていないパンツを指します。ジャケットと合わせると、シンプルですっきり着こなせますが、流行のスキニーパンツのように、少々カジュアルな印象になります。ヒップからふとももにかけてのシルエットは細めで、比較的ウエスト位置は低いのが特徴です。細身の人、スマートな着こなしを目指す人、デスクワーク中心など、あまり動き回らない人に向いています。


 


「ワンタック」


「ワンタック」はパンツの左右に1本ずつ、タックが入っています。標準的な太さで、ノータックよりも着用シーンを選ばず、クラシカルなスーツに多く使われています。上品な雰囲気の見た目、腰回りや太ももに適度にゆとりがあるので、着心地よく、動きやすいのが特徴です。立ち座りや歩くなどの動作が多い人にも使い勝手がいいパンツです。


 


「ツータック」


「ツータック」はパンツの左右に2本ずつタックが入ったデザインです。ノータックやワンタックに比べてゆとりがあるので、窮屈さを感じにくく動きやすいのが特徴です。がっちり体型の人、お腹やヒップが大きめの人、日常的に動き回る時間の長い人などにもおすすめしたいパンツです。


 


「スリータック」


「スリータック」はパンツの左右に3本ずつタックが入ったデザインです。ノータック、ワンタック、ツータックに比べ、腰周りや太ももにかなりのゆとりが出ます。スリータックパンツは、単品使いすると、若干の古さを感じさせてしまうのが気を付けたいところです。スーツなら、特にスリーピースの場合に選ぶのが良いでしょう。体の大きな人(高身長というよりは肉付きのいい人)におすすめです。

タックの選び方

タックにも流行があります。1900年代後半のバブル時代はツータック、スリータック、バブル崩壊後は次第に細身パンツ(ノータック、ワンタック)にシフトし、2000年代に入ってから現在もその流れは続いています。こういった流行を知ることも必要ですが、タックによって、相手に与える印象は変わります。自分の魅力を最大限に引き出すためにも、体型や着用するシーン、スタイルなどきちんとポイントを把握しておきましょう。


 


「体型に合わせる」


一般的に、細身の人はノータック、標準的な体型の人ならワンタックが合うといわれています。太めの人は、ゆとりあるシルエットのツータックを選ぶと体型カバーに一役買ってくれるでしょう。ウエスト回りはコーディネートの印象を左右する重要な部分。まずウエスト位置を一番しっくりくるところに合わせ、鏡でパランスを見ながら、タックを何本にするか選ぶ、という決め方もおすすめです。


 


「シーンに合わせる」


流行を意識するのもいいですが、日常的なスーツスタイルの場合は、ワンタックでスマートに着こなすことをおすすめします。一方、フォーマルの場合は、ツータックにしてクラシカルでエレガントな雰囲気を演出するのがいいでしょう。このように、着用シーンを考えて、タックの本数を考えるようにしましょう。

センタープレスとは?

「センタープレス」とは、スラックスの前身頃、後ろ身頃の中心にプレスして入れるラインのこと。英語では「クリース(crease)」「センタークリース(center crease)」と呼ばれます。縦ラインが強調されるので足長効果が期待でき、独特の立体的なフォルムで美しいシルエットに魅せることができます。スラックス本来の美しいシルエットを保ちつつ、スーツをスマートに着こなすための重要な役割を担っているといえます。現在、ビジネススーツの常識として、スラックスには基本的にセンタープレスが入っています。スーツの簡単な見分け方として、センタープレスがないスラックスを合わせるスーツはカジュアルだと覚えておくのもいいでしょう。

裾口の縫い方によっても印象が変わる

“パンツの裾上げはシングル、ダブルどちらに致しますか?” スーツを購入すると必ず聞かれるこの質問。実はこのシングルとダブルの選びにも意味があるのです。見た目の印象が変わるのはもちろんですが、注意して選ぶ必要があります。


 


「シングル」


「シングル」は欧米では(plain)といわれ、それほどメジャーではありません。裾口を内側に織り込んで縫いつけるタイプで、シンプルな見た目が特徴です。日本のビジネスシーンでは、一般的にスーツのパンツはシングルタイプにしている人が多く、特に細めのパンツなら、シングルの方がスッキリした印象になります。フォーマルシーンではシングルが鉄則です。


 


「ダブル」


「タブル」は欧米では(turn up)といわれ、流行に関係なくビジネススーツなら(turn up)が主流です。裾口を外側に織り込んで縫いつけるタイプで、靴に負けない存在感を演出し、バランスをとることができます。折り目幅は、平均的な身長の日本人男性なら3.5~4cm程度がおすすめです。身長175cm以上なら、4.5cmくらいの幅にするとバランスが良くなるでしょう。ノータック、ワンタックの細身パンツをダブルにするとスタイリッシュに、ツータックの太めパンツをダブルにするとクラシカルな印象になります。幅が太い場合、全体のバランスが崩れないように気を付けながら調整しましょう。

横ポケットの形がシルエットを変える

普段あまり気にしていないパンツの横ポケットにも、実はさまざまな形があります。パンツの横にある縫い目(サイドシーム)を起点にご紹介します。

小見出し「斜めポケット」


パンツの標準的なポケットは斜めポケットです。既製品などもほとんどがこの形に作られています。フロント側からサイドシームに向かって斜めについている斜めポケットは、サイドポケットに手を入れるときの角度を考慮して作られています。


 


「バイアスポケット」


角度45度の斜め切りポケットは、カジュアルスーツ用のパンツや、オッドパンツ(ゆるめのテーパードシルエット)として仕立てるオーダーパンツに向いています。


 


「U字ポケット」


ポケット口がU字型に湾曲した「U字ポケット」は、ノータック、ワンタック、ツータックパンツに対応しています。少し珍しいポケット型で、カジュアル仕様のオーダーパンツにおすすめです。


 


「縦ポケット」


垂直に仕立てられたポケットのことで、タテポケともいいます。パンツ脇のたて縫い線に沿って真っ直ぐ付くので、横から見た時すっきりしていて、ポケットの存在も目立ちません。

小見出し「横切りポケット」


一般的に水平横切りの横一直線の形で、タックの入ったパンツには使われず、ノータックパンツにのみ見られます。


 


「L字型ポケット」


L字形にカットされた腰ポケットで、スポーティな趣が強くなります。


横切りポケット、L字型ポケットは、ノータック向き。タック付きパンツには適していません。また、ポケットに手を入れる習慣のある人にも不向きです。シルエットが崩れてしまうので、ポケットの中にはあまり物を入れないようにしましょう。

まとめ

パンツのデザインは、ビジネススーツでも、カジュアルなジャケットスタイルでも、全身のコーディネートに大きく影響します。タックやポケットの位置、着丈など体型にフィットし、自分自身が魅力的にみえるパンツのデザインが決まれば、なんとラクなことでしょう。
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