STYLING GUIDE

オーダースーツって本当に好印象で安いの?
気になる疑問を解説!

img

監修:石川佳宏(青山店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.05.16 12:24:45


最近、「実は昨日スーツオーダーしてきたんだよね」と、オーダー経験の声が聞こえてくる、という話を耳にします。周囲からは印象よく見られるし、それに何よりも“安い”のが理由。
それでは、なぜ好印象に見られるのでしょう?どうして安いのでしょう?他にも優れている点があるのでしょうか?この記事では、その理由について紹介していきます。

オーダースーツを作るメリットとデメリット


好印象に見られるといわれるオーダースーツですが、もちろんメリットとデメリットがあります。事前にその両方をきちんと理解することが大切。ここではいいオーダースーツをつくるためのメリットとデメリットの知識をしっかり学んでおきましょう。


「メリット」


オーダースーツのメリットにはいくつかの点が挙げられます。


● フィット感の高いスーツが作れる
● 生地やデザインにこだわれる
● スーツが長持ちする
● 印象を良くできる


オーダースーツの最大のメリットは、自分の体型に合ったスーツを作れる点です。既製服にある日本人の標準体型に沿ったサイズは、あくまでも目安でしかなく、人の体型は生まれつきや生活スタイル、食生活などで体型は大きく変わるからです。そんな体型の違いもオーダースーツなら悩みを解決してくれるのです。フィットしたシルエットを着用するだけでも、「ビジネスで細部に気がつく」と好印象に繋がります。

また、デザインや生地にもこだわりを持つことができます。それ以外にも色柄だけでなく、スーツの襟型やポケットの形、ボタンなどカスタマイズできることで独自のファッション性を表現する手段としても有効なのです。

さらに、型紙やサイズが合ったスーツを着用すると長持ちしやすいというメリットもあります。タイトすぎるスーツを着用していると、体に生地がこすれて破れてしまうことも。逆に大きめだとシワやヨレで生地への負担がかかり寿命が短くなるということにもなるのです。


「デメリット」


オーダースーツのデメリットとしては、以下のことが挙げられます。


● 選択肢が豊富すぎて迷う
● 完成までに時間がかかる
● オーダーサイズより太った場合に直しづらい
● 完成するまでイメージがわかりづらい


一番のデメリットはやはり基本的に返品できないこと。なぜなら、注文者と店の間で結ばれる請負契約で作られるものだからです。オーダースーツが完成したことをもって代金が支払われればそれで契約は完了します。万が一不具合があっても、できる対策は返品ではなく、修理か損害賠償請求のいずれかです。ただし、店側に採寸ミスや裁断ミスなどの原因があったが明らかな場合には、例外的に返品が認められる場合があります。しかし、オーダーの際に、フィッターとのあいだでしっかりイメージの共有ができていれば、返品が必要な事態は起こらずに済むはずです。また、太った場合などのサイズ直しがしづらいということもあります。サイズが変わりやすい人は、オーダーの際にフィッターに細かい部分まで相談するようにしましょう。

他にもオーダースーツは採寸の手間がかかり、何度も店を訪れなければならないこともあります。そのため完成まで時間がかかります。その点はデメリットに感じられますが、何度も店に足を運ぶことで体の各部分のサイズにぴったり合うものになるので、裏を返せばメリットです。選択肢が多すぎて迷うということもデメリットと言えますが、それだけ個々のニーズに合ったスーツになりやすいということでもあります。どのよう点がなぜデメリットといわれるのかを正しく理解できれば、メリットとしてとらえることも可能です。オーダースーツはデメリットも正しく理解して上手に利用することが大切です。

コスパがいいのは?オーダー方法別の特徴と魅力

オーダースーツでも、何に対してコスパがいいのか把握しておく必要があります。一概に安いことがコスパがいいではなく、ある程度の金額を支払ってもコスパがいいのは何か、ということを学んでおきましょう。

「パターンオーダー」


オーダースーツのうち、最も手間がかからず、値段も安いのがパターンオーダーです。工場で途中まで作ったゲージ服を手直しして仕上げるので、ほかのオーダースーツよりも短期間で仕上がります。パターンオーダーで満足のいくスーツに仕上げるためのポイントは、ゲージ服の数が多い店を選ぶことが大切。パターンオーダーでは、丈を調節することができても、大幅なサイズ直しはできません。そのため、多くのゲージ服の中から自分の体型に近いものを選べるかどうかがカギになります。ゲージ服の段階で満足のいくフィット感であれば、ぴったりのオーダースーツに仕上げることは難しくありません。パターンオーダーは、既製服に近い価格ですが、生地やオプションを選べるので、細かいところにこだわりがある人に向いています。パターンオーダーの場合、2万円~3万円で作れるので、オプション選びを楽しんでみてもよいでしょう。


「イージーオーダー」


イージーオーダーは、独自の型紙を作るので、かなりフルオーダーに近いものを作ることができます。パーツごとに最も体のサイズに近い型紙を選んだうえで、実際の採寸データに基づいて補正を加えていきます。体型に合わせて型紙を起こしていく形なので、体型的な悩みがある人でも着やすいスーツを作ることが可能です。既製服では合うものが見つかりにくいという人も、イージーオーダーを利用すれば、満足のいくスーツを作れます。生地やボタン、裏地などの組み合わせも自由です。価格は、パターンオーダーよりは高くなりますが、フルオーダーと比べるとかなり安いので、コスパのよさは抜群です。


「フルオーダー」


フルオーダーでのコスパの良さを追求するのなら、テーラーや縫製の技術と値段の比較になるでしょう。生地が高級なのに仕立て代が安ければ、それはコスパが良くなります。また、ディテールなどこだわる箇所を減らすことでコスパの良いオーダースーツに仕上げることができます。上限価格のないフルオーダーはいかに腕のあるテーラーを見つけるかがコスパを上げる鍵となるでしょう。

オーダースーツのモデルを押さえておこう!

