長く使えるコートに出合うなら、オーダーメイドがおすすめ
監修:堀省次(KITTE丸の内店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.08.15 10:54:32
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北風の強い屋外やビル風の強いオフィス街で必要なのが、スーツの上に羽織るコートです。特に気温が低くなる真冬には、保温効果の高い暖かなコートが欠かせません。ビジネスシーンにおいては、着用シーズンが短いと思われがちですが、だからこそ何年も着ることのできるコートを選びたいものです。上質で耐久性のあるコートを手に入れるなら、オーダーメイドがおすすめです。今回はビジネスシーンで使えるコートの種類、オーダー時におさえるべきポイントなどをわかりやすく解説します。
オーダーコートのメリット
スーツをオーダーメイドする人はいても、コートをオーダーする人は少ないかもしれません。ましてやスーツと一緒にコートをオーダーする人は、かなりまれではないでしょうか。でも、実はスーツよりコートの方がオーダーメイドしやすいことはご存知ですか。オーダーコートは比較的サイジングが自由。コートの下でジャケットがシワにならないよう自分好みの微妙なサイズ感を反映しやすいうえ、好みの生地やデザインも選べるとあってオーダーのし甲斐があるのです。重ね着する季節だからこそ、動きやすさを追求したりと、既製品にはないメリットがあります。
ビジネスにも使えるコート3種類
ビジネスシーンで使えるコートは、主に「ステンカラーコート」「チェスターコート」「トレンチコート」の3種類です。それぞれの特徴について解説していきましょう。
「ステンカラーコート」
ビジネス用の定番コートといえば「ステンカラーコート」です。後ろ襟に高さがあり、前襟は折り返し風のデザインが特徴です。トレンドに左右されることがほとんどないため、10年以上着用する人も少なくありません。ステンカラーは全体的にスッキリとしたシルエットになるため、それほど着る側の体型が限定されないのがポイント。ボタンを全開にしたり、第一ボタンまできちんと締めるなど、簡単な着こなしのアレンジでおしゃれに見えます。
「チェスターコート」
フォーマル感がある「チェスターコート」は、スーツに合わせるのに最適なコートといえるでしょう。ノッチドラペルカラー(いわゆるテーラードジャケットと同じ形の襟)で洗練された印象を打ち出すことができます。比翼仕立ての隠しボタン(布を二重にしてボタンが見えないようにする)が正式なデザインです。カラーストールをVゾーンにアレンジすることでリッチな雰囲気になります。
「トレンチコート」
年齢、性別問わず人気のある「トレンチコート」は、もともとイギリス陸軍のために開発されたミリタリーコートです。防水性、防寒性に優れ、肩のエポーレット(肩に付いた小さなベルト)、前身頃上部のガンフラップ(肩から胸にかけて付いている布)などは、ミリタリーコートの名残が特徴的です。きちんとした見た目からビジネスシーンで着用する人は多いのですが、実はフォーマルシーンには向きません。着用機会はビジネスシーンのみなのか、フォーマル時にも着用するのかで、コートの種類を選ぶようにしてください。
長く使えるビジネスコートの選び方
既成のビジネス用コートは定番以外のデザインはほぼありません。一方、オーダーメイドのコートは、素材やサイズ感、柄の有無など比較的自由に選べますが、個性を出したくなりがちです。しかし、上手く選ばないと日常使いがしづらくなるので注意が必要です。ビジネス用に作るなら、スーツと合わせやすく耐久性があり、防寒性の高いコートをオーダーしましょう。
「柄」
初めてオーダーするなら、無地の生地で作るのをおすすめします。ストライプやチェックなどの柄物は、地味な色でも柄物のスーツとは合わせにくく、コーディネートの幅を狭めてしまいます。また、コートを毎日着用していると、袖口や裾などがどうしても汚れるので、汚れの目立ちにくい濃い色の生地を選ぶ方がいいでしょう。明るめの色も薄汚れて見えやすいため、明度の低い色にしておく方が無難です。“それならば黒いコートにしよう”と思うかもしれませんが、実は、黒は付いたホコリや汚れが白っぽく見えてしまうので、結局汚れが目立ちやすくなります。グレーや紺、ブラウンなどがおすすめです。
