紺ブレを着こなすには?スーツスタイルのマンネリ化を打破しよう!
目次
紺ブレは不思議なアイテムです。
定番としての地位がある一方で定期的なブームが訪れます。
ブームの盛り上がり具合は、その都度違いますが、メンズだけでなくレディースマーケットにおいても同様なポジションと動きがあることは、他には無い特筆すべきアイテムです。
紺ブレは男女を問わないだけでなく、年齢も問いません。
ビジネスシーンなど固い席での装いからカジュアルまでコーディネートも懐が深く多彩です。
他のアイテムには無い特徴として、帰属感・団体チーム感・所属感が自然に出て、どのように着こなしても「きちんと感」を纏うことが出来ます。
こんな便利なアイテムを、黙って放っておく手はありません。
いつものスーツスタイルから、ビジネスカジュアルに向かって一歩踏み出す初手としても最適です。
魅力たっぷりな紺ブレについて、解説していきます。
紺ブレ(紺ブレザー)とは?
紺ブレは、紺色のブレザーのことです。
ネイビーブレザー・リーファージャケットと呼ばれることもあります。
金か銀のボタンが装着されています。
チームや団体でユニフォーム的な使われ方をする事も多く、柔剣道を始め各種審判団も着用する事例の他、制服にも良く使われます。共通しているのは「きちんと感」です。
着用するだけで漂う正統感・清潔感があるため、コーディネートの自由度が上がる便利アイテムになるわけです。
紺色
紺ブレザーというくらいですから、当然カラーは紺です。
本来の色は、黒に近い紺である鉄紺ではなくハナ紺と呼ばれる紺で、スーツにある一般的な紺よりも明るい色です。
現在の主流は、スーツのカラーに引っ張られるように、黒に近い紺が多くなっています。
黒色の生地にメタルボタンを付けたブレザーもありますが、厳密に言えば紺ではないので、紺ブレではありません。
メタルボタン
足の付いた金属製(真鍮)のボタンを使います。
刻印デザインがあって、裏に足がある事と併せて、ボタンの風情に立体感が出ます。
刻印は所属する団体の紋章を用いましたが、現在は単にデザインです。
紺ブレザーは刻印の無い、無地ボタンを使う事もあります。
カラーは金色か銀色で、光沢感が有るタイプと無いタイプが存在します。
金メッキや銀メッキが施されているタイプ以外にも、プラスチックや樹脂製もあります。
光沢感のあるボタンは紺ブレの魅力の一つですが、審判用としての使用は艶消しボタンの装着が必須になっているケースもあり、注意が必要です。
エンブレム
胸ポケットにボタンの刻印と同じように所属する団体のエンブレムが付いているのが基本です。
デザインとして希に見る事はありますが、現在は少なくなっています。
制服でブレザーを採用している学校は、学校のエンブレムが付く事が定番です。
素材
ウール100%のサージが基本です。
ベーシックな綾織りで、毛足はカットされていてありません。
真夏を除いて3シーズン着用できます。
秋冬用として、毛足のあるサキソソニーやフラノも用いられます。
夏用としては、清涼感のあるトロピカルやパナマ・ホップサックなどに素材感が広がっています。
必ずしもウール100%ではなく、ポリエステルで強度の補強や清涼感を出したり、ポリウレタンを使ってストレッチ性を出したりする他、ドビー・ジャガードで組織柄を表現するなど多彩です。
テーラード仕立て
肩パット・芯地を使った正統なテーラード仕立てで、襟はダブルブレストとシングルブレストがあります。
本来は、極めてシンプルなシルエットです。
ナチュラルショルダー
肩のラインが丸く、角張っていません。
トラッドのオーソドックスな流れですが、最近は肩パットの無いアンコン仕立ても、数多く登場しています。軽く羽織れるタイプですね。
ボックスシルエット
ウエストラインを絞ったシャープなシルエットではなく、基本は胸ダーツがありません。正統なトラッドの流れです。
現代においては絞ったタイプは販売していますし、日本人の標準的な体型では若干絞った方がシックリくる事も否定できません。
タイトなシルエットで、丈を長くするなど新解釈の紺ブレザーがトレンドブランド等からリリースされています。
ステッチ
襟に入るステッチがある事が正統な紺ブレとされています。
紺ブレにステッチは相性が良いし、高級感も出せます。
しかし、本当に繊細な原料を使用した高級素材には敢えて使用しないことも多く、ステッチが好みでは無い方もいらっしゃいます。
実際に販売されている紺ブレにも、ステッチが無いタイプは多数存在します。
ポケット
アウトポケット・パッチポケットが定番です。
シングルブレストの胸ポケットはアウトポケットで、ダブルブレストの胸ポケットはウェルトポケットです。
ウェルトポケットは通常よく使われる、ポケット口に口布の付いたインポケットです。
ベント
ベントとは、背中側の中心下部にある切れ込みです。
紺ブレはセンターベントかセンターフックベントがある、とされています。
きっちり正統な紺ブレザーも、歴史に裏打ちされた良さが有りますが、時々の解釈で変化していく自由さが、紺ブレには有ります。
ブレザーとジャケットの違いとは?
