スーツに合わせるベストの着こなし方を解説
スーツに合わせる服の中に、同じ生地や色味で作られたベストがあります。
ベストは存在を知っていても、着こなし方がわからなかったりどんなシーンに着るのか悩んだりと、なかなか取り扱いに困っている人もいるのではないでしょうか?
スーツにベストを合わせる理由や、ツーピーススーツとスリーピーススーツに合わせるベストの違い、そして合わせ方についてご紹介します。
スーツのベストの着こなしに悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
目次
スーツに合わせるベストは何のために着用する?
スーツにベストを合わせる理由はなぜなのか、3つのポイントについてご説明します。
洗練されたスタイルを演出し、フォーマル度を上げるため
シャツの上にベストを重ねて、ジャケットを羽織る姿はフォーマルな印象が強くなります。ベストを着ることで生まれる、ワイシャツとの胸元のVゾーンは、立体的でスタイリッシュに見えるのです。
通常ビジネススーツと言えば、ジャケットの中にワイシャツとネクタイが鉄板です。しかし、そこにベストが加わると、奥行きが生まれると同時にシャツのみよりもかっちりとした雰囲気が生まれます。
もともとベストとジャケット、パンツの3つのセットは昔の正礼装を簡略化したスリーピーススタイルとして誕生しました。
フォーマルな場面で着るために考えられたスタイルだからこそ、ベストを合わせることで洗練されたスタイルを演出できるのです。
体のラインを整える効果があり、体型カバーのため
スーツにベストを合わせることは、体のラインを整える体型カバーにつながるというメリットがあります。
体のラインにフィットしたベストは、身に着けるだけで胸元からウエストラインが細く引き締まったように見せられます。
またネクタイとの組み合わせはシャツ単品よりも、胸元に厚みが出てたくましく見せる効果も期待できるのです。
もともと昔のベストが袖がついており、中のシャツがむき出しにならないために作られました。
今ではシャツと言えばトップスの1つですが、かつてワイシャツは下着に分類されていたのです。
そのため、ベストは紳士にとって下着をさらさないための必須アイテムでした。
このスーツが生まれたイギリスの発想が広がり、やがてベストつきのスーツであるスリーピースが作られ、世界に広まっていきました。
体温を保つ役割があり、温度調整のために着用する
中にベストを着ることでワイシャツ一枚よりも保温効果があります。
体温を保つ役割を担ってくれるため、気温が低い秋冬はもちろん、クーラーなどの冷房が効いた夏場でもジャケットを着なくても上半身を冷やさずに過ごせます。
ベストを着ていれば、商談や会議などのマナーが求められる場面でもワイシャツ一枚よりカジュアルな印象にならず、相手に対して無礼なスタイルになりません。
体温調整ができると同時に、暑さでジャケットを脱いだとしてもフォーマルなスタイルを維持できるところが、ベストを着るメリットなのです。
ツーピーススーツとスリーピーススーツに合わせるベストの違いは?
スーツにはツーピースとスリーピースがあることをご存じですか?ツーピーススーツはジャケットとパンツ(スラックス)の組み合わせのことです。
そこにベストが加わったものがスリーピーススーツです。この2つのスーツに合わせるベストは、それぞれ少し役割に違いがあるのです。
スリーピーススーツのベスト:フォーマル度を高める役割がある
スリーピーススーツで着用するベストは、フォーマルな雰囲気を高めることがおもな目的です。
スリーピーススーツはあらかじめ、ジャケット、ベスト、パンツの3つそれぞれを同じ素材やパターンで作られることがほとんどです。
それゆえに3点を一緒に身に着けても統一感があり、かっちりとした雰囲気が生まれます。
もともとスリーピーススーツは、イギリスの正礼装のジャケットを短い丈にして簡略化した衣装です。
フォーマルな場や特別な日のイベントで着用されることが多く、スーツの中でも格式高い印象があります。
たとえばビジネスシーンでは役職に就いているような、年を重ねた男性が身に着けるスーツとしても定番です。
また、秋冬の寒さが気になるシーズンの防寒着としても、ベストを加えたスリーピーススーツを着用する人がいます。
パーティや結婚式などの華やかなスタイルが求められる場面でも、スリーピーススーツのベストは活躍する定番アイテムです。
