STYLING GUIDE

オーダースーツのモデルの違いを徹底解説!自分に合うスタイルはどれ?

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監修:石川佳宏(青山店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.05.18 17:04:21


スーツをオーダーするときに一番大切なことは何でしょう?それは意外にも「着てみたいイメージを正しく店側に伝えること」なのです。イメージの共有がきちんとできていれば、思い通りのスーツを手にすることができます。そこで押さえておきたいのが「モデル」。オーダーの際、この「モデル」を基準に話を進めると、イメージの共有が簡単かつクリアに行うことができます。「モデル」にはいくつか種類があり、それぞれの特徴を理解すれば、自ずと自身の好みや似合うスタイルが見えてきます。オーダースーツを考えているなら、まずは「モデル」について理解しておくことが重要です。

オーダースーツのモデルとは?


オーダースーツの「モデル」とは、スーツの全体的な「スタイルサンプル」のことで、オーダースーツの取り扱いがある店舗では何種類か用意されています。細かい部分の違いを指すものではなく、全体のシルエットやフィット感、特にウエストラインと肩回りにはっきりと違いが表れます。


オーダーが初めてという人は、まずモデルの違いをウエストラインと肩回りで判断するとよいでしょう。その部分に注目するだけでも、どれが自分の好みで、体型に合いやすいかがわかるはずです。また、どんなスーツにしたいというざっくりしたイメージも、モデルを用いて説明すれば、クリアに店側に伝えることができます。自身と店側との基本スタイルのイメージのすり合わせができていれば、あとはサイズの微調整でOK。モデルを使用することは、完成した一着が、まるっきりかけ離れたイメージになってしまうことを防ぐ点でとても大きなメリットなのです。


 


「基本の種類:シングルスーツ」


ダブルスーツとシングルスーツの大きな違いは、前ボタンの配列と数。シングルスーツは前ボタンの配列が1列で2つボタンが主流ですが、3つボタンで段がえりというデザインや4つボタンもあり、ボタンの数で着用時の印象が変わってきます。デザインはシンプルで、定番の一着としてビジネスにもフォーマルにも着ることができるため、スーツ初心者は、まずはシングルスーツを用意しましょう。スーツの着こなしに慣れてきたら、シャツやネクタイの色柄で雰囲気を変えてアレンジをします。シンプルなデザインのシングルスーツならば、そんな冒険も楽しむことができるのです。


 


「基本の種類:ダブルスーツ」


ダブルスーツのボタンの配列は前2列で6つボタンが主流。基本的に前を閉じで着用することで、シングルスーツに比べると重厚感が生まれます。華やかさもあるのでビジネスだけでなく結婚式などでも使用できます。近年トレンドのスマートでタイトなシルエットのダブルスーツは、ルーズさがなくスタイリッシュ。若者を中心に人気を集め、パーティーやデートなど華やかなシーンでより一層その魅力が発揮されています。大人の風格や男性のたくましさを感じさせるスタイルが好みの方は、ダブルスーツに挑戦してみてはいかがでしょうか。

国別スタイルの特徴


「モデル」には国の名前が付けられているものが多く、それぞれに特徴があります。とてもわかりやすい特徴なので、基本的な部分を理解しておきましょう。オーダーするときにとても役立ちます。


ブリティッシュスタイルは「伝統」、イタリアンスタイルは「おしゃれ」、アメリカンスタイルは「機能性」を重視。それぞれ特徴がはっきりしているので、代表的なモデルと自分の好みを結び付けておくといいでしょう。


 


「ブリティッシュスタイル」


イギリスの伝統的なスタイルとされるのが「ブリティッシュスタイル」。肩パッドがしっかりと入り、張りのあるショルダーラインが特徴的です。また細めにシェイプされたウエストは、立体的なボディラインを演出し、斜めの切り込みの腰ポケットが胸のたくましさを強調します。パンツも細身で全体のシルエットが細いとされます。ブリティッシュスタイルの象徴的な堂々としたディテールは長身で細身の人に似合います。


 


「イタリアンスタイル


柔らかな仕立てで、トレンド感と華やかさを併せ持つのが「イタリアンスタイル」です。ドレープの利いた滑らかな生地で仕立てるソフトテイラリングは自然で柔らかなエレガントさを醸し出し、肩回りがやや丸みを帯びた立体的な袖付け、胸元のバルカポケット(脇に向けて舟のへさきのように先端が尖った形)、袖口の重ねボタンが美しいラインを作り出しています。さらに細かくナポリやミラノ、ローマ、フィレンツェといったイタリアの都市名が付いたスタイルに分かれるので、他のモデルよりも細かい好みを伝えやすいです。


 


「アメリカンスタイル」


ゆったりしたフィット感が好みの人なら、「アメリカンスタイル」がおすすめです。「寸胴型」ともいえるシルエットは、ウエストラインに絞りがほとんどなく、全体的にナチュラルなシルエットで体格のいい人向きとされます。センターベンツでパンツも太めに作られており、どんな体型の人でも着やすく、動きやすいモデルです。

モデルごとに生地やボタンを合わせよう


モデルは見た目や雰囲気、フィット感に違いがあり、それぞれに合う生地やボタンの色などが大体決まっています。それぞれの特徴を理解していれば、選択肢の多さに悩みすぎることなく絞り込むことができるのです。ここでは、モデルごとにどんな生地やボタンが合うのかを学んでいきましょう。


 


「ブリティッシュスタイルの場合」


かっちりとした印象のブリティッシュスタイルには、カノニコ・イタリアのベーシックなネイビーのストライプやワイドピッチストライプの生地が合います。茶のボタンと合わせることで、軽快な印象に仕上がります。同じブリティッシュスタイルでも、「ブリティッシュトレンドモデル」を選んだ場合には、柄無地の生地がおすすめ。中でも、ラッシャーミルズのブラックやカノニコ・イタリアのネイビーは一押しです。ボタンはベーシックなものをチョイスすれば、おしゃれ度高めなビジネススーツの完成です。


 


「イタリアンスタイルの場合」


フロントの胸ダーツがないイタリアンスタイルの中でも、フィオンティーナモデルには、カノニコ・イタリアの生地のライトベージュに茶のラインがおしゃれなウィンドウペンがおすすめです。胸ダーツやフラップがない分、派手めの柄を美しく活かすことができます。ボタンは深い色味のものを合わせるようにすると、全体が引き締まり、おしゃれ度がアップします。


 


「アメリカンスタイルの場合」


アメリカンスタイルには、カノニコ・イタリアのネイビーにシャドーストライプが入った生地がよく合います。ボタンは同系色の貝などを使用することで品格が上がるでしょう。光沢感がありますが、品があり、着るシーンを選ばない一着に仕上がります。さながら、マンハッタンのウォール街に務める金融系ビジネスマンのような雰囲気が完成します。 

まとめ

オーダースーツは、自身の体型に合った一着が手に入れられるというだけでなく、生地やボタンなどに、自分の好みを反映できるのも大きな魅力です。しかし、オプションを含む選択肢が多い分、自身の好みを反映させすぎて全く合わないものを選び失敗してしまうという結果を招くこともあります。モデルの知識を得て上手にテーラーとイメージ共有することで、 “極上の一着”を手に入れてみませんか?