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バリエーション豊かなイタリア生地「マルゾット」は初めてのオーダースーツにもオススメ

投稿日時:2022.03.25 17:14:48

「Marzotto」はマルゾットと読みます。


「マルゾット」のブランドネームは、幅広くマーケットに浸透しています。


カタカナ表記ではピンと来なくても、独特のロゴは過去に見た記憶がある方も多いと思います。


それほど「マルゾット」の織りネームを付けたスーツは、多くの洋服売り場に並んでいます。


この傾向は日本特有の物ではなく、世界で共通した傾向だと言えます。


マルゾットグループはイタリア有数の企業グループで、2020年の公式データでは、4,000トンの糸原料を消費して、年間15,700km(織物原反で30万反以上になります)を世界中に販売しています。


原反と呼ばれる流通している織物一巻きは、概ね150cm程度の幅で、長さは50m程度になっています。


デザインやサイズにもよりますが、原反1反から、15着から16着程度のスーツが生産されます。


1反15着として30万反ですから、450万着が世界中の店舗に並ぶことになります。


「マルゾット」は自社ブランドで展開する他に、「FRATELLI TALLIA DI DELFINO」(フラッテッリ・タリア・デルフィノ)、「GUABELLO」(グアベロ)、「MARLANE」(マルラーネ)等のブランド企業を傘下に持っています。


積極的な買収を重ねている、繊維業界では主要な国際的プレーヤーの一つです。


ウールと綿を軸とした生地部門・ベルベット部門・主にニットウェア用のウール糸部門・リネンとシルクの糸部門等で構成されていて、一流ブランドを網羅するシナジー効果が生まれています。


グループの中で、最も生地販売量が多いのは、「マルゾット」ブランドです。


国際市場において、トレンド動向に常に敏感であり、リサーチを重ねた内容を迅速に生産に落とし込む事で、膨大な販売量に繋げています。

ブランドの歴史

「マルゾット」の歴史は、イタリア貴族のルイージ・マルゾットが1836年、バルダーニョの羊毛工場を、12人のワーカーと設立した事に始まる長い歴史を持つイタリアの毛織物メーカーです。


事業は順調に発展して、1842年には息子のガエターノ・マルゾットが継承します。


ガエターノ・マルゾットは創意工夫と革新への情熱を持ち、一歩先に行く企業理念は、既にこの時に確立されています。


1861年にはイタリア王国が統一され、安定した情勢下の中、紡績工場も入手しています。


この時には従業員も1,200名余りに達していました。


ガエターノ・マルゾットの没後も、ルイージ・マルゾットの孫と息子は協力して事業を拡大します。


1920年代の大恐慌時には、イタリアの繊維メーカーの多くが解散や廃業、または国有化に追い込まれる中でも、「マルゾット」は事業を継続しますが、第二次世界大戦時には政府の管理下に置かれます。


戦後はいち早く事業を再開させて、復興の波に乗ります。


1950年代に入る頃には、イタリアを代表する輸出企業の一つとして事業を拡大させて、1961年にミラノ証券取引所に上場しています。


文化活動や社会奉仕にも積極的で、学校や病院、社会施設などを支援する他、1951年から継続している「マルゾット賞」は、医学・現代科学・文学・ジャーナリズム・芸能・絵画で活躍した人を、数多く表彰しています。


1980年代以降は企業買収により、グループは拡大しています。


1987年には、1817年創業の老舗ウールメーカーである「Lanerossi」(ラネロッシ)を買収、1991年にはヒューゴボスを買収、2002年にはバレンチノを買収しています。


