STYLING GUIDE

オーダースーツはなぜ人気?依頼の手順や選び方のコツ

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監修:佐々木信也(淀屋橋橋店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.08.04 14:08:08


デザインだけでなく、自分の体型にフィットしたスーツを持つことは、大人のたしなみの一つではないでしょうか。しかし、体型にピッタリとフィットする既製品のスーツを見つけることはなかなか難しいところ。その点、オーダースーツであれば、採寸したサイズに沿って作るので、簡単に体にフィットした一着を手に入れることができるのです。ではどのようにオーダーしたらいいのでしょう?ここでは、オーダーする際の手順、ショップや型紙の選び方などについて紐解いていきます。

オーダースーツとは?

オーダースーツとは、サイズやデザイン、シルエットなどを依頼主が個別にオーダーできるオリジナルスーツのこと。既成品のスーツは完成した状態でお店に並べられおり、手軽に購入できます。しかし、既成スーツの型紙は万人の体のサイズに対応しているわけではないので、ピッタリと合う人は少ないのではないでしょうか。その点、オーダースーツは顧客の注文を受けてから制作を始め、採寸し、その人のサイズに基づき作られるので、着用する人の体型に合った一着に仕上げることができます。また、スーツを自分の好みのデザインにカスタマイズできる点も魅力です。既成のスーツにはベーシックやトレンドなど、多くのデザインがありますが、サイズ同様に好みも千差万別。ジャケットのデザインはいいけど、パンツのデザインが自分には似合わない……ということも。その点、オーダースーツの場合は、細部にわたって自身のこだわりをデザインに反映させることができるので、満足いく自分だけの一着を手に入れることができるのです。

オーダースーツを作る際の具体的な手順


オーダースーツを作るときの手順は5つのステップに分かれます。ここでは作業内容だけでなく、それぞれのステップで注意したい点や押さえておきたポイントもご紹介します。


「1 カウンセリング」


オーダーするテーラーが決まったらカウンセリングを行うことが一般的です。ポケットや襟元、パンツのタックなど、細かな部分のデザインについて話し合います。実はここでイメージや要望をきちん明確にと伝えることが大切。ビジネス用、フォーマル用、プライベート用など、オーダースーツを着用するシーンも伝えることで、テーラーも最適なスーツを作るための質問がしやすくなり、イメージした仕上がりにも繋がります。


「2 生地を選ぶ」


テーラーに展示されている現物の生地、サンプル、バンチ(生地見本帳)の中らからスーツに使う生地を選びます。中には、店頭にある在庫生地とカタログ生地とを合わせて、3,000種類以上もの生地から選ぶことのできるお店もあるほど。そんなにたくさんの種類からどうやって選べばいいか迷ってしまうかもしれませんが、予算や希望の色味、柄、着用シーンなどを相談すれば、テーラーが的確な生地をおすすめしてくれます。また、実際の生地を見るだけでなく、触れてみて感触や機能性を確認するのも大切です。


「3 採寸」


生地が決まったら、オーダースーツを仕立てる中でもっとも重要な工程ともいえる採寸です。オーダースーツの魅力のひとつ「フィット感」は、この採寸によって大きく左右されます。各所を細かく測り、体型や姿勢、クセなどを踏まえて、美しいラインのスーツになるよう体型補正を入れます。カウンセリングで伝え忘れたことや、なで肩やO脚などの気になる体の特徴があれば、採寸時にフィッターに伝えると良いでしょう。また、少し面倒でも通常着用しているスーツとそれに合わせている靴を履いて行くことをおすすめします。採寸がはかどりますし、完成後に修正する必要がほとんどなくなります。なかなかお店にいく時間がとれない方向けには、オフィスや自宅にフィッターが出向く「出張採寸」というサービスを行っているところもあるので、確認してみましょう。


「4 製作」


採寸後からは、テーラー側の作業。オーダー方法により異なりますが、採寸した情報をもとに型紙が製作され、生地の裁断、縫製が行われます。この時、テーラーによっては仮縫い段階でフィッティングをすることもあります。この工程を経ることでテーラーと一緒にイメージをすり合わせ、異なる箇所は修正を加えることができるのです。


「5 お渡し(必要な場合は再調整)」


いよいよスーツの完成です。テーラーから連絡が入ったら、店頭に受け取りに行きます。遠方に住んでいる場合は店舗によって、配送サービスを行っていることもあるので確認しましょう。受け取ったら、実際に着用してサイズなどを最終確認。もし、サイズや仕様、縫製など不備があった場合は、お店の保証に基づいて修正してもらいましょう。

オーダースーツが人気な理由


昨今、人気が高まってきたオーダースーツ。でも、「オーダースーツに興味はあるけど、なぜ人気なの?」という方も少なくないはず。ここでは人気の理由をいくつかご紹介します。


