カフスボタンの付け方~結婚式やビジネスシーンでオシャレを楽しむ~
目次
フォーマルな席だけでなく、日常に装着する方が増えているカフスボタン。
ポケットチーフと同様に、注意してテレビを見ていると、装着している有名人の方々が、意外と多い事に気がつきます。
あくまでさりげなく、キラリとセンスを表現するアイテムとして
男性に許された、数少ないアクセサリーの一つがカフスボタンです。
カフスボタンを装着することで、気分が変わりますし、これ見よがしの主張もデザインを選べばそれほどありません。
抑え目なスタイリッシュ・エレガントなイメージを簡単に演出できます。
初めてカフスボタンを付けるにあたってどんな種類があるのか?どんなシャツに装着する・出来るのか?どうやって装着するのか?解説していきます。
カフスボタンとは?
カフスボタンは和製英語です。
海外でも通じるアイテム名は「カフリンクス」になります。
カフス(cuffs)という言い方も日本独自の呼び方で、カフ(カフスは複数形)はそもそも袖口の意味です。
カフリンクスを直訳すると、「袖口を繋げる」です。
服飾の歴史を辿っていくと、ヨーロッパの貴族階級で流行して産業革命を経て一般大衆に広がっていく経緯のものが多いです。
カフスボタンも正にそのパターンで17世紀フランスの権力者・貴族達の遊び心から始まっています。
レースやリボンなどで留めていた袖口を、金や銀のボタンを用いて金属製の鎖で留めるようになりました。少しでもライバルより煌びやかに魅せる事に尽力したからです。
スタートすれば、どんどん華美に貴金属を使ってエスカレートしていきます。
時間の経過と共に取捨選択を繰り返し、やがてマナーとして定着し現代に繋がっています。
礼装での装着時は、昼間は白系で夜は黒系を装着するのがマナーです。
弔事では基本的に装着しません。
カフスボタンの種類
カフスの種類は色々ありますが、どんな装飾品であるということではなくどんな留め方をするかで区別されています。
スウィヴル式(レバー式)
最も一般的で使いやすいタイプです。
T字形状になっているパッキング部にバネが装着されています。
スナップ式
1920年代から1900年代半ば頃まで流行したタイプです。
ひとつのカフスボタンが本体とスナップボタンの2つに分かれていて、凹凸になっている部分に差し込んで留めます。
固定式
可動式にはなっておらず、固定された棒状です。
リバーシブルになっているものもあります。
チェーン式
最も古いタイプで、17世紀中頃に登場しています。
本体と留めるパーツを鎖で繋ぎます。
現代ではカジュアル寄りのポジションになっていてフォーマルな場面では使用しません。
紐式
シルクやゴムなどを使うタイプで、丸まっている形状タイプが多いです。
唯一金属製では無い事から、現代のビジネスシーンでは多くあるパソコンのキー操作など、仕事時でも邪魔になりません。
コストも安く、シャツの付属品で付いていることもあります。
最も控えめで、通常のボタンで留める印象に近くなり、気軽に使用出来ます。
フォーマルなど畏まったシーンでは基本的に使用しません。
ラップアラウンド式(ロール・カフリンクス)
鎖や金属製・革製等のベルトが付いています。
チェーン式と混同されることもありますが、別物です。
前述のスウィヴル式と兼用になっている事が多くラペルピンとして使われることもあります。
カフスボタンが使える袖口の種類
カフスボタンを使ってみようと思っても、手持ちのシャツがどれでもカフスボタンが使えるわけではありません。
カフスボタンを使用するためには、カフスボタン用の穴が開いている必要があります。
通常のタイプのシャツでは、片方はボタンの穴を利用できますがボタンが付いている側にも穴が無いと使えません。
具体的にシャツの種類を見ていきましょう。
コンバーチブルカフス
