STYLING GUIDE

オーダースーツへのこだわり方を紹介!選び方のポイントは?

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監修:堀省次(KITTE丸の内店 エリアマネージャー) / 投稿日時:2018.08.15 11:32:42


憧れのオーダースーツを作るとなれば、あれこれこだわりたい部分が出てくるもの。とはいえビジネスマナーも踏まえて最終的にはどんなことを選べばいいのでしょう?従来のしっかりとしたビジネスラインから、リモートで使えるカジュアルラインまで選び方のポイントを解説します。

オーダースーツを選ぶときの基本!3種類のオーダー方法について


ひと口にオーダースーツといっても、さまざまな種類があり、方法も価格も大きく異なります。テーラーへ行く前知識として、まず基本となる「フルオーダー」「パターンオーダー」、「イージーオーダー」について学んでおきましょう。

フルオーダー


フルオーダーとは、着用者を細かく採寸し、スーツの型紙を一から作る方法です。デザインやサイズはもちろん、海外の高級生地やポケット、ラペル、ボタンなど全てにこだわることが可能です。オーダーしたスーツを長く着用したいと考える人や、自分が望むデザインのスーツに出合えない人のニーズに応えてくれるでしょう。フルオーダーで20万円以上が目安とされています。なお、DIFFERENCEにはフルオーダーの取り扱いはありません。


パターンオーダー


「自分に合うサイズのスーツがなかなか見つからず、安価でオーダーしたい」という人は、パターンオーダーがおすすめです。パターンオーダーは、店に用意されているゲージ(見本)を着用するか、数種類の既製の型紙を基に、着用する人のサイズに合わせて部分調整を行います。選択幅は多くありませんが、生地や裏地、ボタンなどをカスタマイズできます。パターンオーダーで2万円~5万円が目安になります。


イージーオーダー


イージーオーダーは、採寸したサイズに合うデザインの型紙を選んで調整します。実際にテーラーに足を運び、既製の型紙が体に合う場合はパターンオーダーを、特殊体型でどのような型紙を選べばよいか分からない、あるいは生地など選択幅を広げたい場合はイージーオーダーを選ぶと良いでしょう。イージーオーダーで5万円~20万円が目安になります。

オーダースーツの色や柄の選び方


オーダースーツを作る時に、一番気をつけなければいけないのが色や柄です。その人を印象付ける大きな要素であり、着用する季節やシーン、年齢、立場などで大きく変わってくるからです。誰もが選ぶ色であっても、その絶妙な色や柄を考えるのがオーダーの面白いところ。知識として覚えておくといいでしょう。



色を選ぶときのコツ


就活生は時季を問わずブラックスーツが悪目立ちせずいいとされていますが、本来、スーツの色選びで一番大切なのが、季節になります。ビジネススーツの基本とされる、ネイビーとグレーは、季節により濃淡があり、夏になるほどに薄くなるのです。ネイビーでも赤みのある茄子紺であれば華やかな夏の色になりますし、黒に近いネイビーであれば冬を感じさせる深みがでます。グレーは白味が強いライトグレーは春〜夏の色で涼しさを感じさせてくれるのに対し、チャコールグレーなど深みのあるウールなどは秋〜冬に最適です。生地を選ぶ際、季節を無視してしまいがちですが、着用する季節を頭に入れながら選ぶことが装うマナーとしては大切なのです。デジタルカジュアルとしては、水色やブルーは春夏に、茶色は秋冬として選択肢にプラスすることができます。


柄を選ぶときのコツ


ビジネススーツとして柄を選ぶなら、無地、ストライプ、チェックが基本です。無地は安定的な定番とされ20代の方はもちろん、金融などの堅い業種の方には間違いない選択です。無地の中にはヘリンボーンを代表するさまざまな織柄があるので、織柄でこだわりをみせるのもいいでしょう。 一方、最近人気なのが、大きな格子柄や太めで主張が強いストライプ柄。個性的でおしゃれを優先したい場合にはとても有効ですが、ここで気をつけなければいけないのは、着用者の年齢や立場や業種です。仕事上、若年層で主張しすぎているスーツを着用すると反感をもたれる場合があるので気をつけましょう。逆に40代など役職があるポジションであったり、起業している人には「勇気を与えてくれる」存在になってくれるでしょう。

ジャケットのこだわりポイント


同じようなテーラードジャケットでも、実はこだわりポイント次第でシルエットや着心地、見栄えが大きく変わります。ここではそのポイントを解説します。


 


ウエストライン


ジャケットを印象付ける大きなポイントとして挙げられるのが「ウエストラインを絞るか否か」です。ウエストラインを絞ったシルエットは、腰の位置が高く見えスタイルが良く見えます。現代的でスタイリッシュかつ細い印象に仕上げるなら、ウエストのラインを絞っておくと良いでしょう。ウエストラインを絞らずボックス型にすると、クラシックで貫禄のある印象になります。ウエストが気になる方はこちらがおすすめです。