「好みのデザインや生地を選べる」


スーツ生地は多くの素材やブランドがあり、組み合わせることで高級なスーツを仕立てることも可能。しかし、本当によいスーツは高い生地を選ぶだけではなく、「スーツを着る目的に合っているかどうか」まで考えること。ビジネスはもちろん・パーティー・プライベート用など、多岐にわたり目的は異なります。また細かく見ると、着用頻度や移動の有無、季節でも変わります。上質な素材・柄・ブランドも、スーツ生地選びの楽しみの一つですが、一番大切なのは、着たいシーンに合わせて、心地よく着られるかということ。値段やブランドロゴに惑わされず、自分の目的にあった生地を選びましょう。


「細部までこだわりを尽くせる」


トレンドにとらわれずに、自由にデザインを選ぶことが出来て、理想とする一着を実現しやすいのもオーダースーツの魅力の一つです。オーダー方法によっても変わりますが、色・柄、ボタンのデザインなど、細部にわたって自身の好みを反映できるからです。自分らしさが盛り込まれた一着は着用する人が満足できるだけではなく、ビジネスシーンで関わりある人からの好印象も得やすくなるというメリットもあるのです。


「生地に余計な負担がかからず長持ちしやすい」


細かな採寸により、自身の体に合ったサイズのスーツに仕上がるので、生地に余計な負担がかからず、長持ちしやすいことも人気を集める理由の一つです。オーダースタイルによっては、既成のスーツの値段とさほど変わりなくオーダーができるため、コストパフォーマンスも良いといえます。

オーダースーツを作るときの注意点


ここまで、既製品では得られないオーダースーツの良さをご紹介しました。しかし、既製品である程度満足していた方にとって、オーダースーツの特徴がデメリットに感じることもあるかもしれません。ここでは、デメリットになりうる可能性のある特徴をいくつかご紹介したいと思います。


「完成までにはどうしても時間がかかる」


店頭に並ぶ既成のスーツとは異なり、完成までに時間がかかってしまうのがオーダースーツ。購入し裾上げをすればすぐに着用でできる既製品とは違い、オーダースーツの場合は、採寸から仮縫い、試着、縫製などのステップを経て完成に至ります。したがって、オーダー方法にもよりますが2週間~1カ月程度の時間が必要なのです。オーダーをするときには店側に、完成までにどれくらいの時間がかかるのかを確認しておくことが大切です。


「カスタマイズの仕方によっては高額になってしまう」


オーダーする際には完成までの時間だけでなく、値段の確認を事前にすることも大切。特にイージーオーダーやフルオーダーではカスタマイズの仕方によっては、最初に聞いていた価格よりもかなり高額になってしまう場合もあるので、その都度金額を確認することも重要です。


「体型が変わってしまうと着心地が悪くなる」


着用する人者の体にぴったり合ったサイズに作られるオーダースーツ。作った後に、体型が変わってしまうと着心地が悪くなってしまうケースがあります。スーツが少しでもきつくなってきたら、それは太ってきた証拠と捉え、体型維持にオーダースーツを役立ててみてはいかがでしょうか。スーツを長く愛用できることにも繋がってくるのでおすすめです。

オーダースーツを選ぶコツ


「オーダースーツを仕立てたのに、何だかイメージが違った……。」と、せっかくオーダーするなら、なるべく失敗はしたくないものです。ここでは満足いかない一着を手に入れることを避けるために、オーダーの“コツ”を学んでおきましょう。事前に知っていると知らないとでは、満足度が大きく違ってくるはずです。

「好みのデザインや生地をチェックしておく」


自身の持つイメージや写真だけでオーダースーツの生地の色やデザインを決めてしまうと、仕上がりに満足できない場合があります。選択肢を広げるためにも、できるだけ多く実際の生地やデザインをチェックしておくことが大切です。テーラーには、生地見本やスーツの型紙が多く展示されているので、参考までにきちんと見ておくことをおすすめします。


「適正価格を見極める」


スーツをオーダーするときには適正価格を見極めることも大切です。生地やカスタマイズによって価格が大きく変わるオーダースーツですが、値段は高ければ高い程良いというものでは決してありません。発色がよく1本1本の糸が細い繊細な生地は高価な傾向にありますが、破れやすいという特徴があります。毎日着用するスーツには、このような生地は不向きです。また、安価過ぎるスーツは仕上がりが粗悪で長く着用できないこともあります。値段が安くても、着用できる期間が短すぎれば、コストパフォーマンスが悪いということにもなりかねません。リーズナブルにスーツをオーダーしたいと思ったら、事前にシステムや参考までに利用した人の口コミなどに目を通すこともおすすめします。


「プロによる的確なアドバイスを受ける」


「こんなスーツにしたい」というイメージが固まっている場合でも、プロによるアドバイスには耳を傾けることが重要です。生地の性質と型紙の相性によっては、スーツが破れやすくなったり、傷みやすくなったりするケースもあります。成功例だけでなく、失敗例も知識として持ち合わせているプロのアドバイスは、自分だけの最高の一着を手に入れるためには必須なのです。

まとめ

オーダースーツを“着用する”メリットは多く、「一着作ってみたい!」と考える人は多いはず。手順やポイントなどを理解すれば、オーダーするのは難しいことではありません。世界ひとつの満足いく自分だけの一着を手に入れたら、その心地よさが手放せなくなるのは間違いありません。ぜひ一度「自分オリジナル」のスーツで個性を表現してみてはいかがでしょうか。