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ベントとは?センターベントとサイドベンツの違いと選び方を解説

投稿日時:2021.11.26 17:52:45

スーツを選ぶ時に、前側は鏡でいくらでも確認出来ますが、後ろ姿については、見にくさもあって「なおざり」になりがちです。


でも背中で語る事が出来るのは、男の特権です。大切にしましょう。


スーツの後ろ姿の印象を決めるポイントとしては、ジャストフィットしたシルエットが大切です。


そのシルエットを決める大きな要素の一つが、背中にある切れ込み「ベント」です。


後ろ姿を演出するベントについて理解すれば、背中で語る格好いい男に一歩近づける可能性は、きっと広がりますよ。ベントの種類による違いや選び方も解説します。

ベントとは?

ベントとは、スーツのジャケットや上着に入っている割れ目の総称の事です。


一般的には上着の着丈1/3程度の長さで、腰の辺りから裾にかけて割れています。


日本人の標準体型着丈は72cmくらいですから、24cm程度になりますね。


浅いベントでは15cmくらいのタイプがあります。


その時々の流行で、ベントの寸法は変化してきました。


真ん中で1つの割れ目のタイプを「センターベント」と言います。


両側に2つの割れ目があるタイプを「サイドベンツ」と言います。


真ん中と両側で「ベント」が「ベンツ」に変わるのは、両側だとベントが2つになり、複数形のsが付くためです。


既製品では、色付の「しつけ糸」を使って×状に閉じられています。


これは運送時や保管移動時に、スーツ・上着を守る仕様なので、着用する時には外してくださいね。


センターベントの歴史


センターベントのルーツはイギリスの乗馬用ハッキングジャケットにあると言われています。(諸説あります)


モーニングコートの裾を切り落として、現在に繋がるスーツの原型が出来たのは19世紀頃です。


当時の主流な乗り物・移動運搬手段は、まだ馬の時代。


馬に乗る時に使用するジャケットの裾にベンツを入れる事で、馬に跨がった時の便利さを追求したことに始まります。真ん中にある切り込みで上着の裾を捌いたわけですね。


そのため日本では、センターベントの事を「馬乗り」と言います。


サイドベンツの歴史


サイドベンツのルーツは、その昔サーベルと呼ばれる剣を腰に装着するのに、上着のサイドに切れ込みを入れたことにあるとされています。(諸説あります)


イギリスの水兵さんが着ていたピーコートが起源で、「後から上着に取り入れた」という説もあります。


上着に干渉すること無く切れ込みから剣が抜けて、シルエットが変わらない事を求めながら、デザインのバランスから片側だけでなく、両側に入ったと考えられます。


日本では、剣を挿していた侍の時代には洋服は着用していませんでしたが、近代の「軍刀を挿すのに便利なデザインである」と軍部に採用されていたこともあり、サイドベンツのことを「剣吊り」と言います。

センターベントとサイドベンツの特徴と違い

機能性を求めたベントも、タイプによって違いがあります。


それぞれ見ていきましょう。


センターベントの特徴


背中中央にある縫い目(センターシーム)が開いています。


真ん中にあることから、センターベントの名前が付いています。


シングルベントと呼ばれる事もあります。


縫い目に沿って入る切れ込みが重なるタイプをベントと称し、重ならないタイプはスリットと称します。


現在流行中の、全体的に細身なシルエットに適したベントです。


流行でベントの寸法は変わります。


着丈が短いタイトなジャケットは、ベントの寸法が短くなる傾向になります。


細身なシルエットスラックスに合わせるなら、センターベントです。


ベントが入る事で動きやすくなり、活動的なイメージに繋がります。


イメージだけで無く、椅子や畳に座った時に逃がす部分を設けることで、シルエットを保つことが出来て実用的です。


日本のビジネスシーンでは、最も多いスーツの定番仕様です。


リクルートスーツやお堅い職場の新人さんも、センターベントは安心してチョイス出来ます。


ビジネスの世界に求められるのは静より動ですから、ベント付きスーツが主流になっている理由が解りますね。


センターベント仕様にするのは、シングルブレストのスーツ・ジャケットが基本で、ダブルブレストのスーツ・上着には一般的に使いません。


センターベントの上部が鍵型になっているタイプを「フックベント」と呼んで区別しています。


アイビー調のアメカジ上着等にありますが、量産タイプのスーツでは少ない為、オーダースーツならではのこだわりとして取り入れるのもいいでしょう。


特徴的なミシン糸の形状が、品の良いアクセントになります。


アメリカのスーツもセンターベントが圧倒的に多いです。


紺ブレザーもセンターベントのタイプは、アメカジ感が強くなります。


サイドベンツの特徴


上着背中両端にある縫い目が、両裾開いています。


両サイドにあることから、サイドベンツの名前が付いています。


ゆとりのあるシルエットに適したベントです。


やはり、流行でベントの寸法は変わります。


ヨーロッパの定番モデルでは、ごく浅いサイドベンツのものがありますが、深く割られているディープサイドベンツも存在します。


短めの丈になっているタイプよりも、標準的で正統派スーツに適したベントです。


センターベント以上に動きやすくなり、人の動きに合わせてお尻の部分や脚のサイド部分まで露出します。


活動的なイメージになるだけではなく、脚を長く見せる演出をします。


センターベントに比較して、優雅で威厳がある印象になります。


スラックスのシルエットがタイトな上着には、一般的にサイドベンツは向きません。


渡り巾が標準からゆとりがあるタイプで、シルエットに美しい統一感が出ます。


イギリスのスーツは圧倒的にサイドベンツが多いです。


ダブルブレストタイプのスーツ・上着で多く用いられるベントです。


サイドベンツ仕様は、ヨーロッパの香りがします。


それぞれに合う体系は?


