STYLING GUIDE

柄物のスーツでおしゃれ度アップ!
世代やシーンでの選び方のポイントとは?

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監修:石川佳宏(青山店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.05.16 12:55:57


パターンド(柄物)・スーツに挑戦してみたいけど、オーダーとなると、着回し力のある印象のソリッド(無地)スーツを選んでしまいがちです。そんな、柄物に対してのハードルの高さは、着用シーン別のマナーを気にしてか、それともコーディーネートの難しさからなのでしょうか。しかし、このハードルは、柄が与える印象を知ることで簡単に超えられ、「スーツ×柄」を楽しめるようになります。そこで、今回はスーツ柄選びの押さえておくべきポイントをご紹介します。

スーツの「柄」の種類とは

スーツでメインに扱われる柄は「ストライプ」と「チェック」。ビジネスシーンでも使いやすいストライプに比べ、チェックはやや需要が少ない傾向にありまが、近年のカジュアル化の波に乗り、徐々に人気を集めています。大きい格子柄や千鳥格子、グレンチェックなどが代表とされますが、「タータンチェック」などの、伝統的にチェックを用いる英国調のスーツは再注目され、既製品・オーダー問わず、全体的に支持する人が増えています。


「ストライプ」


1着目のスーツとしては少しハードルが高く選ばれにくい柄物スーツ。しかし、ネイビーやグレー系のストライプスーツは無地と同じ感覚でコーディネートができるので1着目の柄物としておすすめです。中でもピンストライプやペンシルストライプはビジネススーツの定番になっているので気負うことなく着用できるでしょう。ただ、生地の色、ストライプの太さや間隔、色によっても雰囲気が異なってくるため、自身の職業を踏まえたうえで、どう自分を見せたいかを考えて選ぶことが重要です。


「チェック」


近年のスーツトレンドである「英国テイスト」の流れから、グレンチェックや千鳥格子など伝統的なチェック柄を数多く取り揃えたイギリス生地の人気が高まっています。ビジネスシーンにおいては、柄物スーツというと、カジュアル感の少ない印象の「ストライプ」をチョイスされる方が多いようですが、「チェック」は、明るさ・柄の違いをすべて含めると膨大な数の種類があり、その種類の多さから選択肢は様々。ビジネスシーンにオススメのダークカラーや柄の大小、チェック柄の種類によって印象を自在に広げることが可能です。各ブランドから出ている「チェック柄」を知ることでオフィスの装いが変わるのは間違いありません。

柄の種類によって異なる印象の違い

柄物の全般は、柄の「大きさ」と「幅」で印象が大きく異なります。柄のサイズが大きいと個性的に映るため見た目の印象は強く残り、「存在感」が増します。ストライプの場合でいうと、ストライプ線が太くなれば縦線の印象が強くなり、視覚的な縦長効果も期待できます。逆に、幅が狭くなればなるほど「快活」な印象になります。また、柄の幅が広くなるにつれて、コーディネートが難しくなっていきます。身長や体型などにより似合う柄も異なりますので、わからない場合はテーラーなどプロにアドバイスをもらうのもいいでしょう。

ストライプの「間隔」で変化する、印象とは


一口にストライプと言っても、ラインの「間隔」によって大きく印象が異なってくるのです。小幅な感覚は爽やかさを演出し、間隔幅が広いと大人っぽい落ち着いた雰囲気を演出してくれます。ストライプの「幅」の変化が、視覚的に自分の印象をダイレクトに相手に伝えてくれるのです。話し手が聞き手に与える影響のうち、55%が「視覚情報(表情や立ち居振る舞い、見た目など)」だそう。つまり、どんな素晴らしいトークを繰り広げても、身だしなみによっては、相手の受ける印象が半減してしまうということ。ストライプの「間隔」が与える視覚的効果も侮れないのです。

