STYLING GUIDE

オーダーシャツに形状記憶加工の生地を選ぶ理由とは?

投稿日時:2018.06.28 17:02:15


普段着ているシャツにはデザインやサイズ感のみならず、機能面での不満や悩みもあるはず。オーダーシャツでは、それらを解消できるような機能を追加することができ、より満足のいくシャツに仕上げることができます。なかでもオススメなのが「形態安定加工」。今回は形態安定加工について、知識を深めていきたいと思います。

形態安定シャツとは?


シワをできにくくする特殊加工「形態安定加工」が施されたのが形態安定シャツ。洗濯後に干しておくだけでシワが伸び、アイロンが不要なのが特徴です。この加工により、繊維の1本1本が元の状態に戻ろうとする働きを記憶しているのです。自宅でのケアが格段にラクになります。

形態安定シャツのメリット

最大のメリットは洗濯後のシワを抑えることで、アイロンがけの手間を軽減できること。現在は多くのブランドが同様の商品を販売していますが、違いやどのような基準で選べばいいのかわからないという方も多いはず。そこで、上質な形態安定シャツを選ぶために大切なポイントをご紹介します。


「シワがつきにくい」


繊維ごとにシワができる以前の状態を覚えさせ、形が変化したらすぐに元の状態に戻るようにすることで、繊維はシワのない状態に戻ろうとします。そのため、綿や麻などシワになりやすい生地でも形状記憶の加工を施すことで、シワが目立たなくなります。洗濯をしてもシワができにくく、干すときに軽く繊維の向きを整えるだけで、アイロンなしでも着られる状態になるのです。


「型崩れしにくい」


シワをできにくくする以外にも、形態安定シャツには型崩れを防止する作用もあります。自ら最初のベストな状態に戻ろうとするため、シワになりにくく型崩れも防げるので出張や旅行など畳んでスーツケースに収納するときにも便利です。


「乾きが早い」


旅先でシャツにシワができても、軽く水に濡らしシワを伸ばして干すだけで、短時間でシワが目立たない状態になります。乾きが早い点も大きなメリットです。気軽に手洗いして干すだけで着られれば、濡れたシャツを必死にドライヤーで乾かしたり、旅先に小型のアイロンを持参する必要もなくなります。家庭で洗濯する場合でも、アイロンがけの家事負担を軽減できるのも嬉しい限りです。

形態安定シャツを選ぶときのポイント

オーダーでも形態安定シャツを作ることができます。生地の時点ですでに加工が施されているので、形態安定加工された生地を選べばいいだけ。ここでは、選ぶ際に確認すべきポイントをいくつかご紹介します。


「W&W性の数値を確認する」


JISが定めているW&W性(ウォッシャブル&ウェア性)の数値を確認すれば、どのくらいシワになりにくく型崩れしにくいかがわかります。W&W性は洗濯後のシワの残り具合を表す数値で、3.2級以上あるものが形態安定シャツです。3.2級は洗濯後のシワが50%抑えられているレベル、最高級の5.0級は100%シワが残らないレベル。形態安定をうたっている生地ならW&W性の表示があるかどうかを必ず確認しましょう。


「綿の割合を確認する」


形態安定加工を施すなら、綿の割合が多い生地を選ぶことが重要。綿は通気性も吸湿性も申し分なく、肌触りも良いうえに丈夫で長持ちします。しかし、洗濯でシワになりやすいのが唯一の欠点。その点を形態安定加工で補うことができれば、シャツには最適といえる生地になります。せっかくオーダーするのですから、機能だけ、デザインだけというピンポイントなこだわり方ではなく、様々な観点からみた自身の“こだわりと好み”をしっかり盛り込むことをおすすめします。

形態安定シャツを長持ちさせる方法

形態安定で型崩れを防げるといっても、誤った洗濯方法で繰り返し洗っていたのでは、形をいい状態で長く保つことはできません。自宅で洗えるのか、それともクリーニングに出さなければならないのかを洗濯表示タグで確認し、指定された洗濯方法を守ることがシャツを長持ちさせるポイント。形態安定加工がある生地がどうかと同時に自宅で洗濯可能かどうかは、既製品とは違い、オーダーの場合、生地選びの段階で確認することができるのです。


「洗い方」


形態安定シャツを長持ちさせるためには洗い方にもコツがあります。形態安定シャツは、洗濯ネットに入れれば洗濯機で洗えます。ただし、汚れがよく落ちるように裏返してからネットの大きさに合わせてたたんで入れるのがポイント。いくら白い生地のシャツでも漂白剤の使用は避けましょう。形態安定加工が施されているシャツは、ほとんど自宅で洗える素材が使われています。しかし、中には自宅では洗えないような素材が含まれていることもあり、その場合はクリーニングに出すことをおすすめします。


「干し方」


脱水は軽めにして、できるだけ濡れた状態で干し始めるのが基本。ネットから取り出したら表に返し、太めのハンガーにかけて干します。ハンガーにかけた後、軽くシワを伸ばすようにしておくことをおすすめします。この“シワを伸ばす”という工程をいれることで、乾いたときシワがなくなり、アイロンをかけずに着ることができるのです。

まとめ

サイズ感はばっちり、自身の好みのデザインやこだわりが詰め込まれた特別なシャツ。そんな特別な一着なのに、洗濯を繰り返すことで、よれたりシワがよったりしてしまうと、着た時にだらしなく見えてしまいます。しかし、ベストな形状を記憶したシャツであれば、こだわりのデザインを長く維持し続けることが可能。オーダーシャツは生地が丈夫なので、既製品よりも長く着ることが出来るのも大きなメリットの一つ。だからこそ、デザインの美しさを長く持続させるために形態安定加工が施された生地を選んで作るのがおすすめなのです。デザイン面だけでなく機能面でも優れたシャツをオーダーで手に入れてみてはいかがでしょうか。