柄物のスーツの選び方とは?世代やシーン別、スーツの柄の選び方
監修:石川佳宏(青山店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.05.22 17:48:19
柄物のスーツにチャレンジしてみたいけど、オーダーともなると気が引ける。そんなハードルを感じさせるのは、コーディネートでしょうか?それともマナー?
柄が与える印象を知っていれば、「スーツ×柄」を楽しめます。プロのテイラーによる、スーツの柄選びのノウハウをご紹介いたします。
目次
スーツの「柄」の種類とは
スーツでメインに扱われる柄は「ストライプ」と「チェック」です。
ビジネスシーンでも使いやすいストライプに比べ、チェックはやや需要が少ない傾向にあります。しかし、近年カジュアル化の波に乗って、徐々に人気を集めています。
近年では「タータンチェック」など、伝統的にチェックを用いる「英国調のスーツ」が再注目されています。既製品・オーダーと問わず、全体的にチェックを支持する人が増えています。
無地よりも、実は「柄」の需要は高い
「DIFFERENCE」で扱いのある生地は、約150種。そのうち柄が占める割合は、全体の「6割~7割」に上ります。
スーツを着始めたばかりの20代の方には、柄物のスーツは、やや取り入れにくいという印象があるかもしれません。しかし「DIFFERENCE」では、ニーズに合わせて柄を取り揃えているので、無地に比べて、実は柄を求める人が多くなっています。
柄の種類によって異なる印象の違いとは
柄物の全般は、柄の「大きさ」と「幅」で印象が異なります。
柄の大きさと幅により異なる印象の変化
・サイズが大きくなると、「存在感」が現れる
・幅が狭くなればなるほど、「快活」な印象に
柄の幅が広くなるにつれて、コーディネートが難しくなります。そこで柄の種類に加えて、大きさや幅によって異なる印象の違いについてご紹介します。
ストライプの「間隔」で変化する、印象とは
ストライプは、スーツを複数着持っている方であれば、1着は所有しているといえる程、人気のある柄です。実は一口にストライプと言っても、ラインの「間隔」によって大きく印象が異なります。
ストライプの「間隔」による印象の変化
・小幅なストライプ … 爽やかさを演出したい場合
・幅が広いストライプ … 大人っぽい落ち着いた雰囲気を表現したい場合
このように、ストライプは「幅」の変化により、自分の印象をダイレクトに伝えることができます。
チェックの「大小」で変化する、印象とは
チェックそのものは柔らかい印象を与える効果があります。一方で、チェックでシリアスな雰囲気を出すことは難しくなります。
チェックの大きさによる印象の変化
・格子が大きくなればなるほど「カジュアル」な雰囲気に
・格子が小さくなればやや「フォーマル」な印象に
チェックも格子が大きくなるほど、合わせ方のテクニックが必要になります。チェックの印象を理解して使い分けることがポイントとなります。
その他、よく用いられる「織柄」について
ストライプやチェック同様、柄スーツとして人気の高い「織柄」。シャドー柄とも呼ばれ、織り方で柄変化を見せる生地です。
一見、無地に見ますが、近寄ると柄が浮き出るような印象です。光沢感があり、ドレッシーなのでビジネスだけでなく、セレモニーなどでも着用しやすいスーツです。
世代で変化する、柄への視点とは
スーツの柄は長い期間をかけて流行が移り変わるため、極端な流行による変動は少ない傾向です。一方で、「年齢」によって着用しやすい柄が異なり、世代によって人気を集める柄が変化していきます。そこで、世代別に人気を集めている柄をご紹介いたします。
20代に人気の高い柄とは
20代は、自分で着用シーンをコントロールしにくい世代です。また、手持ちのスーツの数も平均的に少ないので、まずはベーシックなスーツから揃えていきます。その後、20代でも着用しやすい小幅のストライプなどに挑戦していくのが良いでしょう。
フレッシュな青みの強い、「紺系のスーツ」が人気です。同様に、柄も若々しい印象の「小幅のストライプ」や「織柄」から揃える方が多くなっています。
30代に人気の高い柄
少し仕事にも慣れ、スーツによる効用を狙った選び方になる30代。
もちろん、シリアスなシーンでは20代の内に揃えたような、小幅なストライプを着用します。しかし、自分の気分でスーツを着られるようにもなってくるので、「チェック」にも、目を向けるようになります。
ただ、あくまでもビジネスで着用することを考えて選ぶ場合は、柄幅が大きくても、色のトーンを抑え、きつい印象にならないものが人気です。
40代に人気の高い柄
それぞれの部署を代表するようになる40代では、少しベーシックなものに戻ります。会う方に合わせてスーツを選ぶ機会が増え、スーツが名刺代わりになる年齢です。そこで無地やストライプの需要が再び高くなります。
ただ、ストライプでも柄幅のあるものや、「チョークストライプ」という線をぼかした、貫禄が出るものも人気です。
50代に人気の高い柄
50代ともなると、今までの経験により、好みがはっきりと分かれています。あらゆるものを着つくしていることもあり、流行によって柄を選ぶことはほとんどなくなります。立場上、限定的になる面もあるので、迷うことなくスーツを選ぶことが多くなっています。
レセプションなどでは「ダブルストライプ」もおすすめです。落ち着いた雰囲気がないと着こなせない柄でもあるので、50代だからこそ着こなせる柄とも言えます。自分のためのスーツとしておすすめです。
柄の選び方について
スーツの柄はその場の雰囲気に合わせて選択することがベターですが、着る人の体型になどによって似合う柄や不向きな柄もあります。体型との相性を知っておきましょう。
体型と柄の相性とは?
