喪服を着る時に合わせるシャツのマナー
監修:米山英児(日比谷店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2019.03.11 14:46:39
喪服を正しく着こなすには、スーツだけではなくワイシャツ選びも重要です。ワイシャツは、脇役のようで実は全体の印象を左右するアイテムなので、ふさわしくないものを着用すると目立ってしまいます。マナーに反した失礼な装いは、自分が恥をかくだけではなく、周りの人を不快な気分にさせてしまうことを忘れないようにしましょう。
喪服に合わせるワイシャツってどのようなもの?
ひと口にワイシャツと言っても、色や衿の形などさまざまな種類があります。ビジネスシーンで着用しているワイシャツでは代用がきかないものがありますので注意が必要です。では、しっかりポイントを押さえていきましょう。
「色」
喪服に合わせるワイシャツは白無地が基本です。冠婚葬祭はもちろん、ビジネスシーンでも白無地が基本であることに変わりはありません。ただ、冠婚葬祭でも結婚式ならば淡いピンクやイエローなどのカラーシャツで華やかさを演出しても問題はありませんし、ビジネスシーンでもカラーシャツが許される業種もあります。けれども、お葬式ではそのようなイレギュラーなスタイルは失礼にあたります。
「柄」
白無地でも、柄やステッチが入ったデザイン性のあるものは避けましょう。ほとんど白無地に見える目立たないストライプ柄やドビー柄なども、光の加減で模様が浮き上がりますので、本人が気づかないうちに視線を集めてしまうかもしれません。
「衿」
ワイシャツの衿にはさまざまな種類がありますが、喪服を着用する場合はオーソドックスなレギュラーカラー(襟の開きが70~90度)か、ワイドカラーを選んでください。
ボタンダウンやカッタウェイ、ホリゾンタルカラーなどは喪服にはふさわしくありません。ボタンダウンは本来ノーネクタイ仕様であり、カジュアルに分類されますので、フォーマルなシーン全般で着用は控えてください。カッタウェイやホリゾンタルカラーのような、襟が180度近く開いているおしゃれなデザインは、カジュアルな結婚式や二次会など、華やかさを演出する場ならOKですが、お葬式には不向きです。
「織り方」
同じ素材を使ったワイシャツでも、織り方ひとつで生地の持つ雰囲気がガラリと変わります。ワイシャツに採用されている定番の織り方としてブロードとオックスフォードがありますが、喪服にはブロードを選んでください。
ブロードは織り目が細かく生地の表面が滑らかで、一般的にドレスシャツに使われることが多い生地です。かたやオックスフォードは織り目がはっきりとわかる厚みとハリがあるタイプで、ボタンダウンシャツに広く採用されています。
「ボタン」
ワイシャツを選ぶ際は、ボタンの色やデザインにも注意を払いましょう。ワイシャツが白無地でも、ボタンに色が付いているものは避けてください。わずかに茶色が入った水牛柄もありますから注意してください。ボタンを縫い付けている糸も、白にしましょう。「このくらいなら」と思うようなアクセントでも、お葬式では目立ってしまいますので気をつけましょう。
夏は半袖のシャツでも良い?
弔事では肌の露出を控えるのが基本ですから、半袖シャツでの参列はマナー違反になります。けれど、気になるのは夏の熱中症対策です。通夜や葬儀・告別式で必ずジャケットを着用するならば、中は半袖でも問題ないでしょう。斎場はもちろん、寺院でも冷房を完備している施設が多いです。真夏なら、かえって冷房が強く効いているケースもあるでしょう。
まとめ
白無地ブロード素材のオーソドックスなワイシャツは、葬儀だけではなく、他のフォーマルな席やビジネスシーンにも使えます。糊のきいた白無地ワイシャツは、ビジネスマンが清潔感や誠実さを演出するには欠かせないアイテムですので、何枚か用意しておきましょう。できればそのうちの一枚は使用感が増さないよう、冠婚葬祭用として保管しておくことをおすすめします。