細身でタイトなスーツを好んで着る方なら、迷うこと無くセンターベントです。


スリムなシルエットでも、動きやすい機能を持たせる事が出来ます。


標準的・ゆったり目のシルエットを好んで着る方なら、サイドベンツです。


動きやすい中に優雅さがあり、威厳を感じさせます。


腰回りやお尻回りが大きい方に最適です。

ベントの選び方

自分のスタイルに合ったベントを選びたいですよね。


ベントの種類で、どう変わるのか具体的に見ていきましょう。


動きやすさ


ベントが入る事で、センターベントもサイドベンツも動きやすくなります。


サイドベンツは両側の二箇所で逃す為、動きやすさでは軍配が上がりますね。


ポケットに手を突っ込む習慣がある方は、サイドベンツの方が楽でシルエットも崩しません。


シルエット


全体的にタイトなシルエットなら、センターベントです。


細身のシルエットのスーツで、ベントが無いと窮屈です。


ベントが無ければ、動きによって上着のシルエットが大きく変化してしまいますよね。


センターベントは、総じてシンプルでスポーティーな印象になります。


優雅なシルエットなら、サイドベンツです。


標準から「ゆとりがある」タイプの上着にフィットします。


エレガントな印象になります。


ノーベントというタイプもある!


ノーベントは、文字通り上着の後ろに切れ込みが無い、ベントの無いタイプの事を言います。


現在は通常のビジネススーツにおいて、ノーベントのスーツは殆ど見かける事がありません。


しかし、1980年代のDCブームの頃は、ソフトスーツと呼ばれる新しいスーツの流れがありました。


全体的にゆったりとしたシルエットのスーツですが、当時の若者が購入するスーツの大半はノーベントでした。


既存のスーツはオジさん臭い!という概念が幅を効かせていて、ある意味ベントはその象徴として扱われていたフシがあります。


流行があるベントのスタイルですが、ベントは無い方が歴史は古いです。


ノーベントは、ダブルブレスト仕様の上着にサイドベンツと並んで採用されることが多く、礼服ではオーソドックスな仕様です。


タキシードなどのヒップ丈で礼装用の上着は、伝統的にノーベントになっています。


ベントの切れ込みは、動きやすい様に入っている経緯があります。


動きを必要としない服装は、ノーベントという事ですね。


その意味では、ノーベントが一番伝統的で優雅とも言えます。

センターベント・サイドベンツでよくあるQ&A

よくある質問をまとめてみました


センターベントのスーツで、ストラントポケットはありですか?


お洒落な方ですね!


ストラントポケットは、元々乗馬をするジャケットに手を入れやすくする為に生まれた、斜めになっている仕様のポケットです。


ストラントポケットの別名は、ハッキングポケットと言います。


ハッキングポケットは、ハッキングジャケットのポケットだから付いた名前です。


ハッキングジャケットは、ベントのルーツとも言われる乗馬用のジャケットなので、ストラントポケットは大いにアリです。


知ってる人が見たら、ニヤリとするかも。


オーダースーツなら、そんな楽しみもありそうですね。


センターはベントなのに、サイドはベンツと呼ぶのは何故ですか?


本文にも書きましたが、センターベントはベントが1つ。


サイドの場合は両サイドにベントが付くので2つあるので複数形になります。


従ってventが複数形になりventsになります。


実は結構混同されていて、上着の背中を割っている仕様を全部「ベンツ」と思っている方も多く、センターに1つだけであっても「ベンツ」と言う方をされますね。


意味は通じますが・・・間違いです。


ダブルブレストのスーツでセンターベントはアリですか?


ダブルブレストの仕様で、センターベントになっているのは、ピーコート以外には少ないのは事実です。ダブルブレストの場合は、サイドベンツかノーベントが一般的ですね。


ファッションにセオリーはあっても、正解は無いと思います。


拘りがあるのでしたら、市中には少ないと思いますがダブルのスーツでセンターベント仕様を探してみるのも良いと思います。


オーダースーツなら、そんな希望も簡単に実現出来ますね。


購入したジャケットの裾についている、×の糸が外れてしまいました。別の色糸を使うのはおかしいですか?


本文にも書きましたが、裾を閉じている×の糸は、運送時や保管移動時にスーツ・上着を守る仕様で付けられているので、購入後に着用する時は外してくださいね。


デザインで付いているのではなく、外す前提のものです。

まとめ

ベントは、後ろ姿の印象を決定づける要素があります。


既製品のベント仕様は後で変更する事は難しく、あるものを受け入れる他ありません。


オーダースーツなら、仕様を自分好みにした1着が可能になります。


一つ一つ仕様に悩むのも楽しいのですが、全部理解する必要はありません。


自分の好みと拘りを告げれば、体型や寸法と擦り合わせてトレンドも考慮した最適解を、プロが出してくれますよ。

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