STYLING GUIDE

メリット、デメリットをひも解き考える、満足いく一着をオーダーする方法

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監修:石川佳宏(青山店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.08.16 15:02:00


着用する目的やシチュエーションを踏まえたうえで仕立てるのがオーダースーツの基本。より自分好みの一着に仕立てたいのならば、テーラーの評判やスーツの基本デザインに関する知識も学んでおくことは重要です。実店舗でのオーダーのみならず、近年登場しているネットオーダー専門のテーラー。その評判やメリットについても学んでいきましょう。

オーダースーツをネットで注文する際のメリット・デメリット


オーダーというと、店舗に行き、テーラーによる採寸や打合せを経てようやくスーツが完成というイメージが強いと思います。しかし、近年ネットオーダー専門のテーラーが続々と登場しています。そこで、ネットオーダーのメリットとデメリットを検証してみましょう。

メリット


ネット上で注文が完了するオーダースーツの最大のメリットは、来店せずに自身の体型に合った一着を手に入れられるという点。店舗に足を運ぶ必要がなく、全国どこに住んでいても、自宅から好きな時間に注文することができるのです。それ以外にもいくつかメリットがあるのでご紹介します。


● 来店の必要がない
● 時間をかけて選べる
● 低価格


来店の必要がない


ネットオーダーの最大のポイントは店舗に足を運ぶ必要がないこと。忙しいビジネスマンには好きな時間にオーダーできるとあってありがたいのではないでしょうか。また「テーラーに入りづらい」「テーラーの接客が苦手」という方も、その必要がないネットオーダーならば、安心して気軽にオーダーすることが可能です。


時間をかけて選べる


ネットを利用すると、生地やデザインの選択に思う存分時間をかけることができます。店員さんの接客がなく焦る必要がないからです。自分の好み、流行などを調査し、勉強しながら時間をかけて自分の好きなスタイルを実現することができるのです。


低価格


路面店やテナントのように人件費や家賃もかからないネットオーダーは、価格が安い傾向にあります。その分、いつもよりもワンランク上の上質な生地をチョイスすることも可能になってくるのではないでしょうか。安くて質の良いスーツが欲しい人にはネットオーダーはおすすめです。


デメリット


時間を気にせず、自宅にいながらにして生地やスタイルを選ぶことができる、そして何より低価格。となれば、ネットオーダーを選ばない理由がないと思いがちですが、もちろんデメリットもあるのです。


● 自分で採寸
● 生地やボタンに触れることができない
● テーラーのアドバイスを直接受けることができない


採寸が必要


ネット注文の一番のデメリットは、自分で体のサイズを採寸しなければならない点。プロのテーラーによる採寸と違い、自分でサイズを測ると、メジャーを当てる場所によって採寸に狂いが生じる場合も……。オーダースーツの良さはジャストサイズに仕立てられる点にありますが、自分で採寸した場合はジャストサイズにならない恐れが出てくるのです。とはいえ多くのオーダーサービスでは採寸マニュアルが準備されています。写真や動画でわかりやすく解説されているので、注文の前に確認することをおすすめします。


生地やボタンに触れることができない


ネットオーダーでは生地やボタンなどの素材を実際に触ったり、見ることができません。そのため、イメージと出来上がりに差異が生じてしまうなんてことも……。このデメリットを回避するには、生地やボタンなどのサンプル画像が明確か、サイズやデザインの選び方の説明は詳しく書いてあるかなどを確認することが必要です。生地の写真だけでは本当の色・光沢・風合いはわからず、納品されてガッカリすることも。ビジネススーツはデザインがシンプルなので、生地のクオリティがスーツのクオリティに直結します。時間に余裕があるのなら、生地サンプルを請求するのが確実です。


テーラーのアドバイスを直接受けることができない


ネットでオーダーするとプロのアドバイスが受けられません。実店舗であれば、プロの店員さんに相談できるのですが、ネットオーダーの場合はすべて自分で決めることになります。 しかし特にこだわりがなければデフォルト設定を選択すれば大丈夫。仕事で使えるスタンダードなスーツなら問題なく作れます。

ネットオーダーは「細かいサービスは受けられないが、便利で低価格」と言えます。「価格重視でピッタリのサイズや好みのデザインを実現したい」という方にはおすすめのサービスなのです。

オーダースーツを実店舗で注文する際のメリット・デメリット

「オーダーするなら、店舗に赴きテーラーとの会話を楽しみながらするもの」。実はオーダースーツをチョイスする方たちの多くがこのような意見を持っているようです。そこで、ネットオーダーと比較するためにも、実店舗のメリットとデメリットをご紹介します。