代表的なストライプの種類

数多くあるストライプの種類の中から、ビジネスシーンに適しているといわれる代表的なものを、ここでご紹介します。


「ピン・ストライプ」


ストライプが点線上になっているのが特徴で、春夏物の生地に多く用いられ、洗練されたシャープな印象。中でも、ネイビー地のピンストライプはドレッシーな雰囲気を醸し出してくれます。グレー地のピンストライプは、ややカジュアルテイストに。


「ペンシル・ストライプ」


鉛筆で書いたようなはっきりとした線が特徴的なストライプ柄。主張が強く個性的な印象もあり、ベースとなる生地の色やストライプの色をよく考えて選ぶのがオススメ。


「チョーク・ストライプ」


秋冬物のフランネルに多く見られ、テイラーが使うチョーク(チャコ)で線を引いたような太くて、輪郭がぼやけた線が特徴。ネイビーのフランネル地に白のチョーク・ストライプのスーツを着用すれば、貫禄ある英国紳士の雰囲気が漂います。

チェックの「大小」で変化する、印象とは?

チェックそのものは柔らかい印象を与える効果があり、ビジネスでも和やかな雰囲気を作り出してくれると言われています。逆にシリアスな雰囲気を出すことは少々難しくなり、また、格子が大きくなればなるほど、合わせが難しくなり、テクニックが必要になってきます。そこで重要になってくるのが、チェックが与える印象を理解し、使い分けること。格子が大きくなればなるほど、「カジュアル」な雰囲気で、小さくなればやや「フォーマル」な印象になります。チェックの大小で変化する印象を上手に使い分ければ、スーツでのお洒落の幅が広がることは間違いなしです。

代表的なチェックの種類

「チェック」には沢山のデザインがあり、ビジネスでのチェック、プライベートでのチェックと着用シーンに合わせて選べる楽しさがあります。ここでは、ビジネス仕様の一着に用いられることの多い、代表的なチェック柄をご紹介します。


「グレンチェック」


グレナカート・チェックの略称で19世紀はじめ英国で考案。千鳥格子とヘアライン(髪の毛のように細い線)の小さいチェックの組み合わせから成るデザインです。


「ハウンドトゥース」


英国が発祥の定番格子柄で、日本では千鳥が連なって飛ぶ姿に見えるため、「千鳥格子」と呼ばれています。チェックの一種として高い人気があり、猟犬(ハウンド)の牙(トゥース)の形を模した柄を連続させた地と模様が特徴。


「ウインドウペン」


窓の格子のような単色の縦横の細い枠のラインで四角形をつくる格子柄。英国の伝統柄の一つで、クラシカルでトラディショナルな印象を与えることができ、チェック柄の中でも、スッキリとした上品さを楽しむことが出来ます。

その他、よく用いられる「織柄」について

ストライプやチェック同様、柄スーツとして人気の高い「織柄」。シャドー柄とも呼ばれ、織り方で柄の変化を見せてくれます。一見、無地に見えますが、近寄ると柄が浮き出るような印象で、シンプルかつ着回しがきき、これさえ選べば今までの無地スーツとは似て非なる印象に。光沢感もあり、ドレッシーなのでビジネスだけでなく、セレモニーなどでも着用しやすいです。


「シャドーストライプ」


糸の方向を変えることによって、ストライプ柄を作りだすデザイン「シャドーストライプ」。シャドーストライプ生地のスーツは、遠目から見ると一見無地に見えますが、光の角度によってはストライプ柄が見え隠れするオシャレさがあります。ストライプの幅や柄の強さなど、様々なバリエーションがありますが、色はブラックやネイビーのものが多く展開されています。


「シャドーチェック」


シャドーストライプ同様、糸の方向を変えることによって、チェック柄を作りだすデザイン「シャドーチェック」。柄の見え方もシャドーストライプ同様に、瞬間的に無地に見えても、近くで見たり光の加減によって柄が浮き出てくる“さりげなさ”がこのデザインのアクセント。“チェック”と聞くと、少し派手で扱いにくいような印象がありますが、ダークトーンのシャドーチェックならシックで、とても落ち着いた印象に仕上げることができます。

世代別の人気の柄は?