基本的に小柄な方に大きな柄は不向きな傾向です。体に占める柄の割合が大きくなり、柄に着られているような印象になってしまうためです。
ただし、必ずしも「高身長だから大柄が似合う、身長があまり高くないから小さな柄が良い」という訳ではありません。スーツの場合、「表面積」がどれだけあるかによって変化します。身長が高くともスマートな方であれば、太いストライプは避けた方が無難です。
柄によって、体型のコンプレックスはカバーできるのか?
少しスリムに見せるのであれば、ストライプがしっかり入ったスーツを選ぶと良いでしょう。
それ以外のコンプレックスに関しては、柄で解決するよりも、「フィッティング」によるカバーの方が、おすすめです。フィッティングを自己判断するのは難しいので、まずはテイラーに相談してみるのが良いでしょう。
パンツとのコーディネート
「ジャケット」&「パンツ」スタイルのポイントは?
別の柄同士を合わせるのはNGではありませんが、高等なテクニックを要します。できれば避けた方が良いでしょう。
無地と柄の組み合わせであれば問題ありません。上に柄を持ってきても下が柄でも、どちらも大丈夫です。ただ、ジャケットが無地でボトムが柄になると、ブレザーファッションのようなやや砕けた印象になりますので、注意が必要です。
着回しのすすめ
最近多いのは、紺などでシンプルな無地のスーツ上下と、チェックスーツの上下を一緒に購入するパターンです。そのまま着用しても良いですし、組み合わせて全部で4通りの合わせを楽しむこともできます。
TPO別のスーツ×柄のコーディネート
スーツを楽しむ上で、シーンを意識することは欠かせません。着用できる機会を見極めて柄選びをしてみましょう。
「ビジネスシーン」での柄の選び方
ビジネス場では、柄は小柄のものを選びます。色味もネイビーやグレーなど落ちつたものが良いです。
ネイビーは信頼感を、グレーは落ち着きや、上品さを表す色でもあります。ビジネスの場でネイビーやグレーのスーツを着用している人が多いのはそのためです。
貫禄や威厳を演出したい場合は、やや幅広な柄を取り入れても良いですが、年齢や立場も考えて選ぶと失敗が少なくなります。
「パーティー・会食」でのコーディネート
日中のパーティーだったり、招待状に「平服でお越しください」などの記載があったり、カジュアルな印象を出したい時はチェックスーツの出番です。
茶系のスーツに挑戦してみるのもおすすめです。ネクタイを締めても固い印象にならず、その場の雰囲気に馴染みやすいです。
結婚式でのコーディネート
招かれたマナーとして、「主役より目立つことなく、精一杯おしゃれをする」のが結婚式です。色柄はダーク系のものを、コーディネートも抑えたものにします。
また、柄のスーツの時には無地のベスト、無地のスーツの時には柄のベストを合わせると、控えめながらも、スタイリッシュな印象が与えられます
「スーツ×柄」をより楽しむために、テイラーによるアドバイス
仕事で着用するスーツの場合、「相手のことを考えた柄選び」が基本になります。
もちろん好みを優先したい気持ちもあるでしょう。しかし、スーツの印象によって相手から高評価を得られたり、仕事が上手くいったりすれば、好みでない柄を着る「価値」は、大いにあります。
武器としての柄選びは、仕事に対する投資にもなります。ただ、息抜きも大切ですので、少し仕事に慣れてきた頃には、週に1回程度、お好きな柄を着るのもおすすめです。
「柄×スーツ」のコーディネートに抵抗があるという方は「お気に入りのネクタイ」を1本携えて、ぜひフィティングにいらしてみてください。