STYLING GUIDE

メンズの喪服について基本的なマナーを押さえよう!

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監修:佐々木信也(淀屋橋店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2019.03.11 13:54:16


訃報は何の前ぶれもなく届き、しかも年齢を重ねるごとにその機会は増えていきます。いざとなって慌てることのないよう、喪服は準備しておきたいもの。故人を偲ぶ大切な席ですから、基本的なマナーをしっかり押さえて大人として恥ずかしくない装いを心がけましょう。

男性の喪服の格式について

冠婚葬祭では、礼服を着るのがマナーです。喪服も礼服のひとつであり、3つの格式があります。最も格式の高い喪服が正喪服、次が準喪服、略喪服の順になり、故人との関係性や参列する式によって着用するものが異なってきます。


 


「正喪服」


洋装であればモーニングコート、和装であれば紋付きの羽織袴が正喪服になります。葬儀や告別式で喪主や遺族が着用します。


 


「準喪服」


ブラックスーツと呼ばれる礼服で、一般的に「喪服」といえばこちらを指すことがほとんどです。深い漆黒色のものほど格式が高く、また高級とされます。近年の葬儀や告別式では、遺族、親族、一般弔問客のどの立場の人でもこちらを着用するケースが多く、一着用意しておけば、急な訃報が入っても対応できるでしょう。


 


「略喪服」


無地のダークスーツのことです。ダークグレーや濃紺などの控えめな色で、艶や光沢がないものであれば、黒でなくても構いません。


 


通夜と葬儀・告別式で着ていくものが変わる?

葬式には、通夜・葬儀・告別式があります。それぞれの儀式には意味合いがあり、故人との関係性や参列する式によって装いが異なります。通夜は遺族や近親者のみで執り行う故人との別れを偲ぶ儀式ですが、告別式に参列できない一般弔問客が参列しても問題ありません。一方告別式は、友人や知人などが故人との最後のお別れをする式ですが、近年では、葬儀と告別式を同時に行うことが一般的になりました。葬儀は遺族や親族が故人の冥福祈る宗教的儀式であり、その内容は宗教や宗派によって異なるので、事前に注意が必要です。


 


「通夜での装い」


 


喪主や遺族、近親者


地域によっては和装の正喪服を着る場合もあるようですが、準喪服を着るのが一般的です。


 


一般弔問客


突然の訃報に駆けつける場合、略喪服や地味な平服ならば失礼にはあたりません。ただし、通夜でも準喪服を着る人が多くなっていますので、平服では目立ってしまうかもしれません。


 


「葬儀・告別式での装い」


喪主や遺族、近親者


正式な装いは正喪服になります。ですが時代の流れとともに喪主であっても準喪服を着用する人が多くなりました。


 


一般弔問客


準喪服を着用します。事前に遺族から「平服でご参列ください」と案内があった場合は、略喪服を着用するのがマナーです。

ブラックスーツの種類

スーツの種類にシングルとダブルがあるように、喪服にも両方のデザインがあります。どちらを選んでも喪服の格式には変わりはありませんので、自分の体型に合ったデザインを選びましょう。


 


「シングル」

シングルはビジネスでも定番のデザインのため、喪服でもシングルを選ぶ人が多くなっています。ボタンの数は2つか3つですが、2つボタンが主流です。流行や年齢に左右されにくいため、特にこだわりがないなら2つボタンがおすすめです。


 


「ダブル」

ダブルはゆとりのあるシルエットであっても美しく見えるのがメリットです。少しお腹が出ているなど体型をカバーしてくれるほか、重厚感や貫禄のある雰囲気を演出できるので、年齢の高い人に選ばれる傾向があります。


シングルでもダブルでも、一番下のボタンは開けておくのが基本の着こなし方です。シングルの2つボタンやダブルの4つボタンなら一番上のみ、シングルの3つボタンやダブルの6つボタンなら上2つのボタンのみを締めるようにしましょう。

黒のビジネススーツを喪服として着ても良い?

黒のビジネススーツと喪服のブラックスーツとでは、生地の質感や黒の深み、光沢が異なりますので別物と考えたほうがよいでしょう。葬儀でビジネススーツを着て参列すると他の弔問者の喪服との違いが目立ってしまい、眉をひそめられるかもしれません。大人の社会人の男性の心得としての喪服の準備が必要となります。仮通夜や通夜に駆けつける場合は、もちろん黒のビジネススーツでも構いません。

喪服を着用するときの基本スタイル

喪服を着用するときは合わせる物にも決まりがあります。弔事用の「ワイシャツ」「ネクタイ」「靴下」「靴」は必要になりますので、喪服を購入する際に一緒に揃えておくとよいでしょう。弔事では、殺生を連想させる革製品やファー、光沢のある生地や貴金属は、小物であっても身につけるのはマナー違反になりますので気をつけましょう。


 


「ワイシャツ」


白無地に限られています。白地のワイシャツであっても刺繍や織り方で柄を表現したもの、光沢のある生地は相応しくありません。ボタンも色やデザイン性のあるものは避けてください。衿はレギュラーカラーもしくはワイドカラーが基本であり、お洒落感のあるホリゾンタルシャツ(衿の開きがほぼ180度)や、カジュアルなボタンダウンシャツはNGです。


 


「ネクタイ」


葬儀では、黒無地で光沢のないものが基本です。柄や刺繍が施されたものは避けてください。細すぎず、太すぎず剣先が8〜9cm程度のものがベターです。


 


「靴下」

靴下は目立たないからと手を抜きがちですが黒一択と覚えておいてください。地味な色でも黒以外はマナー違反です。柄やワンポイントが入ったものも外しましょう。また、パンツの裾から肌が見えてしまうような丈の短いものや、生地が厚いものはカジュアルな印象になるので相応しくありません。


 


「靴」

黒のビジネスシューズが一般的です。内羽根のストレートチップかプレーントゥを選べば間違いありません。外羽根やローファーはカジュアルに分類されますのでフォーマルな席には不向きです。


 


弔事では革製品を身につけることは厳禁とされていますが靴は許されています。ですが、殺生をストレートに連想させる型押しやスエードは避けるべきです。また、光沢のあるものを身につけるのもマナー違反ですので、エナメル素材の靴も悲しみの席では浮いてしまいます。

まとめ

葬儀では多くの人が悲しんでおり、精神的にも感情的になりやすい場です。故人に対して哀悼の意を表するためにも、服装のマナーは大切にし、無言であっても偲ぶ心が伝わる装いを心がけてください。家族や親族、ビジネス関係など、どのような訃報が届いた場合でもしっかり対応できるよう、大人の常識として普段から準備をしておきましょう。