ボタンの数


ボタン自体も気になるところですが、それ以上にボタンの数はデザインに大きく左右されるのでこだわりポイントとして重要です。シングルジャケットのボタンの数は、1つボタン、2つボタン、3つボタンから選ぶケースがほとんどで、ダブルジャケットの場合は、4つボタンもしくは6つボタンから選びます。ビジネスシーンで控えめに着用する場合は、シングルタイプを選び、ボタンは1つ~2つでオーダーするのが最適。1つボタンの場合はモードでスタイリッシュな印象に仕上がることもありますので、就職活動などには注意しましょう。よりビジネスシーンにマッチするスーツをオーダーしたい場合は2つボタンがおすすめです。


襟やポケットのディティール


おしゃれを前面に感じさせるこだわりポイントが、「襟やポケットのディテール」です。襟の種類には「ノッチドラペル」、「セミピークドラペル」、「ピークドラペル」などがあります。これらの襟は、襟の傾斜によってデザインが決まっており、ビジネスシーンで着用されるジャケットはノッチドラペルが一般的です。ピークドラペルやセミピークドラペルはフォーマルやパーティー用のスーツに用いられます。


ポケットの種類には、「フラップポケット」、「チェンジポケット」、「スラントポケット」などがあります。フラップポケットとは、ポケットの上にふたがついた仕様。一般的なスーツに採用されています。チェンジポケットは腰ポケットの上に、もう1つ小さなポケットがついた仕様で、貴族時代に小銭や懐中時計を入れた名残がデザインとして残っているものです。スラントポケットは口が斜めについています。一般的にフラントポケットは外出時に雨やごみが入らないようにガードするためのものです。フラップポケットのスーツはフォーマルな場に相応しいとされていないため注意しましょう。

パンツのこだわり方のポイント

タック


タックとは、腰回りに付いたパンツの折り目のことを指し、パンツのシルエットを大きく変える要素です。タックが入っていないパンツを「ノータック」、1本の折り目が入ったものを「ワンタック」、2本の折り目が入ったものを「ツータック」と呼びます。ノータックのパンツはスラックスのシルエットがシャープで美しい印象になるため、スリムなスーツとの相性が良く、ウエストが細い人に向いています。ワンタックのパンツは程よく腰回りにゆとりができ、足長効果を得ることができます。ツータックのパンツはクラシックな印象に仕上がり、男性らしいフォルムに見えますが、裾幅を狭くするとバランスが崩れてしまうので気をつけましょう。なお、タックが入っていた方が腰回りにゆとりができるため、ポケットなどにものが入りやすく便利です。


パンツカフス


スラックスの裾口にある折り返しのことを「パンツカフス」といいます。通常ビジネスのパンツカフスはダブル、フォーマルではシングルとされていますが、最近では特に厳しいルールなどはありません。テーパードなど先が細くなるスラックスのシルエットを安定させるにはダブルの方が落ち着くでしょう。折り返し幅は4.5〜5cmが適切です。

オーダースーツのこだわり方の例をご紹介!


オーダーの種類は異なるにしても、着る人によってこだわり方は千差万別。生地はもちろん、シルエットからディティールに至るまで好きにカスタマイズできるのが楽しみでもあります。ここでは「こだわり方」に焦点を当てて深掘りしていきます。


ビジネスシーンにマッチしたものを作りたい場合


ビジネスシーンでこだわりを表現するには、ジャケットのディテールを吟味してオーダーすることが大切です。例えば、生地はベーシックな無地でも、ジャケットは2つから3つボタンのシングルジャケット、襟元はノッチドラペル、ポケットはフラップポケットにチェンジポケットを加えることで一目置かれるようなジャケットになります。パンツタックはスマートなノータックかワンタックを選んでおくと無難です。


自分の個性を表現したい場合


デジタルカジュアルなどで個性を表現するスーツが欲しい場合は、思いっきりこだわってしまうのもあり。例えば格子柄でダブルボタンのジャケットにしてスラントポケットにするなど、独自のデザインにすることでオリジナリティを表現することができます。ただし、スーツが持つフォルムとの相性を考えることを忘れないようにしましょう。例えば、かっちりとしたダブルボタンのジャケットに、ノータックで細身のパンツを合わせるとバランスが悪くなることもあるので、テーラーに相談しながらオーダーが必要です。

まとめ

ビジネスマンの憧れといわれていたオーダースーツですが、時代の流れとともに、より身近になり手に届きやすくなりました。これにより、いかに自分の仕事上の身嗜みに真摯に目を向けているかがわかるようになりました。男性にとって装うことは二の次といわれていた時代はもう過去のもの。セルフプロデュースもビジネスのうちとされる現代社会において、こだわりのあるスーツを用意することはとても大切です。まずは一着手始めにこだわりスーツを作ってみることをおすすめします。