STYLING GUIDE

オーダースーツにはデメリットもある!?
理解して上手にオーダーしよう

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監修:佐々木信也(淀屋橋店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.05.18 17:01:30


オーダースーツにはたくさんのメリットがある反面、デメリットがあることについても知っておく必要があります。オーダーをする前にそれを理解しておけば、イメージの相違を最小限に抑えることができ、またメリットをさらに活かすこともできます。理想の一着にたどり着けるよう、しっかりと押さえておきましょう。

オーダースーツを作るメリット


メリットとしてまず挙げられるのが、豊富な生地やデザインの中から自分の好みのものを選べること。季節やシーンなど用途を考えながら選ぶ作業は楽しいものです。また自分の体のサイズに合わせて作られることで、着心地がよいだけではなく、生地への負担が少ないので適切に扱えば既製品よりも寿命が長くなります。無駄のない美しいシルエットのスーツを着用することで、周囲の人に好印象を与えることになるでしょう。

気になるオーダースーツのデメリットとは

オーダースーツと聞けば、まず頭に浮かぶのは「高い値段」ではないでしょうか。もちろん型紙から作るフルオーダーならそれなりの値段はしますが、今は手頃な値段で仕立てることができる「パターンオーダー」や「イージーオーダー」が人気を集めています。どの種類のオーダーメイドでも一度経験すると、「リターンが大きくむしろコスパがいい」と感じる人が多いようです。では、理解しておくべき「デメリット」とは何かを、オーダーをする前にしっかりと押さえておきましょう。

「選択肢が多くて迷ってしまう」


オーダースーツは自分の好みで生地やデザインなどを選べ、世界でたった一つのオリジナルスーツを作れることが最大の魅力です。けれども「自分に何が似合うか分からず選べない人」にとっては楽しい作業ではなく、むしろ苦痛になるでしょう。その解決策は、「サポートをしてくれる人」に頼ることです。それはもちろんテーラーでもいいですし、身近な家族に同行してもらっても安心です。また、第三者からのアドバイスに耳を傾けることにより、本当に自分に似合う色やデザインなどを見つけられることもあります。このようにサポートをしてくれる人をたてることで、デメリットはメリットに変えることもできるのです。


「完成までに時間がかかる」

オーダースーツはフルオーダーを選ぶと、採寸のために何度か店へ行く必要があります。納期も1~2カ月ほどかかるので、すぐに必要な場合には不向きです。イージーオーダーは既存の型紙を体にフィットするようにサイズ修正し、新たに型紙を起こすので3~4週間程度かかります。ですが、パターンオーダーであればサンプル服を着用して手直しをする方法で仕上げるため約2週間で済みます。最近では採寸を自分で行ってインターネットで注文できるような店もありますから、店に出向く時間がない人でもオーダーすることは可能です。ただ、オーダースーツは体型や好みに合ったスーツを作ることが趣旨ですから、そのための制作時間がかかるのは仕方ありません。納期を納得したうえで出来上がりを楽しみに待つことができればデメリットにはならないかもしれません。

「仕上がりがイメージしにくい」


オーダースーツは、出来上がるまでどのように仕上がるかがわからない点がデメリットです。これは自分のイメージをオーダーする時にきちんと伝えられるかどうかがカギになります。イメージを伝えるのが苦手な人ほど細かい確認作業が必要です。特にフルオーダーの場合は、採寸から型紙を起こし、裁断、縫製にいたるまですべてが手仕事ですので、職人の技術によっても仕上がりは変わってくるでしょう。その点、「パターンオーダー」や「イージーオーダー」であれば、採寸データに基づいてコンピュータで補正し、機械で裁断や縫製をおこなうのであまり大きな差は出ません。マシーンメイドは一見デメリットのように感じられますが、実は技術のばらつきがないという面ではメリットです。

オーダースーツができるまでの流れ


初めてオーダースーツを作る人にとっては、店を訪れてから受け取るまでの流れも気になるところです。どのような工程があり、押えておくべきポイントはどこなのかを確認しておきましょう。

「生地を選ぶ」


まず、スーツに使う生地を予算に応じて選びます。生地はできるだけ多くの中からしっかり吟味して、自分のイメージに合うものを探しましょう。ビジネスで着用するならば、相手に好印象を与える色や柄かどうかも判断材料に加えるとよいでしょう。また、どの季節にどのような場所で着用するのかを想定しながら選ぶことも大切です。夏なら軽量で吸水性や通気性の高い素材を、外に出ることが多い人ならストレッチ素材を選ぶことにより、さらに快適な着心地を得ることができます。


「スタイルを決める」


オーダースーツを扱っている店では、たいてい何種類かのモデル(スーツ全体のスタイル)を用意しています。店側にどのような印象のスーツに仕上げたいのかを体型の悩みなどを明確に伝えながら、基本となるモデルを決めていきます。モデルは大きく分けるとブリティッシュ、イタリアン、アメリカンの3スタイルですが、さらに細かいモデルに分かれているので選ぶ前に説明してもらうようにしましょう。ブリティッシュスタイルはウエストラインが絞り込まれていて、肩のあたりが角張っているので長身で細身の人に合います。イタリアンスタイルは肩回りがやや丸みを帯び、ウエストラインの絞りも浅く、柔らかなイメージです。アメリカンスタイルはゆったりとしたフィット感が好みの人に向いています。ウエストラインの絞りがほとんどなくパンツも太めに作られているので、どんな体型の人でも取り入れ易いモデルです。

モデルを理解しておくと、店側とのイメージの共有に役立ちます。イメージのすり合わせができれば、あとは微調整で済みますし、まるっきりかけ離れた仕上がりになることを防ぐことができるでしょう。


「採寸」


採寸では、肩や胸、ウエスト、ヒップ、股下はもちろん細かなパーツまで測ります。スーツを仕立てる際の採寸には、Tシャツではなく着慣れたワイシャツを着ていくようにしましょう。よりフィットするスーツを作るにはインナーとのバランスも大切な要素になります。また、革靴を履くことでソールの高さを加味して床上がりの採寸ができますので、持参するか履いていくようにしましょう。


「ディテールを決める」


ディテール次第でスーツの雰囲気は大きく変わります。特にボタンの数や色、素材でスーツの表情はガラリと変わりますから「スタイリッシュな印象にしたい」「クラシカルで落ち着いた雰囲気にしたい」「トレンド感のある垢ぬけたスタイルにしたい」など、自分のイメージを明確に伝えながら選ぶようにしましょう。ボタン以外の、ポケットや襟元、パンツのタックなど、細かな部分のデザインについても同様です。ディテールの組み合わせには意味がありますので、バランスが悪くならないようにテーラーとよく話し合って決めましょう。


「仕上がり品の引き渡し」


スーツが完成したら、実際に着用して着心地を確かめます。仕上がったスーツのサイズに違和感がある場合は再度調整を行います。また、何度か着用した後に着心地に違和感を覚えることもあるでしょう。どのようなアフターフォローがあるのかを、事前に店側に確認しておくことも大切です。

まとめ

既製品以上の着心地やこだわりを追求するからには、失敗や後悔がないよう事前準備は万端に行いましょう。オーダースーツは、どこがデメリットなのかをきちんと理解することにより、それをメリットに変えることも可能。完成時の喜びをさらに大きくすることができるのです。