STYLING GUIDE

喪服スーツのルール、知っていますか?

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監修:佐々木信也(淀屋橋店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2019.03.11 14:46:39

冠婚葬祭で着用する礼服にはさまざまなルールやマナーがあります。葬儀で着る喪服も礼服のひとつです。ただ黒いスーツを着用すれば良いわけではなく、男性も女性も喪服を選ぶ際には慎重になる必要があります。


今回は喪服スーツの選び方や、購入する際に気をつけるべきポイントなどについてご紹介します。喪服は葬儀だけではなく、四十九日や一周忌などの法要でも着用しますので、ここでしっかり理解を深めておきましょう。

喪服の格式について 

喪服には3つの格式があります。故人との関係性や参列する式によって、着るべきものが異なりますので注意が必要です。


 


「正喪服」


最も格式が高い喪服が正喪服です。喪主や故人と生計を共にした遺族が、葬儀や告別式で着用します。


 


男性の正喪服


洋装はモーニングコート、和装であれば紋付きの羽織袴が正喪服になります。男性の正喪服姿は見かけることが少なくなり、喪主や遺族であっても準喪服のブラックスーツを着用する人が多くなりました。


 


女性の正喪服


洋装はワンピースにジャケットを合わせたブラックフォーマル、和装であれば染め抜きの五つ紋の黒無地の着物を着用します。ブラックフォーマルにはデザイン性を取り入れたものもありますが、正喪服として着る場合は、シンプルでスカート丈の長いものを選びましょう。パンツスーツは喪主や遺族の服装としてはマナー違反になります。


 


「準喪服」


準喪服とは正喪服に準ずる服装です。一般的に「喪服」といえば準喪服をさしています。


 


男性の準喪服


男性の準喪服は、ブラックスーツと呼ばれる礼服のことで、黒いビジネススーツとは生地の色合いや光沢がまったく違います。混同しないように気をつけましょう。現代では喪主から弔問客までさまざまな立場の人がこちらを着用します。


 


女性の準喪服


正喪服と同じくブラックフォーマルですが、喪主や遺族よりスカート丈が長くならないようにしましょう。華美にならない程度に、レース素材などの装飾も許容範囲になります。パンツスーツは一般参列者ならばマナー違反にはあたりませんが、喪服に取り入れられた歴史が浅いことから地域によってはスカートの方が無難です。和装の場合は黒の色無地と黒喪帯になりますが、着用する人は少なりました。


 


「略喪服」


略喪服とは、通夜や七回忌以降の法要で着用する地味な服装のことです。告別式などで「平服でご参列ください」と案内があった場合は、こちらを着るのがマナーになります。


 


男性の略喪服


無地のダークスーツのことです。ダークグレーや濃紺などの控えめな色で、艶や光沢がないものであれば、黒でなくても構いません。


 


女性の略喪服


男性と同様に黒である必要はありませんが、グレーや紺のスーツ、ワンピースなどが無難です。パンツスーツも問題はありませんが、カジュアルな雰囲気にならないように注意しましょう。

ビジネス用の黒いスーツと喪服の違いは?

ビジネススーツにも黒はありますが、それを喪服として代用することはできません。葬儀で黒いビジネススーツを着用した場合、黒の深さやデザイン、シルエットでビジネス用だとわかってしまうでしょう。恥ずかしい思いをしないためにも、その違いをおさえておきましょう。


 


「違い1:色や光沢」


喪服と黒いビジネススーツは、同じ黒でも色の深さがまったく違います。喪服の黒は光沢のない漆黒で、日光や照明の下でも光を反射させません。黒いビジネススーツは、喪服の黒と比較するとグレーがかった薄い黒に見えます。


 


「違い2:生地の素材」


着用頻度の高いビジネススーツは軽くて丈夫に仕上げるために、生地にポリエステルが含まれることがあります。また、ポリエステル混は価格をおさえることができるのもメリットです。それに対し喪服は、漆黒色を出すために上質なウールを使い、光沢が出ないように仕上げます。高級なものほど何度も染めをおこなっているので、より深みのある漆黒色をしています。


 


「違い3:シルエットやステッチ」


ビジネススーツは体のラインにフィットした細身のシルエット定番ですが、喪服を含め礼服のシルエットは適度にゆとりがあります。また、ビジネススーツは衿(ラペル)の端にステッチが入っているのが一般的ですが、喪服や礼服には入っていません。

喪服のスーツを選ぶときのポイント(男性編)