その後は紆余曲折もあり、既製品ファッションブランドから織物原糸部門を切り離して、専門的な企業グループへと昇華しています。

織物の基本知識

「マルゾット」の品質の高さを理解するために、役に立つ織物の基本的な知識を見ていきましょう。


素材としてのテキスタイル善し悪しは、多くの複合的な要素で構成されています。


基本として、「どれくらいの太さの糸」を、「どれくらいの密度」で、「どんな組織(織り方)」をするか?をおさえる事です。


糸の太さ

太い糸を使えれば、ザックリとしたテキスタイルに仕上がり、細い糸を使用すれば繊細な仕上がりになります。


スーツ地としては、主に2/48から2/80程度の糸番手が使われます。数字が大きくなるほど細い糸を表します。2/80のことを80双糸(そうし)と読みます。


羊毛は2本の糸を撚(よ)って(ねじり上げるイメージです)、織物に用いられます。


双糸にする事により、安定した均一な太さになるため、一般的なウール素材に使われています。


1本の糸を撚って使う、単糸使いの織物もあります。1/30と表記して30単糸と読みます。


1/30と2/60は同じ太さになります。双糸と比較して均一感が劣る事を逆手に取り、織物に表情を加える事に多く用いられます。


羊毛の原料グレード(繊細さ)によって、糸の太さに用いる事の出来る限度があります。


細番手の糸を製造するのには、原料の繊細さが必要になります。


当然原料が繊細ならば、コストは高くなります。


本来織物は芸術では無く営利目的で製造されるので、よりコストの安い羊毛原料を使用して、如何に細い糸を作成するかに力を集中します。


しかし上質な素材は、これらのセオリーを無視して製造されています。


本来であれば2/80番手の製造が可能な上質原料を用いて、2/48や2/60番手を製造にすることにより、「滑らかさ」「上質な手触り」を表現しています。


同じウールの生地でも、中国産を中心とした普及品とブランド生地の差は、このような違いがあります。


よく誤解されるのは、「super100’」や「super120’」を糸の細さと解説されている事です。


これらは原料の繊細さを表していて、糸の太さではありません。中身は多くの差が存在していて、同じ「super100’」と表示されていても、個別に比較すれば大きな優劣が存在します。


数値的には同じ繊細さを持つ原料でも、羊毛本来の持つ「クリンプ」と呼ばれる縮れが、織物の仕上がり品質に大きな影響を与えます。


上質なクリンプを持つ原料は、弾力性に富み、優れた張りコシとシワからの回復力に繋がります。


上質なウールは、着用した後で適正にハンガーに掛けておけば、シワが自然に回復するのは「クリンプ」が大きな役割を果たしています。


密度

「打ち込み本数」と呼ばれています。


決められた範囲に、縦横どれくらいの糸が入っているのか?ということが、生地の仕上がりには、大きく影響します。


「打ち込み本数」は、少なければソフトになる反面、特にメンズでは必要な張りコシが無くなり、物性的な問題(縫い目から裂ける等)が出ます。


逆に「打ち込み本数」が多ければ、張りコシが出て物性的な問題も解決出来ますが、全体的には固くなってしまいます。


上質なブランド素材は、「打ち込み本数」が多くなっても、使う糸の上質さで固くなる事が無く、「張りコシ」がありながら、「しなやかさ」を出す事を両立させています。


「打ち込み本数」は、コストに直接反映されます。


「打ち込み本数」が多くなれば、同じメーター数を織り上げるのに時間が掛かるためです。


コストを考えれば、打ち込むスピードが速ければ速いほど、生産効率は上がります。


しかし、早いスピードで糸を飛ばせばテンションが掛かり、羊毛の持つ素晴らしい特性のクリンプが持つ効果は減少してしまいます。


上質なブランド素材は、生産効率が落ちてコストが上昇しても、クリンプ特性に最適なテンションに収まるスピードを選択することで、高い品質を生み出します。


織り組織

大きく分けて、「平織り」「綾織り」「繻子(しゅす)織り」があります。


平織りは、主に春夏に使われる清涼感が出る軽量な織物で、最も基本的な織り方であり、使っている糸の品質がダイレクトに出ます。トロピカルウールと呼ばれます。


同じトロピカルウールでも、上質なブランド素材は、原料の良さと適正な「打ち込み本数」によって、中国を中心とした普及品とは確実に大きな差が出ます。


伝統的な春夏素材として、上質なブランド素材は「綾織り」を用いる事があります。


「綾織り」ではトロピカルウールと比較して、織物に重量が付くため、細番手の糸が使われます。清涼感を持たせるため、撚糸回数を増加させた強撚糸を使う事もあります。


どちらの手段も、コストが掛かる手法です。


「綾織り」「繻子織り」は比較的重量を付けやすいため、主に秋冬素材として使われます。


コストを考えれば、太番手糸をシンプルな綾織りで仕上げる事で、秋冬の利用に使える生地には仕上がります。


上質なブランド素材は、敢えて品質の高い細番手糸を用いて、織り組織に変化を持たせることによって、秋冬の利用に使える重量感の構築をします。上質な原料糸をたっぷり使うので、必然的にコストは高くなります。

