5つのポイントで攻略する!正しいオーダースーツの選び方
監修:堀省次(KITTE丸の内店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.08.15 12:16:31
目次
スーツを着用する機会が多いと、着心地にもっとこだわりたいとか、デザインに自分らしさを取り入れたいと思うようになるものです。そんなニーズに応えるのがカスタマイズのできるオーダースーツなのです。しかし、せっかくオーダースーツを作っても、「なんだかしっくりこない」「イメージと違っていた」そんなケースもあると聞きます。理想のスーツをオーダーするべく、今回は正しいオーダースーツ選びのポイントを5つに絞ってご紹介します。
オーダースーツの基礎知識
オーダースーツを作るには、3種類の方法(パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダー)があります。予算、使用目的、こだわりなど、自分自身の希望に合わせたオーダースタイルを選びましょう。
パターンオーダー
既存のデザインを基に、サイズを合わせて製作します。採寸をした上で、サイズ別見本(ゲージ)スーツを試着し、ジャケットの袖丈、裾丈、パンツのウエスト、パンツ丈など調整します。好みの生地や裏地、さらに好みのボタンや、ステッチの色等を指定して完成させます。
イージーオーダー
パターンオーダーと同様、見本スーツをベースに、体に合わせた補正を加えて製作する方法ですが、体型に合わせた型紙を作り直すことで、より体にフィットするスーツに仕上がります。アスリートなど個性のある体型の人におすすめ。フルオーダーほど、時間も予算もかけられないという人の、オーダースーツとして最適です。
フルオーダー
デザインを決定後、詳細に採寸をして1から依頼主専用の型紙を起こします。ここがパターンやイージーオーダーとの大きな違いです。採寸、製図、裁断、縫製といった一連の作業はテーラーが手作業で行なうことで、体形や好みに合わせた細かい調整が可能になり、より理想に近いスーツに仕上がります。完成まで多くの工程があるため、急ぎの場合は避けた方がいいでしょう。時間に余裕があり、少し多めに予算が確保できる時に、ぜひおススメしたい、贅沢なオーダースーツです。
オーダースーツはこんな人におすすめ!
カスタマイズができるオーダースーツは万人に向けたスーツのサービスです既製服で十分満足している人でも、オーダースーツの方がよりしっくりくる人もいるのです。ここでは、そんなお悩みタイプとこだわりタイプの人をご紹介します。
既製スーツではサイズが合わない
既存サイズより手が長い、首が太い、お腹が出ている、胸や肩に合わせるとウエストがゆるいなど、体型は人それぞれ。一般的な体型のパターンで作られた既製スーツでは、合わない箇所があるのは当然です。ですが自分に合わせて作るオーダースーツなら、体にフィットし、見た目もすっきりと気持ちよく着こなせます。自分だけのスーツで、更なる印象アップを目指し、ビジネスでもアドバンテージを狙いましょう。
自分らしさを表現できるスーツが欲しい
カジュアルスタイルと違って、スーツの違いは一見分かりにくいもの。とはいえ、日々の“戦闘服” であるスーツだからこそ、自分らしさを演出したいと感じる人も少なくありません。そんな悩みを解決できるのがオーダースーツ。色や柄、シングル、ダブルだけでなく、裏地の色や素材、表情がガラリと変わるボタンなど、自分のイメージを具現化することができるのです。
オーダースーツ未経験、いつかはチャレンジしたい
オーダースーツに興味があるものの、「オーダーは高そう」「作るのが面倒」と、実際にオーダーするに至らない人がいます。これは、快適な着心地が予想できても、なんとなく敷居が高いと感じている表れです。けれども、近年ではお手頃なオーダースーツも増えたことで予算に合わせて作ることが可能になりました。さらにスタイルによっては日数も短くなったことでチャレンジしやすくなりました。いくつかポイントを知っておけば、オーダースーツ選びがさらに簡単になりそうです。
オーダースーツの選び方
オーダースーツを作る時に知っておくべきポイントが5つあります。これを外さなければ、必ず着心地のいい一着ができるはず。ここではその選び方について学んでいきましょう。
ポイント1:スーツの用途を明確にしておく
テーラーに行く前に、まずは「今回の自分のニーズに合うスーツが何か」を考えましょう。「いつ何のために着用するスーツか」を具体的に考えておくことがポイントです。ビジネス用の場合は、派手な色柄を避けたスーツが好ましく、冠婚葬祭用ならば、ブラックの無地、裾口はシングルカフスを選ぶ必要があります。ビジネスシーンに相応しいスーツの着こなし、冠婚葬祭時のスーツのマナーなどについても情報を集めておきましょう。