袖口のボタンが付いている側にも、穴が開いているタイプです。
ボタンを使っても留められるし、カフスボタンを使って留める事も出来る便利さがあります。
ボタンが2つ装着されている間に、ボタン穴があるタイプが主流です。
ダブルカフス(フレンチカフス)
折り曲げて袖を二重にするタイプのシャツで、重厚感があります。
こちらが本式で、シングルカフが簡略化されたものと考えがちですが実際には逆です。
元々は襟とカフスは取り外しできる事が基本で、折り曲げることが出来ないハードタイプでした。それが時間の経過でソフトタイプになり、折り曲げることで以前の重厚感を求めたのがダブルカフスです。
フレンチカフスという名前も、イギリス人が付けた経緯があります。
ボタン穴が開いているだけなので、ボタンは装着されていません。
カフスボタンを付ける前提のシャツです。
テニスカフス
最も基本的なシャツのカタチで、ボタンは装着されていません。
袖の両方にボタン穴のみが開いています。
正式なカフス専用のシャツです。
カフスボタンが使えない袖口の種類
カフスボタンを装着するためには、最低限留める袖の両側に穴が開いている必要があります。無いタイプには自分でボタン穴を作る事で、装着は出来ます。
必ずしも上手くいくとは限らないので、カフスボタンが最初から使えるタイプのシャツを入手する方がオススメです。
以下はカフスボタンが、そのままでは使えないシャツの袖口タイプです。
シングルカフス(パレルカフス)
一般的なシャツの袖です。ボタンが装着された側には、ボタン穴がありません。
ボタン専用シャツです。
ターンナップカフス
台形状の折り返し部分が先端に付いていてダブルカフスに近い構造になっています。
違いとしては、台形状になっている事で装着したボタン部分が露出します。
ドレッシーな印象をカフスボタン不使用で演出します。
ボタン専用シャツです。
カフスボタンの付け方
最初は手間取ることもありますが、慣れれば簡単です。
カフスボタンの方式によって若干の差はありますがシャツの内側を合わせる状態にして、ボタン穴を合わせてから差し込んで留める手順です。
スウィヴル式(レバー式)の場合
袖の裏側を合わせる状態にして、ボタン穴を重ねます。
T字になっているカフスボタンの可動部分を動かして、I字にします。
シャツの裏側が合わさって揃えてある袖口をつまんで、上から差し込みます。
ボタン穴を貫通した後に、元のT字状態に戻してロックします。
手をテーブルに置いた時に、袖口にカフスボタンの装飾側が出ていればOKです。
最も手間無く簡単なのが、多く流通する理由ですね。
ダブルカフスの場合
長くなっている袖口部分を折り返して、ボタン穴を重ねます。
揃えたボタン穴は、生地4枚分あることになります。
腕の内側から外側に向かってボタン穴を通します。
表に出てきたら固定します。
ラップアラウンドや固定式などの場合
ラップアラウンドタイプは、少々の慣れと一手間が必要になります。
スウィヴル式と同様の手順を踏んだ後に、ベルトをまわして固定して留めます。
一層エレガントな印象の仕上がりになります。
固定式はボタン穴に、そのまま押し込んで貫通させて装着します。
サイズによってはボタン穴に合わない事もあります。
その場合、シャツのボタン穴を改造するか、お気に入りのカフスボタンに合わせてシャツをオーダーするのも粋ですね。
留め具が曲線のタイプは、曲線が手首に沿うような向きで装着するのが正解です。
柄や装飾の上下があるタイプでは、シャツの外側に上を向けることが多いですが、好みでOKです。
カフスを付ける時の注意点
カフスを付ける時だけに言えることではありませんが、シャツのサイズ感が重要です。
袖口に余裕がありすぎると、本来のカフスボタンの美しさが出ません。
タイト目の方が美しいのですが、窮屈そうに見えても美しさはありません。