スーツの柄は長い期間をかけて流行が移り変わるため、極端な流行による変動は少ない傾向です。一方で、「年齢」によって着用しやすい柄は異なります。世代によって視点が変化し、それと共に、人気の柄も変化していくのです。ここでは、世代別に見た好まれる柄をご紹介します。


「20代に人気の高い柄」


20代は、自分で着用シーンをコントロールしにくい世代。また、手持ちのスーツの数も平均的に少ないので、まずはベーシックなスーツから揃えていく傾向にあります。スーツの数が増えていくのと同時に、柄物のスーツも増えていくかと思いますが、20代の方には、フレッシュな青みの強い、「紺系のスーツ」が人気。同様に、柄も若々しい印象の「小幅のストライプ」や「織柄」を好まれる方も多くなっています。


「30代に人気の高い柄」


仕事にも慣れ、スーツによる効用を狙った選び方になる30代。もちろん、シリアスなシーンでは20代で揃えたような、小幅なストライプを着用することも。しかし、自分の気分でスーツを着られるようにもなってくるので、次第に「チェック」にも目を向けるように……。ただ、あくまでもビジネスで着用することを考えて選ぶので、柄幅が大きくても、色のトーンを抑え、きつい印象にならないものが人気です。


「40代に人気の高い柄」


部署を代表する立場になる40代では、少しベーシックな一着に戻ります。会う方に合わせてスーツを選ぶ機会が増え、スーツが名刺代わりになる年齢。そこで無地やストライプの需要が再び高くなるのです。ただ、ストライプでも柄幅のあるものや、「チョークストライプ」という線をぼかした、貫禄が出るデザインも人気です。


「50代に人気の高い柄」


50代ともなると、今までの経験を踏まえて選ぶので、好みがはっきりと分かれてきます。あらゆるものを着尽くしていることもあり、流行によって柄を選ぶことはほとんどなくなります。立場上、着用シーンが限定的になる面もあるので、迷うことなくスーツを選ぶことが多くなっていく年代です。レセプションなどでは、落ち着いた雰囲気がないと着こなせない「ダブルストライプ」がおすすめです。50代だからこそ着こなせる柄といえます。

体形と柄の関係性

スーツの柄はその場の雰囲気に合わせて選択することがベターですが、着る人の体型になどによって似合う柄や不向きな柄があります。基本的に小柄な方に大柄は不向きな傾向です。体に占める柄の割合が大きくなり、柄に着られているような印象に。ただし、必ずしも「高身長だから大柄が似合う、身長があまり高くないから小さな柄が良い」という訳ではありません。スーツの場合、「表面積」がどれだけあるかによって変化するため、身長が高くともスマートな方であれば、太いストライプは避けた方が無難です。それならば、柄による体型補整は可能なのでしょうか?少しスリムに見せるのであれば、ストライプがしっかり入ったスーツを選ぶのがおすすめです。しかし、スリム見せ以外の体型のコンプレックスを解決するには、柄で解決するよりも、「フィッティング」によるカバーがおすすめで、効果もあります。自己判断のフィッティングでは難しいので、スーツの専門家であるテイラーに相談してみることを強くおすすめします。

「ジャケット」&「パンツ」スタイルのポイントは?