「生地」
コートの生地はやはり厚手で強度のある素材がおすすめです。カシミア100%の生地は、肌触りや着心地が良く見た目も上品ですが、雨風にさらされたり、バッグのショルダーストラップによる生地のへたり、満員電車での摩擦などで生地が傷む可能性があります。ビジネスのみの使用なら、デリケートな生地は避けたウール素材の方が良いでしょう。
「サイズ」
ビジネス用のコートは、基本的にスーツの上に着用します。コートの下に着ているジャケットがよれたり、ひどいシワが付いたりしないよう、サイズにはある程度の余裕を持たせることが大切。もちろん、着用したときのコートのシルエットは美しくあるべきですが、ジャケットほど体型に合わせなくても大丈夫です。
コートをオーダーする際の準備
コートをオーダーする前には、オーダースーツの時と同じように、自分がどんなコートをオーダーしたいかを具体的に考えておかなければなりません。加えて、下に着用するスーツがどんなものかを考える必要があります。持っているスーツを思い出しながら、しっかりと自分がオーダーしたいコートをイメージしましょう。
「目的を決める」
コートを着用するのはどんなシーンでしょうか。コートの用途を考え、それに合わせて採寸すれば、肩や腕周りが窮屈になる、デザインが似合わないといったリスクを回避できます。過去に購入した既製コートに不満な点を考えると参考になります。ある程度の融通が利くオーダーコートだからこそ、事前にしっかりと着用機会、目的を考え、自らのイメージを明確にしておきましょう。
「合わせるスーツを決める」
ビジネス用コートは、スーツの上に羽織っても窮屈でなく、動きやすいことが重要です。オーバーサイズ、タイトなデザインが流行るケースもありますが、ビジネス用コートで重要なのはマナーから外れないことです。サイズはほぼジャストサイズにするのが良いでしょう。ビジネスシーンで長く使えるコートは、流行に左右されないオーソドックスなデザインを選ぶことが重要です。
コートをオーダーする際のポイント
コートをオーダーメイドするときは、必ずスーツを着用したうえで採寸してもらいましょう。可能であれば、自分のサイズに近い完成品のサンプルコートを着用してみてください。選ぶ生地やボタンなどのパーツ、見た目だけではわからない着心地や周りからの見え方も、しっかりと確認することができます。
「着丈」
オーダーコートで最も注意すべきは「着丈」です。丈の長さは大きく分けると3種類あります。腰回りが隠れる「ショートレングス」、膝丈くらいの長さの「ミディレングス」、足首の上辺りまでの長さのものを「マキシレングス」です。ショートレングスは活動的なイメージで、身長が低めの人でもバランスの良い着こなしができ、少しカジュアルな印象になります。コートの定番といえるミディレングスは、1着目のコートに向いています。腰回りから太もものラインを覆ってくれるので、防寒性が高いというメリットがあります。一方、マキシレングスは流行に左右される部分が大きいため、長く使いたいビジネス用コートとしては不向きです。特に、身長の低い人には難易度が高いコート丈なので、避けた方が無難です。
「裏地」
コートの防寒性、保温性をいかんなく発揮させるためには「裏地」選びも重要なポイントです。厚手のコートに合わせるなら、傷みやすい繊細な裏地ではなく、強度の高い裏地を選びましょう。キュプラやポリエステルがおすすめです。キュプラ100%は耐久性と吸湿性に優れていますが、湿気によりシワになりやすいという弱点があります。また、ポリエステル100%は少し安っぽく見えることがあるので、キュプラとポリエステルの混紡を選ぶといいでしょう。春先は気温が高くなるので、背抜きタイプのスプリングコートもおすすめです。
まとめ
ファッションに流行があるように、当然ビジネス用コートにも流行りはあります。コートをすでに何着も持っているならトレンド重視のデザインを選ぶのもいいですが、初めてコートをオーダーメイドするなら、ビジネスマナーから逸脱せず、永く着用できるベーシックなデザインを選ぶようにしましょう。DIFFERENCEは体型や身長、着心地や好みを勘案して、その方に最適なご提案します。毎日のスーツスタイルを更に魅力的にすべく、オーダーメイドで“あなただけのコート”を作ってみてはいかがでしょうか。