マルゾット素材の特徴

世界のファッションマーケットに愛されている「マルゾット」は、流通している経路も多種多様です。


高級ブランドスーツを置く百貨店専門店だけでなく、量販店でも見かける事が多く、数多くのオーダー店にも有ります。


「マルゾット」素材に共通しているのは、イタリア素材らしい発色と多彩な表現力・高いクオリティを持つ事です。


特色として、マーケットニーズに合わせた柔軟な価格対応力があり、比較的安価なウールから、高額な高級ウールまで幅広く取り扱いが有ります。


色柄についても、万人に受け入れられるオーセンティックなものから、トレンドを敏感に表現している個性溢れるものまで、巨大メーカーらしい豊富なバリエーションを誇ります。


「マルゾット」が追求しているトレンドが、多くのマーケットで定評が有る理由として、独りよがりにならない、実売に繋がるバランス感覚に優れている事に有ります。


180年以上に及ぶ同社のアーカイブスには、数量を扱うメーカーらしい定番商品が多く、トレンドを取り入れながらも、決して王道を踏み外していません。


世界的な販売量を誇る「マルゾット」は、トレンドを加味しながら尖った部分が無く、手にしやすい価格を実現しています。


イタリア素材が初体験のユーザーにも、安心して勧められる素材で、初めてのオーダースーツ素材としても最適です。

秋冬のマルゾット素材

ファブリカアルタ(FABBRICA ALTA)

「ファブリカアルタ」は、マルゾットが誇るトレンドを強く意識した大人気シリーズです。


「マルゾット」自社の膨大な過去の資料だけでなく、グループとして存在する「フラテッリ・タリア・ディ・デルフィノ」や「グアベロ」などのアーカイブスを活かし、現代のトレンドと融合したシリーズとして、よりクラシカルな「オーセンティッコ」と、最先端のトレンドを追求する「ファブリカアルタ」があります。


日本を含む世界中のファッション誌に、どちらも良く取り上げられています。


非常に手間の掛かるものづくりをしているため、生産量は少なく、取り扱いのあるテーラーは限られます。


通常のストライプとは明らかに異なる、均一では無い「よれた」様に見えるのが特徴で、1950年頃の、少しストライプ幅の広いスーツ地に、インスパイアされた素材だと思います。


ストライプ幅を狭めることで、より主張が強く派手目なる事を計算して、当時よりも「よれ」具合を若干抑えるサジ加減をして、現在のクラッシックトレンドを表現しています。


原料の良さと、丁寧に作り出された起毛感が、ヴィンテージ物に劣らない絶品な光沢感を出しています。


当時は無かったストレッチ性をも持たせる事で、歴史を超える逸品になっています。

クラッシックなダブルブレストスーツで、トレンドを追求するのも良いですし、オーソドックスなシングルスーツに仕立てれば、品良く新しいクラッシック感が楽しめます。

ヨコ糸にカシミア混を使用しています。


柔らかい原料を使用して、起毛感を出す工程をした後で、短く刈り込む事で立体感のある畝(うね)を表現しています。


スピード感が重要視される現代の「ものづくり」セオリーを無視して、ウール本来の良さを最大限に活かす、昔ながらの時間をたっぷり掛けた逸品です。


JASPE(ジャスプ)

「JASPE」はフランス語で、碧玉を意味します。


碧玉とは、微細な石英の結晶が集まって出来た鉱物(宝石)です。


日本人には、あまり馴染みのない単語ですが、ヨーロッパの方々には一定の馴染みがあり、ゼニアの夏物シリーズにも、「Tropical Jaspe」が有ります。


細番手の霜降り糸を使い、異なるカラー糸を撚糸することで、繊細な結晶を表現しています。

遠目で一見すると、品の良い無地に見えますが、細番手の杢糸使いが奥行きを表現しファンタジーていて、原料の良さから来るナチュラルな光沢感に加えて、ストレッチ性も持っています。


実用的に、トレンドのお洒落を楽しめます。


Saxony Fantasia(サキソニーファンタジア)

「Saxony」は、織物の名称であるサキソニーで、「Fantasia」イタリア語のファンタジーです。


サキソニーは秋冬物で使われる、大昔から現代においても、定番中の定番です。


過去のアーカイブスを遡っても、定番の無地・柄を問わず、かなりの確率でサキソニー仕上げになっています。


主に2/48番手以上の梳毛を使った2/2の綾織り組織で、フラノ(フランネル)よりは毛足が短い仕上げになっています。毛足を完全に刈り込む事はしておらず、適度に組織の綾目が隠れるため、扱いやすくウォーム感が有ります。