ブレザーは紺以外のカラーやストライプなど多種あります。
ブレザーはジャケットの中の一つのジャンルです。ブレザージャケットと呼ばれることもあります。
前述のようにブレザーの定義は曖昧になっていますが、金か銀の足が付いた光沢感のあるメタルボタンを使っているテーラードジャケットは、総称として広くブレザーと呼ばれています。
紺ブレにもデザインの種類がある
紺ブレの魅力の一つに、メタルボタンがあります。
初めから装飾品が付いているとも考えられる、メンズでは希有な存在です。
このボタンをいくつ使うか、配列を縦一列にするか縦二列にするかで大きく印象が異なります。
シングル(シングルブレステッド)
基本は2ボタンで、3ボタンの場合は段返り仕様になり最上部の第一ボタンは隠れて見えません。
控えめで上品な印象と清潔感を出せる紺ブレの定番です。
少ないですが、1つボタン仕様もあります。
シングルのブレザー起源については、諸説有ります。
1829年から200年近く現在も続く伝統ある一大イベントで
オックスフォード大学 対 ケンブリッジ大学 のボートレースが始まった時に、ルーツがあると言われています。
1829年ケンブリッジ側の初戦代表は構成大学である、セントジョンズカレッジでした。
カレッジカラーは燃えるような赤です。
季節は冬で、フラノ素材の真っ赤なジャケットを着用しました。
これがシングルブレザーのルーツ「ブレイズ(炎=blaze)」と言われています。
始まりは赤だったブレザーですが、チームカラーで統一する事がベースで
時間の経過とともに、徐々に紺の定番化が定着したと考えられます。
ダブル(ダブルブレステッド)
4ボタンのタイプと6ボタンのタイプが基本です。
それ以上の個数があるものもありますし、2ボタンもあります。
軍服が元祖にあり、貫禄と堂々たる気風が出ます。
ダブルブレザーの起源も諸説有ります。
1837年に英国ヴィクトリア女王が、軍艦ブレザー号を訪れる機会がありました。
拝謁する部下達に歓待させる特別感を出すために、急遽海軍のメタルボタンを付けさせた揃いの紺色ジャケットの出で立ちに、女王陛下がひどく感激されて、ユニフォームとして採用されたと言う説があります。
ヴィクトリア女王とは関係なく、1945年にブレザー号の館長が揃えたジャケットが、評判が良く他の軍艦でも同様タイプのジャケットを真似した事が起源という説もあります。ネイビー一色だった説とストライプだった説があり、本当のところは解りません。
紺ブレ王道コーデ!