ツーピーススーツのベスト:おもにファッション性やスタイリングの向上が目的
ツーピーススーツはジャケットとパンツだけで構成されています。本来であればベストは存在せず、別途で用意したものをワイシャツの上に着るスタイルです。
スリーピーススーツとの大きな違いは、ジャケットのみ単品で選ぶため、スーツとは異なる素材やカラー、デザインになる点です。
そのため、ワンカラーでまとめるスリーピーススーツとはちがった個性やスタイルをアピールできるのです。
ただし、ベストがスーツとは別カラー、異素材であると、どうしてもスリーピーススーツほどのフォーマルな雰囲気はありません。
たとえばビジネスシーンでのクールビズスタイルとして、夏場にワイシャツの上の重ね着として身に着けたり、休日のカジュアルスタイルとしてベストを取り入れたりすることが多いです。
スーツに合わせるベストの代表的な種類
スーツに合わせるベストは、複数のデザインがあります。その中でもツーピーススーツに合わせる場合は、襟無しのシンプルなデザインが主流で、着ぶくれせずにスマートに身に着けられます。
ここでは、襟無しベストのそれぞれの違いと魅力をご説明します。
シングル襟無しベスト:ビジネスシーンやカジュアルにおすすめ
シングル襟無しベストは、ボタンが一列で構成されたもっともスタンダードなベストです。
襟がないためワイシャツとの組み合わせで生まれるVゾーンがすっきりとしていて、季節問わず身に着けやすいデザインです。
このシングル襟無しベストはスリーピーススーツでも定番で、幅広い着こなしに合わせやすいです。
同系色はもちろん、ツーピーススーツのアクセントとしてベストだけを別カラーにするといったスタイルもよく似合います。
コーディネートにあまり自信がない人や、20代の若い世代でも比較的身に着けやすいところが魅力です。
ダブル襟無しベスト:結婚式など特別な場で着用されることが多い
ダブル襟無しベストは、ダブルスーツのようにボタンが2列になったデザインが特徴です。
ダブルボタンはクラシカルな印象があり、シングルとくらべて個性を発揮できます。
ベスト単体でもボタンがアクセントになるため、シックでありつつもこだわりを感じる着こなしが完成します。
また、結婚式やパーティといったフォーマルな場面でもダブル襟無しベストは、シックな雰囲気を作ってくれます。
シングルと比べて身に着けている人が少ないからこそ、個性や目新しさをアピールしたい人におすすめです。
スーツに合わせるベストの着こなし方とマナー
スーツにベストを合わせるときは、次のルールを意識して着用しましょう。おさえておきたい着こなし方とマナーについてご紹介します。
ジャケットのボタンは基本的に留めなくてもOK
スーツにベストを着用する場合は、ジャケットのボタンを留めなくても問題ありません。
ベストのボタンが留まっていることでフォーマルな雰囲気があり、無理にジャケットのボタンを留めることで着ぶくれする心配がありません。
しかし、まったくボタンを留めなくても良いとは限らず、ビジネスシーンやフォーマルな式典ではボタンを留めることが望ましい場面もあります。
ベストをジャケットの中に着るときはシーンに合わせて、ジャケットのボタンを留めるか外すかを判断しましょう。
ベストの最下部のボタンは、通常は外して着用
ベストの最下部にあるボタンは、基本的に外した状態で着ることがマナーです。これはシングルベストだけでなく、ダブルベストでも同じマナーです。
ベストは5つボタンと6つボタンがありますが、こちらも一番下のボタンは留めません。
その理由はスーツを美しくきれいに着こなすべき衣装だという考え方が由来です。
スーツの発祥の地であるイギリスでは、ジャケットやベストの下のボタンを留めると、生地にシワが寄る姿がふさわしくないと考えられてきました。
それゆえにシワが寄らないように一番下のボタンは留めず、開けたままにすることがマナーです。
まとめ:上品でフォーマルな印象を与えたい人におすすめ
スーツにベストを組み合わせると、新しいスタイルや雰囲気が生まれます。特にベストをスーツと同系色でまとめるだけでなく、あえて別カラーを取り入れれば差し色にもなります。
ただしベストは一番下のボタンを留めないなどの着こなしのルールもあるため、しっかりと意識したうえで自分に合ったスーツスタイルを楽しんでみてはいかがでしょうか。