カフスボタンを装着する上でサイズ以外の注意点、よくある間違いを解説します。
袖口を上下に重ねて装着しない
よくある間違いとして、通常のボタンを装着する要領でカフスボタンを付けている方をお見かけします。
袖口の表に裏を被せるのではなく、裏側同士を重ねるカタチにしてカフスボタンは装着します。
差し込む方向に気を付ける
こちらも良くある間違いのパターンです。
手の甲と同じ側に、装飾部分が見えるように装着してください。
手の甲側に装着レバーが出るのは避けましょう。
カフスボタンをシーンに合わせて選ぶ
TPOに合わせて、カフスボタンを選ぶことでお洒落感を倍増させます。
ちなみに、お葬式など弔事に参加する時にはアクセサリー類は控えることがマナーです。
カフスボタンの使用も控えた方が良いでしょう。
やむを得ずシャツの都合等で、カフスを使う場合には黒系の目立たないタイプを着用して下さい。
ビジネスシーンではスーツに合わせよう
ビジネスシーンの中でカフスボタンがチラリと見えると自分のセンスを大切にする、知的な雰囲気が醸し出されます。
上手く使えば、シャツやスーツを引き立てるアイテムになります。
しかし、やり過ぎは禁物です。
オススメなのは、シルバーカラーのシンプルなカフスボタン。
ネクタイや他の装飾品と「さりげなく」合わせた遊び心も良いですが大切なのは、あくまで「控えめに品良く」がマナーです。
結婚式では時間帯で色を変えよう
まずは、結婚式での基本的なルールです。
■昼間の正装は?
【服装について】
- ・モーニング
- ・タキシード
- ・ディレクターズスーツ
【カフスボタンについて】
- ・ダブルカフorシングルカフのドレスシャツに着用
シルバーorゴールドの台座に白系(真珠・白蝶貝等)の石を使用したカフスボタン
■夜の正装は?
【服装について】
- ・燕尾服 - テールコートにホワイトタイ着用
- ・タキシード
【カフスボタンについて】
- ・燕尾服 - ダブルカフorシングルカフのドレスシャツに着用
シルバーorゴールドの台座に白系(真珠・白蝶貝等)の石を使用したカフスボタン(ちょっと華やかでOK) - ・タキシード - ダブルカフorシングルカフのドレスシャツに着用
シルバーorゴールドの台座に黒系(オニキス・黒蝶貝等)の石を使用したカフスボタン
以上の基本を踏まえた上で、結婚式・披露宴・二次会で時間時応じてカフスを変えれば、お洒落上級者です。
堅苦しく考えなくても、同じスーツで参加する披露宴(シンプルなシルバー系)と二次会(華やかさを増したタイプ)でカフスを変えるだけで、粋な大人の男を演出出来ます。
ちなみに、日本で礼服と呼ばれる(いわゆる略礼服)は日本独自のものです。
高度成長期に、ネクタイを変えるだけで慶事・弔事に対応出来る便利さがあることから、一気に広がりました。
まとめ
19世紀のシャツは、襟と袖口(カフ)は、取り外して替える事が出来るようになっていました。シャツで最初に傷むのは袖と襟。今よりずっと高価だったシャツを買い換えるのでは無く、痛んだ場所を交換することで長期間愛用した背景があります。ボタンを付け替えるよりも、カフスボタンを使う方が合理的だった側面があり、発展した歴史があります。
ちょっとしたセンスで、悪目立ちすることなくお洒落を演出できるカフスボタン。
無地のカラーシャツの場合は、同系色の色でまとめるよりもワンポイントのアクセントとなる補色系を使うと格好いいです。
ストライプ系のシャツなら、ストライプのカラーと同系色で揃えると完成度がありながら、さりげないお洒落が主張できます。
カフスボタンは、それほど高価でないものも多数ありますから自分の感性を磨きながら、時間を掛けて数を増やしていくのも楽しいですよ。
お気に入りのカフスのために、サイズもピッタリ合う自分だけの一着「オーダーシャツ」を検討するのも「大人の粋」でオススメです。