紺ブレのコーディネートは無限とも言えるバリエーションがあります。
その中から、最もオーソドックスなコーディネートをご紹介します。
シングルならアメリカントラッドスタイル
イギリスが起源の紺ブレですが日本に定着しているオーソドックスな着こなしはアメリカントラッドスタイルです。
合わせるシャツはオックスフォードのボタンダウンが定番で、カラーは白か薄いブルー系が良いでしょう。
ネクタイはレジメンタルが定番です。
スラックスはウール素材のトップグレー(ベタ染めではなく霜降りグレー)で中間色のミディアムグレーがハマります。
オフィスや接客など、ビジネスの場面でも違和感無く馴染みますが、スーツとはひと味違う雰囲気が構築出来ます。
よりドレスダウンしたオフィスカジュアルならチノパンにスラックスを履き替えるだけでOKです。
アメトラの王道スタイルが完成します。
スラックスを定番グレーのままで、ネクタイを大柄なタイプに変更するだけでもドレスダウン効果が期待出来ます。
その場合は必ずシャツはシンプルなものに。
靴は革のローファーが良いです。
グレー系カラーのパンツなら黒、ベージュ系のチノパンなら茶が格好いいですね。
ダブルならイタリアスタイル
ダブルブレストでイタリアスタイルを構築するなら、出来ればイタリア素材を使用して、柔らかく仕立てられたブレザーが良いです。
それだけで、イタリアスタイルの8割方は出来上がるくらい上質なダブルブレザーは強力です。
アメカジに比較すれば制約は少なく、大胆にシャツやスラックスを柔らかく着崩してください。
ちょっと派手目のシャツを着るなら、ネクタイやスラックスはシンプルなグレー系を使うなど、バランスを考えたコーディネートで知的に凜と見えます。
紺ブレに合わせたいアイテム
懐の広い紺ブレだけに、何を合わせるのか迷うところですよね。
鉄板セオリーとも言える組み合わせをご紹介します。
ビジネスシーンならグレースラックス
アメリカントラッドスタイルの項でも書きましたが、紺ブレとグレーのスラックスの組み合わせは鉄板コーデです。
アメリカントラッドならレジメンタルタイが王道ですが、制服感を抑えたいのであればシンプルな無地ソリッドカラータイを組み合わせて下さい。
ビジネスシーンに合った、ドレッシーな仕上がりになります。
遊び心ならギンガムチェックシャツ
ギンガムチェック柄のシャツは、紺ブレとの相性抜群です。
色系統は紺やブルーが合わせやすく、上品な印象が崩れません。
ビジネスなら小柄にして、ドレスダウンの方向を狙うなら多少の大柄と使い分けて下さい。
コントラストで見せる白パン
品のある紺と清潔感のある白の組み合わせは、コントラストが効いてメリハリが出ます。
爽やかでクリーンなイメージが構築出来て、トラッドコーデの定番とも言えます。
敢えてトラッドの風味をネクタイに残しても、キレイなお洒落にまとまります。
崩してクルーネックの白Tシャツも良いですね。
カジュアルの王道ボーダーカットソー
紺ブレにボーダーのTシャツで、大人のキレイ目「マリンスタイル」が構築出来ます。
ボーダーは白地に黒か紺の組み合わせで、全体の色数を絞って下さい。
マリンスタイルを突き詰めるなら、スラックスは断然オフ白系が良いです。
靴は崩さずに、ちょっとイイ革のローファーを履けば羨望の大人カジュアル完成です。
そこまでキメ過ぎなくても、スラックスはデニムでもOKです。
紺ブレと組み合わせることで、きちんと感も構築出来ます。
紺ブレでよくあるQ&A
よくある紺ブレザーについての質問にお答えします。
紺ブレはださいの?
ご年配の方は、バブル時代に流行った服というイメージをお持ちの方もいるようです。
冒頭にも書きましたが、紺ブレは定番アイテムであり流行に波があることは確かです。
ただ、流行は数年ごとに繰り返しています。
若い方だと、制服のイメージを持たれていることもありますね。
ウエストに絞りの無い純粋なトラッドシルエットで、胴回りがズトンとした印象が強いのもあるかもしれません。
色々と紺ブレの種類は増えていて、お好みのシルエットがきっとあります。
決してダサいということはありません。
紺ブレはレディースも着られる?
レディースでも紺ブレは人気アイテムの一つです。
メンズ同様、着こなしの自由度が大きく、それでいて「清潔感」や「きちんと感」が出せるからです。
レディースはメンズ以上に、紺ブレの解釈が豊かですよ。
まとめ
メンズマーケットにおける、次のアイテムを紺ブレと予想するのは
コレクションに目立ってきただけではありません。
レトロエレガンスと呼ばれるスタイルが、感度の高い女性の間で広がりを見せているからです。
その中に紺ブレがあり、過去の歴史を鑑みてもメンズが引っ張られる可能性を大いに感じるということでもあります。
現代のジェンダーレスにも、性別を選ばない紺ブレはフィットします。
本物は時代を超えて愛されるから、本物になります。
トレンドを追求しても良し。
トラディショナルを追求しても良し。
間口が広い紺ブレザー、良質なものを一着長く着るお洒落を是非ワードローブに加えて下さい。