メリット


大切な時間を割いて、店舗に赴くだけの意味が十分にある“メリット”を紹介します。


● テーラーとのコミュニケーション
● 生地の選び方
● 細かいカスタマイズ


テーラーとのコミュニケーション


実店舗でオーダースーツを作るメリットといったら、やはりテーラーとのコミュニケーションです。スーツのプロフェッショナルであるテーラーの経験からくる知識を参考にしながら選んでいけば、自身の体型にあった、自分好みの特別な一着が出来ることは間違いありません。


生地の選び方


生地やボタンを実際に目にすることができ、触れることが出来るというのも、大きなメリットです。生地の色味等は屋内・屋外等、光の加減の変化でまったく違った見え方をしますし、ストレッチがどれだけ効いているかなどの機能面を実際に触れて確認することもできるのです。


細かいカスタマイズ


着るシーズンや作ったときの気分や流行、どんな場面で着用する一着なのかによって細くカスタマイズできるのもオーダーの利点。実店舗ならば、テーラーという頼れる存在がいるので、カスタマイズしがいがあるというものです。「時計をつけるから左袖だけ5mm短く」なんてことだって、反映させることが可能なのです。


デメリット


実店舗のデメリットは、実はメリットになりうるものがいくつかあります。デメリットをメリットに捉え直す方法も併せて紹介します。


● 接客されるのが苦手
● 選択肢が多く、迷ってしまいがち
● 完成までに時間がかかる


接客が苦手


実店舗の最大のメリットである「テーラーとのコミュニケーション」。実はこれは人によってはデメリットになってしまうのです。それは「テーラーの接客が苦手」という場合。ゆっくりと自分のペースで選びたいのに、間髪入れずに話しかけてくる店員さんの接客を苦手としている人は意外と多いものです。


選択肢が多く、迷ってしまいがち


オーダースーツは、既製服と違い、自分の好みで選べる部分が多くあります。それは、本来メリットのはずですが、なかなか決められない人や知識や作りたいものが明確でなければ、とても大変な作業になります。しかし、その点をサポートする人がいればデメリットではなくなります。友人や家族でもいいですし、テーラーさんや店員さんに相談しながら選ぶでも構いません。自身のニーズを引き出すように質問をしてくれる人が近くにいれば、楽に選べるようになるはずです。


完成までに時間がかかる


オーダースーツは、フルオーダーを選ぶと、採寸のために何度か店舗へ行く必要があります。納期も3週間~1カ月くらい、パターンオーダーは約2週間。店舗まで何度も出向かなければならない点が面倒という場合は、オーダーのスタイルを変えることで回数を減らすことができます。フルオーダーの場合でも、自宅まで出張して採寸してくれる店があるので、この部分のデメリットは克服可能です。また、体型や好みに合ったスーツという最大のメリットを得るために最低限必要なことだと理解できれば、デメリットとは感じられなくなるかもしれません。

スーツの基本デザインを押さえてかっこいいスーツを作ろう!


ビジネスシーンでもフォーマルシーンでも、スーツで大切なのは基本デザインを押さえることです。上質な生地と確実な縫製技術で仕立て上げれば、それだけで格好良いオーダースーツが完成します。奇をてらったファッションではなく、本物志向のスーツ作りが、その人を本当の意味で輝かせてくれるのです。また、自分が欲しいと思うスーツや場面に最適なスーツのスタイルを知っておくのも重要。ここではスーツの基本デザインを学びましょう。

シングルスーツ


2000年代のビジネススーツの定番といえば、2つボタンの「シングルスーツ」です。ラペルはオーソドックスなノッチドラペル、ポケットはフラップポケット。たまにビッグサイズやダブルのスーツがトレンドになることはありますが、細身のシルエットが基本デザインとして長く定着しています。その影響で、近年パンツのディテールも足元がスッキリ見えるシングルカフス、腰回りが程よくスマートなワンタックかノータックが定番になっています。


ダブルスーツ


ダブルスーツの主流は、前ボタン配列が2列で6つボタン。選ぶ色柄によって、シングルより面積の多いダブルはカッチリとした雰囲気になり、フォーマルなイメージがやや強くなります。近年ではファッションを考える上での1つのポイントとして、シルエットが重要視され、比較的タイトでスリムさのあるシルエットが若者を中心に人気を集め、ダブルスーツの形もルーズさがなくなりスタイリッシュな形が増えています。

