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裏地の役割とは?種類や織り方についてご紹介


スーツやスカート、ワンピースなど裏地がついているアイテムは多くありますが、その裏地について考えたことがある方は、それほど多くないと思います。実は、裏地は人々が快適に衣類を着用できるよう、とても重要な役割を果たしています。

今回は、裏地の機能や、どのような素材が主に使われているのか、その特徴などについてご紹介します。

裏地とは


裏地とは、衣服などの裏側につける布のことを指します。
裏地には様々な素材が使われ、それによって着心地も異なってきます。

裏地の機能と役割とは


・滑りをよくし、着脱を楽にする
・内部の汚れ防止
・ムレ防止
・衣服の表地の風合いを保つ
・透け防止
・静電気の防止
・ファッション性の向上



・滑りをよくし、着脱を楽にする

裏地がついていることにより、中に着ている衣類や肌と引っ掛かることなく、着脱をスムーズに行うことができます。また、素材によっては、直接肌に触れても、肌へのダメージが少ない裏地もあります。


・内部の汚れ防止
裏地がついていることによって、衣類の内部に汚れが付着することを防ぎます。また、体から出る汗が表地に移行してしまう場合もありますが、裏地がついていることで、表地を保護する役割もあります。


・ムレ防止
裏地には素材によって、吸湿性や放湿性を備えているものがあり、ムレを防止してくれます。夏の衣類で、裏地がないものを選ぶ方もいるかもしれませんが、付いていたほうがムレにくい場合もあります。


・衣服の表地の風合いを保つ
表地の風合いを保つことにも一役買っています。摩擦を防ぎ、表地がくたくたになってしまうことを防ぎます。また、裏地の付け方によっても、表地のシルエットが大きく変わります。例えば、春夏の麻の表地で、張り感のある裏地だと形が崩れにくいため、シルエットを綺麗に保ちながら長くスーツを着続けることができるでしょう。


・透け防止
表地が薄い色の場合、光を通すと内部で光が反射し、外へ透過する現象が起きます。それが透けの原因です。裏地を付けることにより、衣類の内部へ光を透過させることを防ぎ、下着などを透けにくくすることができます。


・静電気の防止
冬は特に静電気が発生しやすい季節です。素材によりますが、裏地がついていることによって嫌な静電気を防止することができます。


・ファッション性の向上
裏地は、素材によりますが様々な色や柄を出すことができます。特にオーダースーツでは、自分の気に入った裏地を付けることで、おしゃれの1つとして楽しむことができます。また、ベーシックな表地に、ブランド特有のストライプや、ロゴなどを組み合わせた、ポイントとなる裏地を取り入れることで、オリジナルティーを加えることも可能です。


 

裏地の種類と特徴


・裏地として使われる素材

裏地として使われる素材には以下のようなものがあります。


・キュプラ
・ポリエステル
・シルク
・レーヨン
・アセテート
・ナイロン



日本国内では、基本的に裏地として使われるのはキュプラとポリエステルです。
それぞれの特徴についてみていきましょう。

・キュプラ
綿実(コットンリンター)を原料にして作られた再生繊維。「コットンリンター」とはコットンの種の周りの産毛のことです。肌触りがよく吸湿性が高く、静電気も起こりにくいのが特徴。しなやかさと光沢があり、表布になじみやすく、ムレの防止になるなど、裏地として必要な要素をすべて備えているといえるでしょう。ただし、水に弱いため、洗う際は洗濯表示をよく確認しましょう。また、「ベンベルグ」とは、キュプラの商標名を指します。


・ポリエステル
石油を原料とした合成繊維。しわになりにくく摩擦に強く耐性があります。また軽いのが特徴。価格が安価なところで、既製品によく使われています。デメリットは繊維自体の吸放湿性が低く、むれやすく静電気が起こりやすい点です。


・シルク
光沢としなやかさがある。吸湿性に優れ、着心地や肌障りがよいです。ただし、水に弱く、耐久性、伸縮性にも欠けるというデメリットがあります。


・レーヨン
木材パルプを原料とした再生繊維。風合いや、吸湿性、すべりが良く、静電気が起きにくいというメリットがありますが、しわになりやすく、比較的水に弱い傾向があります。


