弊社代表インタビュー:今までにないことを実現し、お客様へ更なる喜びと感動を与えます
2018.08.08
2018.08.08
お客様のご要望というのは1つだけではなくて、様々なご要望があるかと思います。例えば、身体にも好みにも、最適なスーツを手に入れたい、着こなしたいというご要望です。数ある選択肢から、自由に選び、パーソナライズしたいという思いが誰しもあるかもしれません。
私たち、小売の使命は、お客様が望まれているものをご提供するということです。ですからお客様のご要望を叶えたいと思えば、オーダーというのは必然的に視野に入ります。
しかし数年前まで、紳士服の市場でオーダースーツの占める割合は、5パーセント強程度。殆どが、既製服の売上によるものです。実際にオーダースーツを取り扱っている私どもの店舗の数字を見てみても、オーダーで実績を上げている店舗はほとんどないという状況でした。当時は、社内でもオーダーだけは手を出さないほうが良い「神聖なエリア」という扱いでした。
しかしその頃に売れないといって、次の5年、10年先の時代に売れないとは限らないと思っていました。いずれ市場は、オーダーの割合が大きくなるのではないか、その様な予感がしていました。
それから時代が進み、オーダーの割合は近年、紳士服市場全体の20パーセントくらいまで拡大しました。数年前まで5%だった市場が約4倍まで成長したのです。市場全体の規模で考えると、非常に大きな変化です。
お客様が、よりご自身の好みに合ったスーツを望んでいらっしゃるのであれば、これはもうやらないということはありません。オーダーは触れてはいけない神聖なエリアでは、なくなったのです。
オーダーが、将来私たちの仕事の中でもお客様に選ばれるという確信があります。そしてこれから先の未来、お客様の多様化するご要望が叶えられる事業だと感じています。そんなサービスをご提供するために私どもはDIFFERENCEを立ち上げました。
私たちは長年既製服のスーツを提供してきたことで既製服のノウハウを持っています。しかしDIFFERENCEを立ち上げるには、マーケティングを大きく見直し、新たな体制を構築する必要がありました。どの様な体制を構築したのか、その一部をご紹介します。
まずは、オーダーを頂いてからご納品までの「時間」というところです。
私はお客様にメリットがあるのは、「価格の感覚」が絶対的ではないと考えています。そして同時に「時間」が重要と考えています。なぜなら洋服をシーズンごとで見た時、「納期」によって買える時期が限定されてしまうからです。納期が2週間だったら今の季節に購入しても間に合う。でも1ヶ月なら、着られない。この様な時間のメリットは、価格的なものには反映されないけれど、お客様に「機会」を得て頂けます。
短期納品を実現するために、工場を日本国内に絞っています。元々持っていた既製服の工場の、生産のライン自体を一から見直しました。既成服を作っている工場で持っていたオーダーを作れるシステムを、更に拡大・構築しました。もっとお客様にたくさんのオーダースーツをお渡しできる生産背景を作り、「最短2週間納品」にこだわりました。
次に「場所」に関して。私どもは紳士服の店舗を多く保有しています。しかし既製服を売っていく店舗でオーダーを売るというのは、相反する目的があります。どちらかが売れれば、その片方が売れなくなってしまうからです。またオーダーをやるなら、郊外ではなく、都心部の立地の良い場所である必要性を感じていました。そこで新しくオーダー専門の店舗を、都心部を中心に作ることにしました。
既製服の店舗の場合、在庫をおいて置く場所が必要です。私どもは郊外に100坪くらいの大きさの店舗を保有しています。一方で、オーダーの場合、15坪くらいの店舗でもサービスのご提供が可能ということがわかりました。なぜならオーダーの場合、在庫を置く必要がないからです。お客様の接客サービスをする場所と生地サンプルが置ける場所、ひとつひとつ計算すると10坪前後さえあれば、オーダーはできるのです。
初期に出店した9坪の店舗が、今も銀座にあります。おかげさまで、今でも大変多くのお客様にご利用頂いています。小さい店舗でも、お客様に満足して頂ける空間を作ることは可能なのです。
既製服の場合、大量生産されたスーツをお客様に販売することで、1着あたりのコストを下げられます。お客様に非常に効率よく、価格と品質のバランスが取れたスーツを、お届けできます。一方でオーダーは1着1着作るので、当然かかる時間によって人件費でコストが上がります。
そこで、私どもは既製服のときのノウハウを、オーダーに置き換えることにしました。つまり既製服で1000着作るのと、オーダーで1000着作るのを、同じ様な考え方や、同じ様なスピード感で作れる仕組みを構築しました。これを私たちは「1着1着の大量生産」と呼んでいます。1着ずつの大量生産ができていると、全てに置いてコストダウンとスピードアップが図れます。コストダウンの積み重ねにより、オーダースーツを気軽に注文できる価格帯を実現しております。
紳士服のオーダーは今、私たちも含めて、黎明期であると思います。これから想像もできないくらい変わっていく分野でしょう。
私たちはいくつかステージをロードマップ的に組んでいます。現段階のDIFFERENCEは、お客様へサービスをご体験頂く店舗と機会を増やしている第一段階です。
DIFFERENCEは、1回目はご来店を頂き、2回目はアプリでオーダーができます。しかし将来的には、最初からご来店頂かなくてもオーダースーツが作れるというところまで、変えていきたいと思います。また私たちからお客様へブランドを伝えていくアピールの手段をもっと深掘りしていく必要があります。アピールというよりも、お客様に調べて頂くという形になるのかもしれませんが。
そしてその次はもっと違ったものに変えていきたいと思っております。それはまだ正直にいうと可能性の世界の話です。ですが、多分この数年で、また技術革新が起こり、夢物語ではなくなる次の時代が、必ず到来します。ですから、DIFFERENCEの今の形は、ゴールではありません。今後更にDIFFERENCEを成長させて、お客様に喜びと感動を与え、もっと楽しんで使って頂けるブランドにします。まだ見ぬ価値や体験を、DIFFERENCEを通じて提供したいと思っています。