STYLING GUIDE

オーダースーツの2020年トレンドはこれ!基本を押さえてスーツを作ろう

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監修:佐々木信也(淀屋橋店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.08.03 18:08:57


スーツが仕事着の社会人にとって、服装で個性を出すのはなかなか難しいものです。とはいえ、スーツにも毎年微差があり、そしてトレンドがあります。いくら長く着られる上質なスーツでも、あまりに型遅れだと古臭い印象になってしまい、時代を捉える力を表現することは難しいでしょう。長持ちしつつも時代遅れにならないように個性を出すなら、断然オーダースーツがおすすめです。では、トレンドや個人の体型をカバーしつつ長く着られるオーダースーツはどのように注文すればいいのでしょうか。オーダー時のポイントをふまえて解説していきます。

そもそも「スーツのトレンド」とは?

トレンドといっても、微差の変化しかないメンズスーツ。常におしゃれを意識している人でなければ、瞬時にトレンドを捉えるのが難しいといわれています。ファッション誌を複数読んでやっと少し理解できる程度。「判断基準がわからない」との声も聞こえてきます。そのなかで常にわかりやすくメンズスーツのトレンドを牽引している人がいます。映画「007」で活躍するジェームズボンドです。歴代のジェームズ・ボンドの姿に同じ時代の男性たちは憧れを抱き、トレンドとして同じスーツを購入していたと言われています。そのスーツ姿は現代でも男性の憧れであり、トレンドとして魅了し続けているのです。


一方、生活様式の変化により、セットアップもスーツと同様の価値が生まれています。IT業界などでは多くの人がセットアップを選んでいることもあり、新たなるビジネススーツとして見逃すことができません。カタすぎず、ユルすぎない新素材とのバランスが、毎年トレンドになりそうです。

2020年のスーツトレンドはこれ!

社会人の戦闘服ともいわれるビジネススーツですが、2020年のトレンドのキーワードは「世界的に進むカジュアル化」です。自分に自信を与えてくれるスーツでも、素材やディテールが変化してきています。トレンドとなる箇所は限られており、大きく4つの要素から成り立っています。


・素材
・ラペルの幅
・ゴージ位置
・色柄


2020年の大きなトレンドとしてまず挙げられるのが、素材の変化。同じウールでも伸縮性があり、シワになりにくく、ジャージ要素を含んだものや、自宅で洗濯が可能になるなど、大きな変化がもたらされています。シルエットは従来のビジネススーツと同じでも、触ってみるとこれまでのクラシックな素材と異なる、着心地優先の素材に進化しています。


その素材の進化に伴い、ラペル幅も細くスタイリッシュになっています。シングルのジャケットであれば従来7cm程度が定番とされていますが、現在は約6cm程度が多くみられます。ゴージ位置は低め。位置が高いほどリッチでエレガントとされてきましたが、素材の変化により、ゴージ位置もカジュアルに変化しています。


色柄はベーシックなグレー、ネイビーはそのままに、主張が控えめなチェック柄なども注目されています。秋冬のエグゼクティブクラスは、ブラウン系でネクタイとのグラデーションを楽しむなど、シックなスタイルが人気です。モード系では2019年から続くブラックのトレンドが2020年もそのまま継続しています。


また、カジュアルダウンしたスーツのトレンドとしては断然ダブルでしょう。カーキ色など少し変化をつけた色や、ベーシックカラー色合いにピッチの太いストライプや大きな格子柄が人気です。大きな襟と剣先のラペルがとても華やかで、外資系企業などグローバルなビジネススタイルにマッチします。


さらに、ビジネススーツの代等として注目されているのが、リラックス感のあるセットアップです。これまでリラックスセットアップといえば安価な品が多かったのですが、最近ではゼニアなどハイブランドでも伸縮性のあるウォッシャブルウール素材が開発され、セットアップの質がより向上されてきています。パンツは動きやすくワンタックの細身でテーパード。ストレスフリーなシルエットが主流。生活様式の変化で、ビジネスでもスニーカースタイルが定番しつつあるなか、新しいビジネスウエアとして注目されています。


 

トレンドはディティールに現れる!