・アセテート
綿実か木材パルプを原料として作られた半合成繊維。軽くてしなやかで、保湿性があるが、摩擦強度はキュプラやレーヨンより劣り、熱にも弱い特徴があります。


・ナイロン
ポリアミド系の合成繊維。非常に強い繊維の1つで、軽くて、弾力性と、保湿にも優れ、しわになりにくい点が特徴。デメリットは、紫外線や熱に対して弱い傾向があります。


 

裏地の織り方と種類の特徴

裏布に限らず織物は平織り、綾織り、朱子織りの三原組織でできています。
それぞれの特徴についてみていきましょう。

・平織り(タフタ)の特徴
たて糸とよこ糸を1本ずつ交互に交差させる織り方です。丈夫で摩擦に強いのが大きなメリット。また、平面的でプリントや加工などもしやすいのが特徴です。羽二重やジョーゼットが代表的な平織の織物です。タフタは滑りが良く、丈夫なため、幅広い服の種類に使えます。また、ジョーゼットは、ドレープがキレイにでるため、ブラウスやスカート、ドレスなどに使われるシーンが多いです。 


・綾織り(ツイル)の特徴
たて糸、もしくはよこ糸を交互ではなく、たて糸がよこ糸をまたぎ、ずらして織る織り方です。糸の交差部分が斜めになるのが特徴です。柔らかい風合いで、シワになりにくいのがメリットとして挙げられます。ただし、摩擦に弱いというデメリットがあります。用途としては、厚手の生地を折ることができるため、デニムやスーツ、ジャケット、ズボンにも使われます。


・朱子織(サテン)の特徴
たて糸、よこ糸を5本以上組み合わせて作られます。表面がほぼ、たて糸になるのが特徴で、光沢感があり滑らかな仕上がりになります。滑りが良く、布地が厚いため、スーツやコートなどに適しています。ただし、綾織り同様、摩擦に弱いという点がデメリットとしてあげられます。


 

裏地の素材に適するアイテム


それぞれの裏地の素材がよく使われるアイテムをご紹介いたします。

キュプラ
スーツ、ジャケット、コート、パンツ、スカート … 何でも使われている

ポリエステル
パンツ、スカート、コート … 何でも使われている


シルク
ドレス、コート、ジャケットなど高級な服


 

キュプラは基本的に、スーツやジャケットをはじめ、メンズのパンツ、レディースのスカートなど、どのアイテムにも使うことができます。また、吸放湿性に優れているため、蒸し暑い夏場も通してオールシーズン裏地として利用できます。絹のような光沢も兼ね備えていることから、高級品やオーダースーツの裏地素材の定番にもなっています。


 


ポリエステルは、強度があり、しわができにくいなど使い勝手がよいため、パンツやスカートをはじめ、多くの既製服に使われています。ただし、吸湿性に欠けるため、夏は暑く蒸れやすく、暑い時期のアイテムとしてはあまり向いていません。


 


シルクは、ドレープ性が高いため、ドレス、高級感のあるコートやジャケットの裏地にも適しています。


このように、裏地の素材ごとに適するアイテムは異なりますが、裏地の本来もつ効果を高めるためには、「表地との組み合わせ」が大切です。例えば、裏地が吸放湿性のある素材を用いていても、表地がポリエステルだと湿気が溜まってしまい、ムレやべたつきの原因になってしまいます。そのため、裏地がキュプラであれば、表地はコットンやウール100%などの天然素材ものがおすすめです。

季節別で適した裏地の織り方

生地の折り方で生地の薄さを変えて、温度感を変えることができます。例えば、タフタの平織物は、生地の厚みが一番薄くなりやすいので、夏場のサマージャケットや女性の衣類など軽いものに適しています。また、ツイルやサテン地は、生地が厚いため、秋冬に適しています。特に、厚手のジャケットやコートには、サテンの朱子織物が使われることが多いでしょう。