「TPOに合わせた着こなしなんて分からない」という人は、是非一度テーラーにご相談ください。あらかじめ“どんなシーンで着用するか”を伝えておけば、型紙選びや細部のカスタマイズなどの際、アドバイスを貰えるのでお勧めです。
ポイント2:予算を決めておく
着用するシーンを具体的にイメージした後は、予算を決めます。オーダースーツは、お金をかけるほど必ず良いものができるわけではありません。というのも、ビジネススーツの場合は、着用頻度が高いため傷みが早い傾向があります。長く着用したいビジネス用スーツを作るには、繊細な生地ではなく、化学繊維を混紡した、ある程度の強度をもつ生地を選ぶのがベターです。一般的には、糸が細く繊細な生地は費用が高くなりますが、化学繊維混紡の生地を選べば、比較的リーズナブルでコスパのいいオーダースーツを作ることが可能です。
一方で、着用する頻度が低い冠婚葬祭用のブラックスーツは、ビジネススーツと黒の発色が異なります。一着で兼用にすることなく、社会人としてはきちんと別に用意するのがマナー。フォーマル用のスーツと並んだ時、ダークグレーのスーツに見えてしまうこともあるため、色味の選び方がとても重要になります。繊維が細い程、染料が深く入りやすいので、繊細で高級感のある生地を選べば間違いありません。
ポイント3:自分の体にフィットしたサイズにする
体にフィットしたオーダースーツを作る際に最も大切なのが採寸。スーツのシルエットやデザインにより着心地は好みが分かれますが、大きめのシルエットを選んでも、野暮ったい印象にならないよう適度なバランス調整が必要になります。ゆとりあるシルエットと着用感が好きでも、ルーズすぎるシルエットは避けるほうがいいでしょう。
逆に「スリムなシルエットが好き」と、自分のサイズより小さすぎるスーツを選ぶのもNGです。肩や胸が窮屈、足回りの張り、スーツにしわやヨレなどができやすくなり、スマートな着こなしとは言えません。また、摩擦によって生地の傷みが早くなるのも避けられません。オーダースーツを長く着たいなら、自分の体に適正なサイズかどうかを見極めて作りましょう。
ポイント4:生地選びにこだわる
スーツの着心地を左右する大きな要素が「生地」です。多種多様の生地から自分好みのものを選ぶことができるのも、オーダースーツの醍醐味です。生地の厚みや質感によってスーツの着心地は変わります。厚みがあったり、伸縮性に乏しい生地を選んだ場合は、サイズにゆとりをもたせて作ると安心です。
夏に着用するスーツなら、通気性や吸湿性が高い素材を選ぶと快適です。リネンやコットンなどは夏場のスーツに適しています。特に夏用の生地として、吸湿性や通気性に優れた化学繊維も多く出回っていますので、選んでみるのも良いでしょう。
冬用スーツには、暖かみのあるウール素材などがおススメです。ウールは保温性が高く、防寒効果も高いので、寒さから身を守るのにピッタリです。しかし、水に濡れると摩擦に弱くなります。万一濡れてしまったら、ハンガーにかけ通気性の良い場所で保管しましょう。
生地の織り方によってもスーツの印象は変わります。自分の好みや、どのような印象に見られたいかなどを考え、国内外の産地や織り方も選んでみるといいでしょう。
ポイント5:必ず試着をする
細かく採寸を行い、生地や型紙について、テーラーとじっくり相談して作るオーダースーツは、時間と手間をかけるのが一般的です。それでも、自分のイメージと完成したスーツに違いが出てしまう場合もあります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、仕上がったスーツは必ず試着することが大切です。スーツのサイズや着心地に納得がいかない場合、サイズ調整などの「お直し」対応をしてくれることが多いので、その場で依頼するのも良いでしょう。テーラーや依頼内容によっては、別途費用が必要になることもあるので確認が必要です。
フルオーダーでスーツを作る場合は、仕上げ前に「仮縫い」という工程があります。実際にオーダーされたサイズでスーツの型紙を作り、形にしていく工程の一つで、完成イメージを目にする貴重な機会です。一般的に、仮縫いされたスーツは試着可能であることが多いので、一度着用してみるのをおススメします。自分自身のイメージとのギャップの有無をここでクリアにするのも良いでしょう。
まとめ
「せっかくスーツをオーダーするなら、自分にぴったり合うものが欲しい!」と考える人は多いでしょう。自分が望むスーツは、スーツができるまでのステップ、選び方のポイントをきちんと押さえなければ手に入りません。しかし、自分のこだわりが詰まったオーダースーツに袖を通せば、既製スーツとは違う、格別の一着を味わうことができるはずです。
自分の着心地、デザイン、シルエット、パーツなどこだわりを盛り込み、TPOに合った着こなしが可能な一着を手に入れるため、今一度スーツにこだわってみませんか?オーダースーツのために押さえるべきポイントが何かを確認して、あなたにぴったりのテーラーを選んでみましょう。