レディースのトレンドのように、メンズスーツでは大きなシルエットの変化がほぼありません。そのためジャケットでは生地やラペル幅、ゴージの高さ、ボタンやポケットの位置など細かいディテールがトレンドになります。


「ラペル」


スーツのトレンドで一番分かりやすいのがラペルでしょう。ラペルとはジャケットの下襟部分のことで、ノッチドラペル、ピークドラペル、セミピークドラペルの3種類が定番とされており、トレンドにより形やゴージラインの位置が変化します。


ノッチドラペルは、上襟とラペルの縫い合わせ部分からラペルの角までのライン(ゴージライン)が直線のタイプ。スーツのラペルといえば、ノッチドラペルと名前が挙がるほど代表的なデザインです。ビジネスシーンで着用するスーツなら、まずはノッチドラペルから用意すべき基本の形といえます。


ピークドラペルは、ラペルの先端が鋭角で上を向いているタイプです。よくダブルスーツやタキシードなどフォーマルスーツに採用されており、エレガントでドレッシーな雰囲気になります。セミピークドラペルは、ピークドラペルよりゴージラインの角度は浅く、少しだけ上向きになっています。ビジネス、フォーマルともに相性の良い万能ラペルといえるでしょう。


「タック」


タックとは、パンツのウエスト・フロント部分にあるプリーツのことを指します。タックがないタイプはノータック、1本のタイプはワンタック、2本のタイプはツータックと呼び、それぞれの腰回りの緩みが異なります。 パンツのトレンドとして大きな差がでるのはこのタックの違いでしょう。細身のスーツがトレンドのときはラペルが細くなり、パンツはノータックかワンタックになります。一方、クラシックなシルエットがトレンドのときは、ラペルは太くなりパンツはツータックになります。オーダースーツを作るときは、トレンドのシルエットを把握しつつラペルの太さやタックの本数まで意識してみましょう。


「ポケット」

ジャケットのポケットもわかりやすいトレンドのディテールになります。基本は箱ポケットで、目立たないように作られますが、カジュアル化が進んでいる現代のジャケットでは、外側から貼り付けるパッチポケットも多くみられます。従来のスーツにあまり採用はしませんが、素材が進化したデザインのディテールとして人気ですので、覚えておきましょう。

持っておきたい定番の色


ビジネススタイルのスタンダードはダークグレーとネイビー。この2色があれば、どのようなシーンでもアレンジで着こなすことができます。他の色であれば、エグゼクティブな雰囲気を演出する重厚感のあるブラウンがお勧めです。


「ダークグレー」


まず定番色で持っておきたいのがダークグレーです。この色はシックで落ちついた雰囲気になり、業種を問わずに着用できます。グレーは色合いが豊富で、明度や彩度、素材によって表情が異なりますので、よく吟味しましょう。汎用性が高いミディアムグレーからダークグレーのスーツは春夏用と秋冬用でそれぞれ揃えておくと便利です。


「ネイビー」


ファッショナブルな装いが好きな人は、ネイビーも良いでしょう。正統派で清潔感のある印象を与えるので、社会人として経験が浅い人は揃えておくべき色合いです。ネイビーでも、茄子紺といわれる赤味がかったネイビーや、黒に近いダークネイビーなど、色や光により雰囲気も異なりますのでよく確認して選びましょう。季節を問わず着回しできるのがメリットです。


「ブラウン」


ブラウンのスーツは年齢層の高い人が着るイメージを持つかもしれませんが、実はさまざまな色や柄のネクタイと合わせやすい、おすすめの色です。ダークブラウンは温かみのある雰囲気に、ベージュに近いライトブラウンなら爽やかでおしゃれな印象になります。渋くなりすぎるのが不安な人は、少し明るい色のネクタイで抜け感を作るとスタイリッシュになるでしょう。

持っておきたい定番の柄

「ピンストライプ」


ストライプが実線ではなく点線なのが特徴で、春夏物の生地に多く用いられています。派手になりにくく、洗練されたシャープな印象になるのでビジネスシーンでも着用しやすいとされています。なかでも、ネイビー地のピンストライプはドレッシーな雰囲気。グレー地のピンストライプは、ややカジュアルテイストに装うことができます。


ペンシルストライプは鉛筆で書いたようなはっきりとした実線のストライプ柄。主張が強く個性的な印象になるので、生地の色やストライプの色をよく考えて選ぶのがお勧めです。


「グレンチェック」


グレナカート・チェックの略称で19世紀はじめ英国で考案された柄。千鳥格子とヘアライン(髪の毛のように細い線)の小さいチェックの組み合わせから成るデザインです。


グレンチェックやウィンドウペーンチェックは、クラシカルな雰囲気を演出するときに取り入れると個性を表現することができます。細身のシルエットを選ぶと程よく今っぽさが出るので、スタイリッシュに着こなすことができます。

まとめ

オーダースーツは、素材、ラペルなどのディテール、シルエットなどトレンドを意識しながらも自分らしいスーツに仕立てられるのがメリットです。オーダースーツブランドのDIFFERENCEは、一度来店して採寸を済ませれば2着目からは簡単に注文可能です。スーツのシルエットはもちろん、生地や裏地、ボタンの種類など、細かい部分まで選定でき、年代やあらゆるシーンに対応できる一着を作ることが可能です。プロのアドバイスを聞きながら進めれば、きっとお気に入りの一着が完成するでしょう。