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リクルートスーツはこう決める!就活で差を付けるための選び方&着こなし方

投稿日時:2021.11.29 10:25:45

社会人への最初のステップである就活。


限られた時間の中で判断する・判断される現実を考えれば、第一印象を決める装いは大きなファクターになります。


ファッションは本来「かっこよさ」の追求が根底にありますが、就活ファッションでは、求められる大前提が全く異なります。


元々明確な定義が存在しないリクルートスーツ選び。


リクルートスーツの常識や、選び方など就活で差を付ける方法を解説していきます。

リクルートスーツとは?

就職活動時に着用するスーツを、リクルートスーツと呼びます。就活スーツと呼ばれることもありますね。


流行とは無縁のカテゴリーだと考えられる事が多いですが、時代と共に変化していることを考えると一概に無縁とも言えません。


20世紀のリクルートスーツは紺無地が圧倒的に多く、アイコンになっていました。


次に多かったのはトップグレーと呼ばれる霜降りの灰色無地です。


当時黒のリクルートスーツは皆無でした。


21世紀に入ってからは徐々に黒無地の人気が出て、現在では圧倒的に多くなっています。


黒無地が覇権を握った明確な理由は無く、流行以外では説明がつきません。


第一印象が大切なリクルートスーツに必要な要素は、ずっと変わっていません。



  • ・清潔感がある

  • ・華美で無い、悪目立ちしない


ファッションが好きな方には、没個性だとの悪態をつきたくなりますが、多くの企業で就活生に求めるのは「新しい自分たちの仲間になれるか?」に集約されます。



  • ・学生時代の甘えを捨て、社会人になる覚悟があるか?


個人の嗜好や個性を抑えて、社会と向き合う表明としての装いです。


個性を出していくのは社会人になってからという割り切りが必要になります。



  • ・社会人としての常識を持っているか?


TPOを踏まえて、相手を不快にさせないマナーとしての装いです。



  • ・ルールを守って団体行動ができるか?


チームとして、はみ出さない順応性・協調性を見るための装いです。


必要な装いが解れば、あとは特別難しい事ではありません。


リクルートスーツでは、外見の第一印象で誠実な印象を与える事が最も大切です。


自分の個性は、学生時代にやったこと、会社に入ったらやりたいこと等の中身で勝負しましょう。


ビジネススーツとの違いは?


結論から申し上げると、ハード的な違いはありません。


量産品を生産するアパレルの考え方によって、異なる場合はあります。


以前は良く聞きましたが、「リクルートスーツは就職までの限られた期間に着用するだけだから、安価な生地を使用して安価な縫製で販売価格を安くした方が良い」という考え方です。


別の考え方として、「リクルートスーツは最初に手にするスーツだから、満足度の高い商品にしてファンになってもらい、今後の長い社会人ニーズを確実に取り込もう」という考え方です。


現在主流なのは、「効率を重視すれば、敢えて別生産するのは合理的では無い」という考え方です。大量生産するベーシックな商品の黒だけ生産割合を増やし、リクルートスーツとして販売する方法です。


購入者からの観点で見れば、リクルートスーツは、その役割からの制約があるだけです。


黒無地のスーツなら、社会人生活がスタートした後も充分活躍するアイテムになります。


入社後に企業文化や業界文化が解るようになってきたら、少しずつ好みや個性を出していけるのがビジネススーツです。黒以外のカラーやストライプ・柄物など無限に広がっています。


余談になりますが、黒のスーツと喪服礼服は全く違うものです。


細かい仕様やデザインということでなく、根本的に黒色濃度が異なります。


黒のリクルートスーツを単独で見れば黒ですが、並べてみれば喪服礼服の黒とは一目瞭然。黒の濃度が全く違うのです。(喪服礼服の黒はフォーマルブラックと呼ばれる異なった工程で生産されていて、コストが掛かります。いわゆる“真っ黒”です)


着用するシーンを考えれば、単独ではなく大勢の人が着用する中に自分も入るわけですから、スーツの黒は集団の中で浮いた黒になり、大人として少々恥ずかしい状況に陥ります。


社会人になったら、喪服礼服は別に一着用意しましょう。

値段の相場はいくら?


2018年に行われたマーケティング会社調査では、リクルートスーツ一着の購入金額として1万円~2万5千円が半数を超えています。


スーツは購入する場所でも大きく価格は変わります。


百貨店では目安として5~6万円前後


専門店では目安として3万円前後


通販やスーパーのスーツ売り場では、もう少し安く入手が可能です。


しかし、ビジネスの場面で着用するスーツ選びが初めてならば、相談できるプロがいるショップでの購入がオススメです。


目的がハッキリしていますから、シーズンを含めた使い方を話すことで、あなたにピッタリなリクルートスーツを提案してくれます。


安価な商品が物性的に弱い、劣っているということはありません。


しっかりとフィットする事が確認出来て、予算内の価格ならベストリクルートスーツです。


何着用意すれば良い?


