STYLING GUIDE

レディースの喪服でマナーに適うものは?

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監修:石川佳宏(青山店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2019.03.11 14:59:18

街中で黒い服を着ている人たちを見ると、一目で「誰かのお葬式があったのだな」とわかります。喪服は、通夜や告別式で弔慰を表すために着用する服です。しかし、ただ黒い服を着れば良いという訳でもありません。喪服の種類は複数存在し、悲しみの場にふさわしいマナーもあります。今回は、大人の女性が押さえておきたいレディースの喪服に関する知識を紹介します。基本的な知識を押さえておけば、急な弔事でも慌てず参列できるようになるでしょう。

レディースの喪服には種類がある

レディースの喪服には、正喪服、準喪服、略喪服があります。もっとも格式が高いのは正喪服で、故人と生計を共にしていた遺族のみが着用します。洋装なら黒無地のワンピースにボレロ、和装なら5つ紋付きの着物と黒喪帯です。洋装の場合、パンツスーツは正喪服に入りません。次に格式が高いのは準喪服です。親族や弔問客が着用する一般的な喪服です。洋装ならブラックフォーマル、和装なら黒の色無地と黒喪帯を合わせます。準喪服の場合、黒のパンツスーツでも構いません。略喪服は、ほかの喪服のように黒である必要はなく、グレーや紺のスーツ、ワンピースなどを着用します。略喪服を着用するのは仮通夜です。仮通夜は、故人が亡くなった直後に行われるのが一般的です。予想外の不幸で喪服の用意が難しい場合は、略礼装で駆けつけましょう。


レディースの喪服で注意したいのは、遺族ではないのに正喪服を着用してしまう点です。遺族も準喪服で葬儀を執り行うケースはあります。自分が親族や一般弔問客の場合は、遺族よりも格式の高い正喪服を着用してしまわないように注意が必要です。また、喪服を用意していないからといって、葬儀や告別式に略喪服で出席するのも避けたいところです。大人の女性のたしなみとして、急な不幸でも対応できるようにレディースの喪服を用意しておきましょう。

レディースの喪服はスカート丈に気をつけよう

レディースの喪服では、スカート丈にも注意を払いましょう。葬儀や告別式のようなフォーマルな場では、肌の露出は避けるのが鉄則です。スカート丈は、ひざが隠れる長さを基本にしましょう。ひざが見えてしまうと、カジュアルな雰囲気が強く出てしまいます。露出を控えたほうが良いフォーマルな場にもふさわしくありません。若い世代の女性であっても、ひざが見えるスカート丈は避けるようにしましょう。


20代の若い年代の人や、長いスカートが似合わない体型の人は、ひざが隠れる程度の丈がおすすめです。一方、30代や40代の女性、身長が高い人などは、ひざ下からふくらはぎが隠れる程度の丈が似合います。丈の長いスカートは上品に映るため、葬儀の場にふさわしい装いになるでしょう。ただし、ロング丈やマキシ丈は一般的ではないので、注意が必要です。自分に合ったスカート丈がいまいちわからないという人は、レディースの喪服売り場の店員に相談してみましょう。体型に合った喪服が選びやすくなります。

夏のレディースの喪服は半袖でもいいの?

喪服は1年を通して長袖が基本ですが、夏は五分袖でも七分袖でも良いとされています。日本の夏は全国的な猛暑に襲われやすく、熱中症も心配です。斎場や寺院に移動するときや、屋外で待たなければならないときは、直射日光にさらされるケースもあります。無理をして長袖を着用するよりは、五分袖や七分袖の喪服で参列したほうが、遺族にも気を使わせずに済むのではないでしょうか。ただ、露出の範囲には気を使いたいものです。脇が露出する長さの半袖は避けるようにします。ノースリーブのワンピースなら、薄手のジャケットやブラウスを羽織って、肌を露出しないようにしましょう。


市販されている喪服は、1年のうち夏を除いたスリーシーズン用に作られているのが一般的です。織り目がしっかりしている布地に裏地が付いており、ある程度は保湿と保温ができるようになっています。しかし、スリーシーズン用の喪服を夏に着てしまうと、汗だくになってしまいます。体内の熱も放出しにくく、熱中症になってしまうおそれも出てくるでしょう。夏用の喪服は、通気性の良い布地を使っています。裏地はなし、もしくは肩のあたりにだけ裏地を使った背抜きが一般的です。通夜や告別式では、遺族や親族なら1日中、参列者でも数時間は喪服を着用していなければなりません。葬儀の場で倒れないように、夏なら夏用の喪服を着用しましょう。

喪服に合わせてはいけない持ち物は?

弔事では、殺生をイメージさせるアイテムや華美な装いなどは、避ける必要があります。革製品や毛皮は、牛や羊など動物の革から作られていますので、通夜や葬儀の席では避けるようにしましょう。ハンドバッグやパンプスは黒い布製が正式です。ハンドバッグは、金具や装飾がないデザインを選びます。パンプスも、飾りがないシンプルなデザインにしましょう。ヒールの高さは5cm以下で、ピンヒールや5cm以上のヒールは避けます。もし、布製のパンプスが用意できない場合は、光沢のない素材を選びましょう。黒であっても、光沢のあるエナメル素材や、毛並みの美しいハラコ素材などはふさわしくありません。長い髪をまとめる場合も、髪留めのデザインに注意が必要です。黒いゴムや光沢のないバレッタなどで、シンプルにまとめましょう。


真冬は寒さが厳しいので温かい服装で参列したいところですが、やはりいくつか注意点があります。足元が寒くても、ブーツでの参列は正式ではありません。厚手のタイツも避けるべきだとされています。コートは黒や紺、グレーなどで、シンプルなデザインにしましょう。黒いからといって革製や毛皮のコートを着用するのはマナー違反です。たとえフェイクであっても、パッと見て革や毛皮をイメージさせる装いは禁物です。メイクはラメやカラフルな色味を避けて、ベージュ系でまとめましょう。


 


#レディースの喪服には注意点が多いので配慮しよう!


スカート丈や持ち物に関するマナーは、ぜひ身に付けておきたい基本知識です。人を見かけで判断するのは良くないともいいますが、そもそも葬儀は、故人や遺族に哀悼の意を表する場です。その場にふさわしい装いができるのも、大人の女性の証ではないでしょうか。レディースの喪服や持ち物、全体的な装いにはさまざまな注意点があります。気を付けるべきポイントが多くてよくわからないという人は、売り場の店員に相談しながら購入すると間違いがありません。通夜や葬儀などの弔事では、マナーを守って参列できるようにしておきましょう。