「Saxony Fantasia」は、本物のクラッシック感が味わえ、今風の王道トレンドが存分に楽しめます。


ソフトな手触りとウォーム感を表現しているイタリア素材ながら、実用的な耐久性が有り、長期間愛用できる一着になります。


Super100'S マイクロセミミルドビンテージ

上質なSuper100'S原料を使用した羊毛に、ケンピと呼ばれる、全くタイプの異なる硬質な羊毛を混ぜることで、ツイード調の表現をしています。


白くチラチラ露出して見えるのがケンピです。


ケンピは固く弾力性が無いため、仕上げでも馴染まず、アトランダムに浮き出てくる特性が有ります。


1960年代の英国テイストを、現代風にアレンジしたこの素材は、モダンヴィンテージスタイルを、普段扱いやすい梳毛で実現しています。

ベストを加えたスリーピース仕立てに最適です。


オーダースーツなら、トレンドにもジャストサイズで気軽にチャレンジできます。


Super130'S

織物の知識にも書きましたが、糸の太さとSuper×××'Sの表現は、全くの別物です。


「Super130'S」は、17ミクロンの繊細な原料を使用している事を表しています。


上質なSuper130'S原料を使用して、細番手の糸を作成し、トラディショナルな柄をセミフラノ仕上げにしてあります。

高価な極細糸から出る上品な起毛感があるため、ウォーム感がありながら、非常に軽量に仕上がっています。


ジャストサイズに仕立てられたオーダースーツなら、着用感が軽く、お洒落なスーツに仕上がります。

春夏のマルゾット素材

Lana Lino Solaro(ラナリノソラーロ)

「Lana」はバスク語でウールを表し、「Lino」はイタリア語でリネン(麻)を表します。


「Solaro」はイタリア語ですが一口に表現するのは難しいです。


「ソラーロ」は本来、イギリスにあるM.Howgate社の登録商標ですが、現在SMITH WOOLLENSが販売している生地です。これだけが本物と言えます。


イギリスの兵士が、亜熱帯にある植民地で活動するのに、2/1組織(2本表に出て1本裏にまわる織り方)のヘリンボン柄で、主に表に出る縦糸に明るいカーキを使って紫外線を予防し、主に裏に出るヨコ糸にダーク系の赤色を使って肌を守った服地が起源です。


これが総じて、縦糸に明るい色を使用して、ヨコ糸に濃色を2/1組織で織った夏用の素材全般が「ソラーロ」と呼ばれるようになり、色々なメーカーから販売されています。


「マルゾット」の厳選したウール原料と、リネン原料によるソラーロです。


特に右側のカラーは、オリジナルのソラーロを意識しています。


夏の素材として用いられる麻混のソラーロは、縦と横の糸コントラストが極端に違う場合、


どうしても節が目立ち、粗野な表面になりますが、テーラードに用いても不満の無い、美しい表情が出ています。

この生地の特徴として、表と裏のカラーが大きく異なります。


裏地を極力廃した仕立てにする事で、夏に涼しく快適に過ごせるだけで無く、チラリと見える生地裏を積極的にアクセントに出来て、格好いい夏のスーツになります。


オフィスカジュアルに最適です。


TESSUTO(テスート)

「TESSUTO」はイタリア語を直訳すれば組織になりますが、洋服の生地・素材を意味しています。


そのものズバリの名前を付けた「テスート」シリーズは、「マルゾット」を代表する定番素材です。


オーソドックスなクラッシック柄から、トレンドを加味した柄、カジュアル感が有る物まで、幅広い展開をしています。

イタリアだけで無く、ヨーロッパ最大量の羊毛原料を扱う「マルゾット」は、その品質や色柄だけでなく、風合いも含めて評価が高い素材を、リーズナブルに提供しています。


繊細な原料を使用しているため、縫製グレードやサイズ感が有っていないと、無駄なシワが発生して、本来持っている凜とした表情がスーツに出ません。


ジャストサイズのオーダースーツで、「TESSUTO」の魅力は引き立ちます。


Marzottoの生地詳細を見る>>

まとめ

イタリア素材メーカー最大級の規模を誇る「マルゾット」


世界中のあらゆるマーケットのニーズに対して、最適な回答を出し続ける事で、大きな生産量を維持しています。


特にオーダースーツに使用される、最上級の素材は、トレンドを盛り込んだ魅力に溢れ、凝った造りをしているものでも、比較的リーズナブルに手に入ります。


「マルゾット」の、膨大の歴史の積み重ねから生み出される最先端と、現代風にアレンジされたモダンヴィンテージの凄みは、オーダースーツ用素材に最適です。

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