リクルートスーツに限定したことでなく、スーツ全般に言えることですが、ウールは生きています。


クリンプというウールの持つ本来の機能で、少々のシワなら1日吊しておけば大半は回復します。


いくらお気に入りのスーツでも毎日着ることはオススメしません。


ウールに限らず、1日着たら最低でも1日休ませるルーチンで、スーツの寿命は大きく伸びます。


くたびれずに気持ちよく、長期間着用できると言うことです。


予算のこともありますので一概には言えませんが、リクルートスーツは時期によって毎日使うことも想定される事から、2着は準備したいところです。


休ませること以外にも、1着だけでは汚してしまった等で急遽クリーニングに出す必要に迫られた場合、手元に着ていくスーツが無くなります。


大切な日に動きがとれなくなるリスクは回避するべきですね。


全く同じスーツを用意する必要は無く、一着は長く愛用できる高品質のウールにして、もう一着はポリエステルの自宅で洗濯可能など、機能性のある安価なタイプにするというのもよいでしょう。


本来スーツには、「薄手の春夏用」と「厚手の秋冬用」の2タイプが季節によってあります。


理想を言えばシーズンごとに2着ずつで計4着になりますが、これでは購入負担が重くなります。購入時にオールシーズン用または3シーズン用を選ぶことで負担は半分になります。

男性編:リクルートスーツを選ぶポイント

リクルートスーツ選びを性別にポイントを解説します。


色はダークカラーを選ぶ


前述のように、リクルートスーツに明快なルールはありません。


中には少数ですが、面接時の服装原則自由・個性を求める企業も存在します。


でも就職活動は幅広く行う事が前提ですので、リクルートスーツは無難なカラーが最適解になります。


一番人気の黒が圧倒的に無難です。


次に考えられるカラーは紺とグレー。


紺やグレーと一口に言っても様々な濃度があります。


紺ならブルー系などの明るい色ではなく、鉄紺と呼ばれる濃い紺限定です。


グレーは後染め(単一な色)ではなく、トップグレー(霜降りタイプ)です。


その中でもチャコールグレーという濃い色が無難です。


柄は無地が鉄則


カラーと同様、柄も無難な選択が必要です。


シャドーストライプなど、「目立たない装飾が格好いい」と惹かれる気持ちは抑えておいて、社会人になってから楽しむ方が良いでしょう。


デザインは2つボタンが基本


無難なデザインの上着は、2つボタンです。


ボタンは上だけを掛けてください。


2つのボタン両方を閉じてしまう着こなしはNGです。


面接時に両方開いているのもNGになります。


ポケットはインポケットで、外側に着いているアウトポケットはNG。


付いているフラップは好みですが、無難を望むなら出しておきます。


スラックスはノータックが基本です。


極端に細いスキニータイプや渡り巾の太いバギータイプは避けて、オーソドックスなシルエットで、フィットするものにしてください。


股上があまり浅いタイプも避けた方が無難ですね。


裾上げのデザインはシングルが基本です。


革製・それに準ずるベルトを装着することも忘れずに。


ポケットはジャケットと同様にインポケットで、縦になっているデザインです。


ジャケットもスラックスも同様ですが、ポケットにはハンカチ程度にして小物などは入れないようにしてください。

サイズ選びに気を付ける

サイズ選びのポイントです。




















肩幅 基本はピッタリサイズで、1cm程度の余裕は動きやすさになります。
それ以上に余っているのはNGです。
胴回り 胸の第一ボタンを留めた状態で、手がすんなり入る程度の余裕が必要ピチピチやガバガバは避けてください。
着丈 上着の長さです。お尻が自然に隠れる程度がベターです。
短い丈を好みの方も多いですが、リクルートスーツとしてはNGです。
袖丈 上着袖の長さです。手首が隠れる長さにしてください。
自然に手を下ろした状態でワイシャツが1cm程度出るように
スラックス丈 短めや長めはNGです。基本は足の甲に軽く乗る感じで、ハーフクッションと指定してください。
採寸時に注意が必要なのはウエストの位置です。
腰骨に当たる位置で採寸してください。
ズリ下げて着用するローウェストを普段している方は、特に注意して下さい。ウエストの位置が正しい位置に変われば、裾丈も変わってきます。