オーダースーツには、いくつかのモデル(スタイル)があります。オーダースーツを取り扱っている店では、たいてい複数のモデルを用意しています。そのなかから体型や好みに合うモデルを選び、それに手直しを加えて理想のスタイルに近づけていくのが一般的なやり方です。大きく分けるとの3種類です。ここではそのモデルを紹介します。


「ブリティッシュスタイル」


紳士服の起源といわれるのが、伝統的なカチッとしたブリティッシュスタイルです。シルエットはタイトで、肩幅はスクエアショルダー、襟巾も小さめで、胸の厚みを強調し男らしい印象に仕上がるよう考えられています。また、色柄もダークブルーやダークネイビーを基調とした重厚感のあるものが比較的多く、柄もグレンチェックやピンストライプのものが主流。格式の高さを感じさせるスタイルです。


「イタリアンスタイル」


ファッショナブルな印象が強いのがイタリアンスタイルです。最大の特徴としては、ブリティッシュスタイルに相反した柔らかなしたて。生地もソフトでエレガントなものが多いです。またVゾーンも深く、ウエストシェイプが高いことも特徴。クラシコイタリアといわれる「ナポリスタイル」、都会的な「ミラノスタイル」、古典的な「ローマスタイル」などが代表です。


「アメリカンスタイル」


アメリカのビジネスマンは、アメリカ的合理主義を優先し、ファッションにそれほど重きを起きていないと言われています。イギリスやイタリアはウエストを強めに絞りますが、アメリカは絞りが緩いことが多いです。また、肩はナチュラルで、ダーツなども少ない寸胴と言われるようなスタイルが現代の傾向です。

オーダースーツ作りで失敗しないためのポイント


「自分の体型や好みに合うモデルを理解しておく」


オーダースーツ作りで失敗しないポイントといえば、まず、自分の体型を知ることです。手足の長さ、太さはもちろん、首回り、肩幅や胸囲などが主な箇所です。その体型により、どのオーダーパターンにするのか選ぶ基準の一つにもなります。さらにスーツにはモデルがあり、どんなスタイルがあるかを理解しておくことが大切です。自分の体型や好みに合うモデルがわかれば、オーダースーツのデザインはかなり決めやすくなるからです。また、モデルを絞ってオーダーする店を探せば、納得のいくスーツを作りやすくなります。自分が理想とするモデルがあれば、店側ともイメージの共有がしやすいので、モデルについての簡単な知識は持っておくようにしましょう。


「普段着用しているスーツを着ていく」


店舗にオーダーに出向くときには必ず普段着用しているスーツを着ていきましょう。普段のスーツを着ていることで、それまでの問題点はもちろん、シルエットの好みやサイズ感、パンツの丈などをテーラーに伝えやすくなるからです。微妙な肩のシルエットや袖丈、言葉では言い表しづらいパンツのシルエットなども相談しやすくなります。また、靴も普段スーツに合わせる革靴を履いていくのがいいでしょう。床上がりの採寸などがしやすくなります。

セール時期を狙ってお得にオーダースーツを作ろう!

通常の洋服と同様にオーダースーツにもセールがあるので、タイミングを合わせて利用すると、価格を押さえて品質のよいものを作れます。セールの時期は決算期が中心ですが、ほかの時期に行われるセールもあるので、店の情報はまめに確認するのがおすすめです。どの時期に行われるセールも、比較的短期間で終わってしまうことが多いので、注意深くチェックするようにしましょう。タイミングが少しずれただけで、せっかくのチャンスを見度がしてしまうかもしれません。


セールの内容としては、複数のスーツを作ると価格が安くなる「まとめ購入」や、オプションを無料で付けられるものなど様々です。特に、まとめ購入は、通常値段の高い生地を使用するほど割安になり、1着分の価格で2着作れるケースもあります。どんなスーツを作りたいかによって、狙い目のセールが異なるので、お目当てのセールを見落とさないように気を付けましょう。


セール時期はお店によっても異なりますが、一般的なセールは大きく年に2回、1月と7月頃に行われることが多いとされます。その他にもキャンペーンとして春夏秋冬などシーズンでディスカウントが行われることもありますので、お気に入りのテイラーのDMなどをチェックするようにしましょう。

まとめ

高額とされるオーダースーツも、実はオーダー方法やディテールなどよく吟味すると、印象アップが可能なコスパのいい一着を作ることができます。しかしそれには、事前にしっかりとメリット、デメリットを含む多くの知識を得ておくことが大切です。特にどんな自分に見せたいのかで印象を決めるスタイルも生地も異なります。まずは自分に似合うスタイルを探してからオーダーにチャレンジしてみましょう。