オーダースーツ作りで失敗しないためのポイント


既成品よりもジャストサイズで仕立てられるとはいえ、満足できるオーダースーツを作るにはいくつか押さえておきたいポイントがあるのでご紹介します。

着用するシーンを明確にしておく


ひと言でスーツといっても、ビジネス用、フォーマル用、カジュアル用と用途は色々。着用するシーンによっては使用しないほうが良い生地やデザインも存在します。また、オーダースーツを仕立てる際は、着用頻度も大切。着用する機会の多いスーツを繊細な生地で作ってしまうと、早く傷んでしまうので要注意です。逆に、フォーマルスーツに安いビジネス用の生地を使うのは、格が下がってしまうのであまりふさわしくありません。毎日の通勤で使うのか、商談や会議などここぞというときに着用するのか、夏用か冬用かなど、オーダースーツを作る前にさまざまなシチュエーションを想定しておきましょう。


お店およびテーラーの評判を事前にチェックしておく


オーダースーツの出来栄えはテーラーの腕によるところが大きく、お店の評判はあらかじめリサーチしておくと間違いがありません。複数のお店でカウンセリングを受けて、一番対応が良かったお店で作るのも一つの方法です。テーラーの対応は丁寧か、オプションや生地の種類は豊富か、質問にはすべて答えてくれるかなどチェックしましょう。アフターサービスについても確認しておくことも、一着のスーツを大切に長く愛用するために重要です。

オーダースーツはこんな人におすすめ


デザインの自由度が高いのもオーダースーツの良いところ。仕事用にカチッとしたり、少し遊びを利かせてカジュアルにしたりと、仕上がりのイメージがしっかりとある人にはオーダースーツはおすすめです。また、体型による悩みも人それぞれです。「ウエストで合わせると、いつもジャケットの丈が長すぎる」や反対に「ジャケットをジャストサイズに合わすと、いつもスラックスがキツイ」など、上下同じサイズで購入しなければならない既製品では、どうしても体型にフィットしないという人にもオーダースーツはおすすめなのです。


結婚式を控えた新郎およびゲスト


結婚式では、主役の新郎だけでなく、招待客も服装マナーに沿った装いが必要です。タキシードが定番の新郎の衣装は、着る機会が好きないのでレンタルする方が多いですが、デザイン性を考えるとオーダーメイドで作ったほうがセンスよく決まるものです。晴れの舞台だからこそ、自身の個性や好みを存分に詰め込むということもあり。結婚式が終わればビジネス用スーツにリメイクしてくれるテーラーもあるので、タキシードを着るならオーダースーツがおすすめなのです。

招待客はというと、立場や出席する時間帯によって、モーニングコート、燕尾服、ディレクターズスーツと装いが変わります。平服が指定されている場合は、略礼装のブラックスーツでOK。ブラックスーツは結婚式だけでなく、あらゆるフォーマルシーンに活用できるので、1着持っていると重宝します。既成品でも悪くはありませんが、社会人にとって体型に合ったスーツは身だしなみの一つ。また、冠婚葬祭の服装マナーは相手に対して礼を尽くすことにもつながります。冠婚葬祭はすべての人にとって想い出に残る1日になりやすいもの。頻度が少ないからこそ、体型にあった一着、オーダースーツがおすすめなのです。


これから社会人になる就活生


就活生が就活時に着用するリクルートスーツ。はっきりとした定義はありませんが、一般的にブラックやダークネイビーのスーツを着用する学生が多いようです。就活中はセミナーや就職説明会、面接など歩き回ることが多いので、繊細な生地は向きません。しかし、量販店で売っているリクルートスーツは、学生でも購入できるように、かなり安い生地を使用し価格を下げています。長い人生のなかで見れば就活期間は短く、安いスーツを複数買って着回すこともありです。しかし、やはり見栄えや印象の良さが雲泥の差になるのは言うまでもありません。面接で好印象を勝ち取るにはまさにオーダースーツがぴったりとされるのです。

まとめ

高品質なオーダースーツとは、自分自身を素敵に見せ、袖を通した時に満足いく一着であること。そのためにオーダー方法は実店舗に足を運ぶべきかネットオーダーがいいのか……。今回ご紹介した様々なポイントをまず整理してから選択してみてはいかがでしょうか?メリット、デメリットをしっかりと理解し、自分だけの愛着湧く一着を手に入れてください。