喪服は必ずしも高級である必要はありませんが、参列者の多い葬儀では品質の違いが目立ちやすくなります。質の良い喪服は落ち着いた雰囲気があり、一度購入すればある程度の年齢になっても着続けることができるので無駄な投資にはならないでしょう。


 


「シルエット」


喪服は細身のシルエットよりも、適度なゆとりがあるデザインのほうが、よりフォーマルな印象になります。絞りすぎず、体型に合ったサイズを選ぶようにしましょう。また、長く着るためには、オーソドックスで、体型の変化にも対応できるデザインを選ぶことも大事なポイントです。


 


「年齢」


年齢が若いうちは、質にこだわらずに選んだ喪服でも不自然に映らないかもしれません。けれども40代以降になれば、社会的立場も高くなり、周りの目も厳しくなるため、ある程度質の良い喪服を着ることをおすすめします。

喪服のスーツを選ぶときのポイント(女性編)

女性用の喪服は、ワンピースにジャケット付きのアンサンブルが定番です。年齢が若い女性ならかわいらしいボレロ風ジャケットが、40代以降の女性なら落ち着いた雰囲気のテーラードジャケットがおすすめです。また、喪主や遺族として参列する場合は、装飾のないシンプルな喪服がふさわしく、一般弔問客として参列するのであれば、レースやリボンが施されたものでも問題はありません。葬儀全般において肌の露出を控えるのが鉄則ですので、極力衿が詰まったものを選びましょう。


基本的には、喪服売り場で販売されているものなら、どのデザインを選んでも大丈夫ですが、スカート丈は故人との関係性を考慮する必要があります。スカート丈は長ければ長いほど格式が高くなるため、一般弔問客が喪主や遺族のスカート丈より長くなってはいけません。ひざ下からふくらはぎまでの丈が標準で、ひざ上など短すぎるものはマナー違反になります。


 


「素材」


喪服をシーズンに合わせて用意しようとすれば、出費が多くなってしまいます。ポリエステル素材の喪服なら、オールシーズン着用できて便利です。なかには、自宅で洗濯できる喪服もあります。夏場は特にたくさんの汗をかきますので、最初に買う喪服としてもおすすめです。


 


「色合い」


喪服は特殊な染め方をしているので、普段身に着ける黒色の生地とは色や質感がまるで違います。質の良い喪服ほど光沢のない深い漆黒色で高級感もあります。喪服を購入する際には、色の深さも判断材料にしてみてください。


 


「サイズ感」


男性と同様、女性の場合も喪服はサイズ感が重要です。体のラインが出すぎないサイズで、シンプルなシルエットのものは見た目が上品ですし、長く着ることもできるでしょう。

法要では何を着るべき?

「法要を行う時期について」


法要とは、故人が極楽浄土へ旅立てるよう、冥福を祈るための儀式です。仏教では亡くなってから四十九日までは魂の行先は決まっていません。命日を含めた7日目の初七日、14日目の二七日、21日目の三七日と7日おきに閻魔(えんま)さまの裁きがあり、49日目の四十九日に最後の裁きが下りて決められた行先へと旅立ちます。忌明けとなる四十九日以降は、百箇日法要、1年目の一周忌、2年目の三回忌、その後は七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌と続き、三十三回忌で弔い上げとなります。


 


「法要と法事の違い」


法要と法事は混同しがちですが、内容が異なります。法要とは、お経をあげてもらい故人の冥福を祈る儀式のことです。法事とは法要とそのあとの会食を含んだ行事全般のことをいいます。一般的に法事は、初七日、四十九日、一周忌、三回忌、それ以降は三と七がつく年忌ごとに行います。宗派によっても違いはありますが、十三回忌以降は遺族のみで執り行うことが多くなり、弔い上げの三十三回忌を比較的盛大に行います。


 


「法事での服装」


法事での服装は、初七日、四十九日、一周忌、三回忌までは喪服を着用するのがマナーです。七回忌以降は遺族・親族で供養することが多くなり、服装も平服になるのが一般的です。ここでの平服とは略喪服のことであり、カジュアルな普段着ではありませんので気をつけましょう。

まとめ

冠婚葬祭のなかでも、ナーバスな雰囲気に包まれる葬儀では、特にマナーを意識した振る舞いや装いが大切になります。仮通夜や通夜に駆けつける場合はダークスーツで問題ありませんが、葬儀や告別式に参列するのであれば喪服が必ず必要になります。訃報はいつ訪れるかわからないものなので、慌てて購入して失敗することがないように、しっかり吟味して後悔のない一着を用意しておくことをおすすめします。