ジャストサイズを選択することで、清潔感や誠実さなど外見の印象は確実に格上げされます。


1着は、長期的に愛用できるオーダースーツもオススメです。


高品質な自分だけのピッタリサイズは自信にも繋がります。


既製品と違い、仕上がるまでの時間が掛かる事が前提としてあるので(最短で2週間程度です)、余裕を持って入手してください。

男性編:シャツや靴もしっかり選ぼう

スーツがしっかり決まったら、それ以外のアイテムにもリクルートファッションで選ぶポイントを考えましょう。


ワイシャツ


無難な選択は白無地です。


薄くてもストライプなどの柄は避けましょう。


襟のカタチも、オーソドックスなレギュラーカラータイプがオススメです。


ネクタイ


唯一と言って良い個性が出せる部分です。


無難なのは、オーソドックスな無地かレジメンタル(ストライプが斜めに入っているタイプ)になります。シンプルさに拘ってください。


ポップな雰囲気の色目や柄は避けてください。


革・靴下


靴は革靴もしくはそれに準ずるタイプで、色は黒です。


装飾が施されていないシンプルなビジネスシューズが基本です。


甲部分のデザインは、内羽根式にしてください。

ストレートチップがオーソドックスで、プレーントゥもアリです。


靴紐も当然黒です。


黒のシンプルなビジネスシューズは、就職後だけでなく冠婚葬祭にも使えるアイテムです。

靴下は無地が基本で、ワンポイントも避けた方が無難です。

女性編:リクルートスーツを選ぶポイント

女性の場合も、考え方は男性と同じです。


色はダークカラーを選ぶ


男性と同様に一番人気の黒が無難です。


次に考えられるカラーは紺です。明るい色ではなく濃い紺にしてください。


ベージュ系等の明るい色は、避けるようにしてください。


デザインは2つボタンが基本


2つボタンのテーラードジャケットです。


1つボタンも増えていますが、オススメは誠実そうに見える2つボタンです。


男性と違い、ボタンはすべて掛けて閉めてください。


女性の場合はボトムの選択肢として、パンツとスカートがあります。


オーソドックスなのはスカートです。誠実さや真面目さに繋がります。


パンツも近年増えています。行動的な活発さのアピールに繋がります。


サイズ選びに気を付ける

サイズ選びのポイントです。























肩幅 基本はピッタリサイズで、1cm程度の余裕は動きやすさになります。
それ以上に余っているのはNGです。
胸囲 全部のボタンを掛けても若干の余裕が欲しいです。
胴回り ここが浮いていると、だらしなく見えます。
適度にシェイプ感が欲しい場所です
着丈 ヒップラインのトップに被らない程度がベターです。
短すぎたり長すぎたりはNGです。
袖丈 ブラウスの袖が隠れる袖丈が目安です。
手首が隠れる程度にしてください。
スカート丈
ボトム丈
スカートの場合は、立った時に膝が半分ほど隠れるのが目安です。
座った時には膝から少し上に下端がくるようにしてください。
パンツの場合は、パンプスのヒールが若干隠れる程度です。

男性と同様に、自分にあったサイズを選ぶことが重要です。


ジャストサイズはデザインを美しく見せて、上品さ知的さも含め好感度アップが期待出来ます。同じ立ち振る舞いでも印象が大きく変わりますよ。一着はオーダーも検討してみては如何でしょうか?


ブラウスは白無地で襟のカタチがシンプルで形状がスーツに合っているか?チェックしてください。

リクルートスーツのよくあるQ&A

リクルートスーツでよくある質問にお答えします。


転職でもリクルートスーツは着用すべき?


新卒や第二新卒の場合はリクルートスーツですが、転職の場合はリクルートスーツの概念に拘る必要はありません。


マナーとしての清潔感やサイズ感は同様に必要ですが、転職の場合は無難を求めなくても普段着ているスーツでOKです。


普段スーツを着ない方が新しく入手する場合は、リクルートスーツを踏襲する必要はありませんが、シンプルな物を選択してください。


夏はリクルートスーツをどう着るべき?


面接を受ける企業がクールビズ採用中であっても、就活では基本通りのスーツ着用が基本です。


暑いと感じる季節でも、必ず上着は持って出かけましょう。


会場に入るまでは脱いでいても、面接時にはジャケットを着用するのがマナーです。


シャツは長袖が基本で、半袖シャツはマナー違反です。


「暑いから上着は脱いでも良いですよ」と言われた場合は、シャツが露出することになります。

まとめ

就活の心構えが、リクルートスーツ着用の基本になります。


リクルートスタイルは、「見せる」ではなく「見られる」希有なファッションです。


企業があなたを判断する場面だと、卑屈になる必要は全くありません。


あなたも企業を判断する、貴重な時間と考えて下さい。


自信を持って臨むには、本番前に第三者の印象を確かめてみましょう。


色やデザインに付いては基本を踏襲すれば良いですが


重要なサイズ感については、自分以外の目で確認してもらいましょう。


友人や知人家族でもOKですが、信頼できるショップのスタッフや、当初から自分のジャストサイズで作成するオーダースーツは心強い味方になります。


有意義な就職活動が出来ることを、心より願っています。