ジャケットとパンツというスタイリングにおいて、別の柄同士を合わせるのはNGとは言いませんが、かなり高等なテクニックを必要とします。なので、できれば避けた方が良いでしょう。無地と柄の組み合わせであれば問題はありません。上に柄を持ってきても下が柄でも、どちらでもOK。ただ、ジャケットが無地でボトムが柄になると、ブレザーファッションのように、やや砕けた印象になりますので着用シーンによっては注意が必要です。


「着回しについて」


少ないスーツで着回しを上手に楽しみたい方におすすめしたいのが、紺などシンプルな無地のスーツ上下と、チェックスーツの上下を一緒に購入するパターンです。そのまま着用しても良いですし、組み合わせて全部で4通りの合わせを楽しむことができます。スーツのジャケットは、柄物でもポイントを押さえれば単体でも着ることができます。ピンストライプやペンシルストライプといった細い縞模様のスーツは、ビジネススーツの印象が強いので単体で着るのは避けたい柄です。しかし、グレンチェックやタータンチェック、千鳥格子などのチェックはカジュアルスタイルに合わせやすく、ダークな色合いのグレーや紺のチェック柄はシックな装いに仕上がります。ビジネスカジュアルな装いに、柄物のジャケットを投入して、お洒落の幅を広げてみてはいかがでしょうか。

シーン別での柄の選び方について


ビジネスシーンで着用するスーツを使い分けることで、相手が受ける第一印象を変えてしまう「スーツ」。そのため、スーツを楽しむ上で、着用シーンを意識することは欠かせません。柄物のスーツを検討するときは、着ていくシーンを明確にして選ぶことはとても重要なのです。


「ビジネスシーン」での柄の選び方


節度を重んじるとされるビジネスシーンでは、小柄を選ぶことをおすすめします。色味もネイビーやグレーなど落ち着いたものがベターです。ネイビーは信頼感を、グレーは落ち着きや上品さを表す色でもあるので、柄を取り入れる際にはこの2色を選べば間違いないでしょう。貫禄や威厳を演出したい場合は、やや幅広な柄を取り入れても良いですが、年齢や立場も加味して選べば、より失敗が少なくなります。


「パーティー・会食」での柄の選び方


日中開催されるパーティー、招待状に「平服でお越しください」などの記載があった場合や、カジュアルな印象を演出したいと思った時に登場するのがチェックスーツです。また、この機会に、オフィス向けにはなかなか挑戦できなかった茶系のスーツに袖を通してみるのもいいかもしれません。ネクタイを締めても固い印象にならず、その場の雰囲気に馴染みやすいのでおすすめです。


「結婚式」での柄の選び方


「主役より目立つことなく、精一杯おしゃれをする」のが、結婚式における招待客の装いのマナー。色柄はダーク系のものをチョイスし、コーディネートも控えめながらも華やかさがあるよう装いましょう。例えば、柄のスーツの時には無地のベスト、無地のスーツの時には柄のベストを合わせると、控えめながらも、スタイリッシュな印象が与えられるので、おすすめです。

「スーツ×柄」をより楽しむために、テイラーによるアドバイス


「仕事で着用するスーツの場合、『相手のことを考えた柄選び』が基本になります。もちろん好みを優先したい気持ちもあるでしょう。しかし、スーツの印象によって相手から高評価を得られたり、仕事が上手くいったりするのであれば、好みでない柄を着る『価値』は、大いにありますよね。ビジネスに於いて、武器としての柄選びは、仕事に対する投資にもなるのです。ただ、息抜きも大切ですので、少し仕事に慣れてきた頃には、週に1回程度、自身のお好きな柄を着るのもおすすめです。柄物のスーツは無地のスーツよりも洒落た印象が強く、ちょっと遊びっぽい雰囲気があるのも特徴です。季節や着用シーンによっては、こうした柄物スーツも着こなせるとお洒落の幅も広がりますよね。『柄×スーツ』のコーディネートに抵抗があるという方は『お気に入りのネクタイ』を1本携えて、ぜひフィッティングにいらしてみてください。御待ちしております」


「DIFFERENCE」で扱いのある生地は、約150種。そのうち柄が占める割合は、全体の「6割〜7割」にのぼります。スーツを着始めたばかりの20代の方には、柄物スーツは取り入れにくいという印象があるかもしれません。しかし「DIFFERENCE」では、ニーズに合わせて柄を取り揃えているので、無地に比べ、柄を求める人が多くなっています。