洋服を買う時の裏地のチェックポイント


・適する裏地がついているか

出したいシルエットに合った裏地がついているかも重要なポイントです。例えば、細身のスーツをきれいなシルエットで着るためには、キュプラ(ベンベルグ)が適しています。


また、袖に滑りが良いキュプラなどの裏地がついていると、ストレスなく着用することができます。袖の滑りが良くなると、腕を動かしても、つっぱりを感じないため、着心地が良くなるのです。逆に、伸縮性のある裏地だと、突っ張ってしまうことが多くなってしまいます。伸びの良いものよりも、滑りの良いものを選ぶことで、表地に伸縮性があっても袖通しが良くなるのでおすすめです。


着心地を確認する場合は、実際に試着してみるのが良いでしょう。


・裏地の素材
裏地の素材は、洗濯表示のタグで確認することができます。購入する前にチェックしてみましょう。特に、夏の衣類は、汗で蒸れたりするため着心地が重要です。キュプラなどの吸湿性や放湿性に優れたものが使われているか確認しましょう。

裏地の手入れ



大量に汗をかいてそのまま放置したら、しみになってしまったなんて経験はないでしょうか。特に、繊維の中に水分を取り込む量が多い裏地の素材だと、汗が溜まりやすく、放置しすぎるとカビなどの原因になってしまいます。さらに、水や汗が染みたところと化学反応してシャツに移り、変色の原因にも繋がる可能性も。
また、デリケートな素材の場合、摩耗で裏地が傷んでしまうケースもあります。このような場合、ポケットにずっとペンをさしていたり、ベルトのバックルがあたって擦り切れたりすることによって、裏地が傷む原因になります。


・裏地が傷むのを防ぐ方法
脱いですぐクローゼットなどにしまってしまうと、高温多湿な状態になってしまい、カビや黄ばみの原因に。風通しの良い日陰に干しておくとよいでしょう。干す際は、直射日光は避けて、きちんとスーツの形を整えて肩にしっかり入るハンガーで吊るしましょう。ずっと畳んだままという状態は避けて、常に形を保ってスーツを保管することが大切です。
その他にも、1日置きに着るなど、連続して着ないのも劣化を防ぐためには有効な対策です。
また、ほつれなどが出たら、そこから穴が広がってしまう前に、その部分だけすぐ直すようにしましょう。


・もし傷んでしまったら
お直しのお店や、スーツなどの場合は買ったお店で、つぎはぎで修理できることもあります。裏地劣化の範囲が広がってしまうと、バラバラにしてお直しをしなくてはいけないので、穴やほつれを見つけたらすぐに修繕することをお勧めします。裏地をつぎはぎで直しても見えない部分なので、お直ししても変わらず着ることができます。


 

裏地は着脱を楽にしてストレスフリーな着心地と、自分だけのこだわりを叶える

素材の違いや、織り方を理解して、用途や季節に合った裏地選びをすることが大切です。


裏地まで気を配る機会は少ないかもしれませんが、裏地は着心地に大きな影響を与えるもの。


裏地の種類の中でも、キュプラ(ベンベルグ)は、吸湿性が高く、肌触りの良さに加え、表布になじみやすいなど裏地に必要な要素をすべて兼ね備えています。着心地の向上はもちろん、裏地は色柄も様々なので、おしゃれの1つとしても楽しむことができるでしょう。実際に着てみて自分の肌で着心地を体感してみてはいかがでしょうか。


 


【取材ご協力】旭化成「ベンベルグ 裏地ミュージアム+」


今回取材をさせていただいたのは、旭化成が運営するベンベルグ裏地ミュージアム+です。「ベンベルグ」裏地の歴史を振り返りつつ、裏地の未来を考える場として2014年10月の開設以来4,700名を超えるお客様がご来場されています。


「ベンベルグ 裏地ミュージアム」は、ご来場をきっかけにお客様との関係をより深め、新商品の開発ニーズや各種ご要望をお聴きし、コミュニケーションを深める場とすることを目指されています。


(※見学はアパレル・小売・流通などの業界関係者に限定して公開している施設です。)

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